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海舟の中で資産設計を ver2.0
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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還付金の額が確定しますが住民税への影響も忘れずに
1月も終わりに近付き、確定申告の作成も進捗を見る頃です。

個人事業主は今まさに本番真っ只中で、決算を組んで納付税額を一から算出して、となっているところかと思いますが、給与所得者の場合は既に年末調整でとりあえずの納税を完了しており、確定申告では医療費や寄付金などの控除を適用して還付金を受け取るだけ、という人も多いでしょう。

「所得の増加を伴わず、控除だけ適用の還付申告」の場合、控除の効果がそのまま還付金の額として出てくることになります。
そのため、節税策の効果が感じられる…という風に思う人も多いと思います。

ただ、ここで一つ重要な留意事項があります。
住民税への影響が別個に残っているはずだ、という事実を忘れずにということです。


今回申告するのはあくまでも国税である所得税であって、地方税である住民税については埒外です。
納付税額や還付税額が出てもそれは所得税だけで、住民税は含まれていません。
そのため、今回の申告書での最終的な還付額を見ただけでは、控除の効果を過小に捉えてしまうことになります。
20万円の医療費。
7千円の還付金。

なんだか、医療費控除って申告しなくてもいいレベルじゃないかと思いました。

おそらく、個人の支払っている所得税やふるさと納税等で還付金が変わってくると思うのですが、こんなに面倒な作業なのに7千円しか返ってこないとなると、来年はもう医療費控除の申告しないかなーって思っちゃいます。

確定申告のために昨年の医療費計算したら約20万円だったのに、還付金が残念すぎる件。  (アラサーOL 初めての資産運用とお金の話)

上記は医療費控除の事例です。
20万円の医療費となると10万円の所得控除ですから、確かに、所得税額への効果は5000円(税率5%)とか1万円(税率10%)とかに過ぎません。
しかしながら、実際にはこれとは別に、住民税が1万円(所得控除10万円の10%)安くなるという効果があるはずです。
つまり、税額に対する効果総計は、還付金として見える額の2倍とか3倍に上っていることになります。これだけ違いがあれば、医療費控除の申告の手間についての評価もかなり変わってくるのではないでしょうか。

このあたりの説明はツイッターでもしましたが、要するに、所得税と住民税とで税額決定の時期がずれているので、所得税の還付金の情報しか入ってこないため、住民税での節税効果をつい失念してしまうことになります。
おまけに、所得税は「還付金」という目に見えやすい形で効果を享受できますが、住民税は「徴収額が減額される」という若干実感に乏しい形で効果が現れてきます。よって、ますますもって節税効果が認識し難くなります。
還付金という現金を介した形のものが強く印象付けられるのは、行動経済学的な認知のゆがみとも言えるでしょう。
また、DCの掛金拠出時の所得控除について、しばしば「住民税部分は徴収の減額という形だからメリットを意識しにくい(そのため、ついメリット分を浪費してしまいやすい)」という注意喚起が述べられますが、ある意味ではかなり似た事情にある面もあるといえそうです。



何らかの税制を利用するとき、こうしたメリット規模の錯覚に陥らないためにも、やはり確定申告の段階で住民税の影響まで試算して、全体の税負担を考慮しておくことでしょう。
幸い、住民税は所得無関係に10%という比例税率ですから、所得の増減に伴う住民税メリットの計算は極めて楽に出来ます。
また、住民税の試算をできるサービスもありますから、実際に「控除などの制度を利用した場合」「利用しなかった場合」の良パターンを入力して計算してみることで、制度利用によるインパクトの額がはっきり計算できます。
個人住民税 税額シミュレーション (横浜市)
税金計算機 (所得税・住民税簡易計算機)

こうしたサービスも利用しつつ、正確な税効果を把握して、より的確な反省や意思決定に役立てたいものです。

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税金 | トラックバック:0 | コメント:2
[ 2017/01/31(火) 12:51 ]
[ 最終更新:2017/01/31(火) 12:51 ]

失敗がレッスンになりうるために、投資において守るべきこと
インデックス投資アドバイザー、カンチュンド氏が、「失敗から学ぶ」という事の意義について述べられています。
 『失敗塾』にレッスン料を払ってはじめて一人前の投資家に (カン・チュンドのインデックス投資のゴマはこう開け!)
もちろん、
金銭的なマイナスは気になると思います。

でも、それを
ちょっと苦い『レッスン料』とするために、

自分自身で、
【これまでと違う視点から、
これまでやった投資の中身を掘り下げてみて】
欲しいのです。

そして、何かを感じたら、
その方向に従って、
もう一度やり直してみましょう。

< 「失敗」は「学び」の母、なのです。>

これについてはまさにその通りだと思います。
今、やり方の調整次第で数千円や数万円程度のリスクで試行できる投資商品は少なくありません。
その程度のリスク範囲内で、何が良い投資・良くない投資なのか、その要因は何なのか、分析し学び取れるならその意義は小さくないでしょう。

