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海舟の中で資産設計を ver2.0
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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楽天バンガードが高コストなのかどうか、実は判断ができない。開示方法が揃ってくれないと…
楽天バンガードシリーズの運用報告書が公開されています。

その内容を見て、「実質コストが高い!」という声が上がっています。

実際に見てみますと、確かに、楽天VTの場合でこの通り。
費目発生1年分に引き直し
信託報酬0.098%0.1296%
売買委託手数料0.167%0.2208%
有価証券取引税0.000%0.0000%
その他費用0.039%0.0516%
合計0.304%0.4020%

実際には、これに年0.10%のVTの経費率が加算されるわけですから、年間ベースですと0.5020%になるわけで、「信託報酬+VT経費」の0.2296%に比して0.2724ポイント、2倍以上に上る負担となります。こう見るとたしかに意外な高負担という印象になります。

また、全世界株式の投信として例えば野村つみたて外国株ですと以下のような調子ですから、ますますもって楽天VTの負担の高さが印象付けられます。(なお、emaxis slim全世界株式などはまだ報告書が出ていません)
費目発生1年分に引き直し
信託報酬0.126%0.2052%
売買委託手数料0.004%0.0065%
有価証券取引税0.007%0.0114%
その他費用0.017%0.0277%
合計0.154%0.2508%


このような比較を理由に、楽天投信に対して相当強い懸念や批判の声、あるいは恰も「楽天バンガードは見掛け倒し・期待外れである」「楽天バンガードへの投資を待ったのは正解だった」かのような論調も散見されるようになっています。

ただ、このような考え方は、完全にというわけではなくても早計な面があるかもしれません。



というのも、実質コストと称される費用の中にも実は書かれていない費用があり、それが影響して(運用形態の違いから)一方だけが「下駄を履いている」可能性があるためです。

過去のブロガーミーティングで三菱UFJ国際投信から聞いた話を再掲します。
インデックスファンドの売買は、バスケットとして証券会社に見積もりを出させ、好条件を提示したところに発注することが殆どである。形としては相対取引になる。
証券会社にとっても、売買取扱高を稼げるので、普通に市場へ発注する委託取引(エージェント取引)と比べてかなりファンド側にとって有利な条件を提示してくることが多い。

なお、このような相対取引の場合は、債券の取引などと同様に、売買価格そのものの中にコストが織り込まれた形になる(市場発注(エージェント取引)のように、売買手数料が別途切り出された形で取引するわけではない)。
運用報告書の費用明細の中に、有価証券取引手数料という項目があるが、ここに記入されるのはエージェント取引など手数料が切り出して表示される取引で発生した費用だけである。バスケット取引のように、売買価格の中に織り込まれているコストは表示されない。
従って、運用報告書の費用明細を見ても、実は、真の実質コストが見えるわけではない。

ファンドが、(我々個人投資家が株を買う時のように)市場から証券を直接買うときは、証券会社への手数料が購入代金と別に発生し、費用として報告書に計上される。
一方、証券会社に見積もりを出させて相対で買うときは、売買代金そのものの中にコスト相当額が含まれており、費用として表には出てこない。
個人投資家の立場からすると、債券(個人向け国債以外)をイメージすると分かり易いでしょうか。あれも、証券会社との相対取引であり、手数料は表向きは出てきていませんが、証券会社の提示する売買代金の中に織り込まれているはずです(だから、同じ銘柄の債券でも証券会社ごとに値段が違ったりする場合もある)。

これを踏まえてもう一度楽天VTと野村つみたて外国株のコストを見てみますと、一見してこの「売買コストの表示の有無」が大きな影響を持っていることが推察されます。
特に野村つみたての方は、売買委託手数料としての表示はほとんど零に近い数字であり、いくらなんでも外国株式を売買しているにしてはコストがここまで掛かっていないのは明らかに不自然ですから、ほとんどが「売買代金に手数料が含まれている形態」で取引がなされた結果コストとして出てこなかったというのが実態でしょう。
それに対して、楽天VTの方は取引の相当割合が市場への発注で、手数料が売買手数料と別に発生する形態だったと思われます。
こう考えると、運用報告書に書かれている数字だけで楽天VTを高コストと決めつけるのは難しいことになります。売買コストが楽天VTでは明記されており、野村つみたてでは表に出てきていないのですから、そもそもの前提が食い違っているわけで、仮に野村でで実質的に負担している売買コストを切り出してくることができたら、場合によっては逆転するかもしれませんし、少なくとも差は相当程度縮まりそうです。


もとより、それだからといって楽天VTを全面的に擁護できるというものではありません。
楽天VTが市場発注を多用しているとしても、発生ベースで0.167%というコスト水準自体ちょっとどうかとは思います。個人投資家でさえ、安いネット証券を使えば0.20%とか0.486%とかで(手数料上限の存在を考えればそれ以下の負担でも)米国株・ETFを取引できるこの時代に、しかもそれなりの資金規模がある運用機関という立場なのに、これだけの手数料を取られてしまうというのは、いささか発注先の選定が拙いかそれとも価格交渉がなっていないか、お粗末な面があるのであろうことは否めません。
また、本家VTとの乖離がコスト分以上にあるという状況も厳然としてあるようであり、この点からも運用があまりうまくなさそうなことも感じられます(為替換算に用いるレートの違いなど、純粋に計算技術上の問題もあるかもしれませんが、寄与度としてどの程度なのかを判断する術を持ちません)。

とはいえ、前提が異なる状態のものを比較しようとするのも正しくはないでしょう。
これは比較しようとする投資家がそそっかしいという面もなくはありませんが、そもそも「前提が異なるものが存在しうる」開示方法の問題も重大です(そもそも「前提が異なる」ことなどよほどのマニアか、業界人に話を聞くことのできる幸運者にしか知りようもありません)。
そのようなことが許されているからこそ、投資家が不正確な比較をしてしまったり、商品の評価・選択を誤る可能性に繋がるのです。
相対発注で、現状では手数料が表示されない発注形態でも、例えばその日の終値なりVWAPなりと実際の売買代金との差を取ることで、(簡便法・概算になるとはいえ)コストの切り出し表示は可能そうに思えます。
そうすることによって、発注方法の如何にかかわらず実質的にかかったコストがきちんと表示される、これがあってこそ初めて比較のための同じ土俵に乗ることができます。
投資家の知り得ない発注実務に左右されることなく比較可能な開示方法に揃えられ、適正な商品比較が可能になる事、それは顧客本位の業務運営としても最低限の条件の一つだと思うのですが、如何でしょうか。
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楽天バンガード | トラックバック:0 | コメント:2
[ 2018/09/23(日) 03:44 ]
[ 最終更新:2018/09/23(日) 03:44 ]

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コメント
相対取引の手数料について
>売買代金に手数料が含まれており、表にコストとして出てこない。

これは、例えば基準価額10,000円のノーロードのファンドを10,000円分購入したところ、相対取引の手数料が引かれて、手元には10,000口未満しか入ってこない、という理解でよろしいのでしょうか?
URL | 通りすがりの投資人 #- | 2018/09/23(日) 12:44 [ 編集 ]

Re: 相対取引の手数料について
口数とは関係ありません。基準価額10000円の日に10000円購入すればちゃんと10000口入ります。
あくまで、運用報告書の「1万口あたりの費用明細」の欄に手数料が載るのか、それとも載らないのか(載らない場合、有価証券の売買価額に織り込まれるため、「損益の状況」欄の「有価証券売買損益」に埋没することになる)という話です。
URL | 安房 #- | 2018/09/24(月) 16:48 [ 編集 ]

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