ただ、意義のあるレッスンにするためにも、やはりどうしても避けるべき失敗というのもあるということには留意すべきでしょう。
守らなければならないのは、「再起可能な失敗で済む投資」の枠を踏み越えないということです。

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急落時の対応、リスク管理等 | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2017/01/30(月) 03:16 ]
[ 最終更新:2018/02/11(日) 17:57 ]

DCの運用成果及び一時金課税のシミュレーション用シート
DC運用成果シミュレーション

DCの、一時金受給した場合の課税を考慮した運用成果のシミュレーションをするexcelシートを作成しました。

リンクより取得できます。  → ダウンロード

VBAやら何やらは扱えるほどの技術を持ち合わせていないため、全部ただの関数での作成です。


DCでの任意の拠出額・任意の加入期間・任意の運用利回りによる運用成果を計算するほか、更に「他の退職金」がある場合に【同じ年に一時金受給する場合】と【DCを遅らせて一時金受給する場合】の両パターンで、DCに掛かってくる退職所得課税を考慮後の手取額を算出しています。

さらに、拠出期間中に所得控除によって生まれた税金減少額を、【考慮しない】【現金のまま保有する】【DCと同一利回りで再運用する】の3通りを試算し、DCの運用成果に加算しています。


画面の左辺、黄色く着色したセルに条件を入力すると、右辺に計算結果が表示されます。


退職金がある場合に、一時金受給で税額がどのくらい掛かるか・年をずらすとどういうことになるのか、法令の規定ぶりはきわめて複雑です。
このファイルでなんとかシミュレーションに役立てていただければ幸いです。
また、積立期間中の所得控除をどう扱うかによって資産残高がどう影響するかも目で見てみると結構インパクトを感じるのではないかと思います。


*計算式は正確を期していますが、万全であることを保証するものではありません。あくまで参考として利用して下さい。

*以下には対応しておりませんのでご了承下さい。
・拠出額を途中で変更するパターン
・企業型DC
・途中で運用指図者になったり加入者に復活したりするパターン
・「他の退職金」が複数あるパターン
・役員や障害者該当などによる退職所得控除の特例
・年金受取や、一時金・年金の併用
・拠出中に課税所得が異動するパターン(控除額の現金保有・再運用の計算で影響します)



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DC試算用ツール | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2017/01/29(日) 04:15 ]
[ 最終更新:2017/01/29(日) 04:15 ]

DCの受給時税制は、あるいは退職所得税制は今のままでよいのか
DCの受給時の税制について、再び議論になっています。

多額の退職金が支給される大手企業の社員や公務員にとって個人型確定拠出年金はそれほど得じゃない








このように、得なのかそうでもないのかという議論になるのは、DCの受給時の税制優遇が既存の税制に間借りしていることに原因があります。
一時金受給にせよ、年金受給にせよ、DCに特別の枠が与えられているわけではなく、あくまでも既存の「退職所得」や「公的年金」としての枠内で処理されるに過ぎないため、本来の退職金や公的年金の金額によっては優遇効果がかなり小さくなってしまうことによります。
 私の場合、このまま今の会社に60歳の定年まで勤務したとすると、退職一時金が1600~1700万円(特にテーブルの見直しがなされず、私自身も退職金の増減をもたらす昇降格を今後一切しないとする)。
 さらに、DCの積立金が現在の実績利回りのまま最後まで回ったとすると(現在年率5.8%程度ですから、リスク運用の利回りとしては高すぎず低すぎずといったところのはずです)、60歳到達時には残高が2000~2200万円程度。
 退職一時金だけを受給するなら課税されないですみますが、同時にDCを一時金受給してしまうと200万円超(地方税込み)もの税負担になってしまいます。
 なお、掛金の所得控除による減税分を再運用していますが、これがDC資産と同じ利回りで回っていったとして同時に取り崩すとすると税引き後の運用益がやはり200万円余となり、ほぼ退職所得課税を相殺できることになりますが、逆に言うとただそれだけの効果しかもたらしていません。
 あるいは、DC資産の運用益に対する税制優遇効果(運用益の20%課税が課されないことによるもの)が250万円内外ですから、こちらを相殺してしまうものと考えても結構です。

 年金受給でいくとすると、よく言われる「60~65歳までの5年間で年金受給」というプランにしても、あるいは「公的年金と並行して受け取る」にしても、DCの受給期間中の公的年金収入が年額400万円以上に達してしまい、こちらも税負担が重くなりそうです。


このため、退職金や厚生年金・企業年金等が一定水準見込まれる人の場合は、税負担を最適化するためにいろいろと策を弄する必要が出てきます。
なお、DCを年金受給とする場合は更に社会保険料への影響にも目を向ける必要が出て来ます。

例えば、退職時期を調整する、DCを一時金と年金の併給にする、年金にするにしても更に支給年数の設定を工夫する、等々…。
 「公的年金の受給開始までの穴埋め期間にDCを年金受給する」という、ポピュラーなプランについても、単純に60歳から65歳までの5年受給にするだけだとあまりお得ではありません。
 DCの運用益を加味すると年金収入がかなりの額に上る可能性があるばかりか、65歳未満では公的年金控除も薄いため、税負担が意外に重くなってしまう可能性があります。
 そこで、公的年金の方を70歳まで繰り下げ受給することにしてDCを10年間で年金受給することにすると、(1)期間が延びる分1年あたりの収入額も抑えられ、(2)65歳以上の手厚い公的年金控除も享受でき、(3)非課税運用できる期間が延びることからDCの受給総額の増加も期待でき、(4)繰り下げ受給により公的年金も最大42%増加するなど、色々メリットが出てきます。
 DCの戦略を練る上でも、公的年金の制度知識(繰下げ受給)を持っていると採りうるオプションが増えるものです。



……しかし、果たして、これでいいんでしょうか?

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DC(確定拠出年金) | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2017/01/27(金) 15:13 ]
[ 最終更新:2017/01/27(金) 15:13 ]

新たな高配当指数に連動するETFが登場…って、既存製品どうするの?
野村アセットマネジメントから、「日経平均高配当株50指数」に連動するETFの設定予定が公表されました。
「日経平均高配当株50指数」を連動対象とするETF(上場投信)の新規設定について

NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489)と称し、信託報酬0.3024%にて登場するそうです。

このETFが連動対象とする日経平均高配当株50指数とは、今年1月10日より公表が始まったばかりの指数で、日経225の構成銘柄の中から予想配当利回りの高い50銘柄を抽出し、予想配当利回り及び流動性実績などを勘案してウェイト付けしたものです。
指数情報 日経平均高配当株50指数

高配当戦略というのは投資戦略の中でも最もポピュラーなものの一つであり、投資手段さえ提供されれば投資したい人は多いと思われます。
今回、指数の登場から間を置かずにETFを開発した野村AMは流石の行動というべきでしょう。
昨年から続くスマートベータ商品の拡充の一つとして、是非注目していきたい商品です。




……と、言いたいのですが…………

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国内株式・ETF | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2017/01/26(木) 02:16 ]
[ 最終更新:2018/03/05(月) 01:03 ]

#foy2016 の結果
去る1月14日に、Fund of the Year2016の表彰式が行なわれ、私も参加してきました。

当日の模様については、すぱいくさんがそれはもう詳細にまとめてくれています。
 【速報】投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2016 結果発表【第一部 投資信託 これまでの10年、これからの10年】 #foy2016
 【速報】投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2016 結果発表【第二部 結果発表】 #foy2016

そのほかにも多数のブログ記事もあり、今更感がありますが、全投票結果が公式サイトに出たところでもあり、下位まで含めた簡単なレビューもするという意味で、遅ればせながら記事にします。


金融庁よりサプライズ


今回は、懇親会に金融庁の人が参加するという事前情報もあり、その意味するところについて色々と期待が持たれていましたが、表彰式が始まった途端にそれがある意味最高の形で満たされることになり、満員の会場内は異様な興奮に包まれることとなりました。
森信親金融庁長官からのメッセージが届いていたというのです。
 金融庁長官からのメッセージ

内容は、上記リンクに全文があるとおりですが、
・「投資の成功体験が共有されていない。手数料獲得のための売りやすい商品を売ることが横行していた」との問題意識
・積立で良質な投資商品により安定的な資産形成をすることが重要
・そのために、積立NISA創設により後押しするとともに、金融機関の取り組みの改善を迫る
・投資家自身が商品を評価・発信するのは質の向上に有意義であり、更に深化していってほしい

といったものです。
日頃から一貫して森氏が雑誌記事などで自ら述べている、あるいは「こういう考えだ」と解説されているところとほぼ同様であり、内容自体は特段目新しいものというわけではありませんが、投資家の主催イベントにおいて直接メッセージが出されたというのは小さくない意義がありそうです。まさに、当局の目指す政策はこのイベントと一緒だとお墨付きを付けるに等しいためです。

金融庁が積立支援のための制度を作り、金融機関の取り組みを指導する。これ自体ももちろん重要です。
しかし、いかにそのような取り組みを実行したところで、買い手である投資家側が適正な商品を選ぶという意識と能力を持たないことには意味がありません。金融機関には不勉強な顧客に高収益(売り手にとって)の商品を売り込む動機が常にありますし、顧客側があまり良質でない商品を選んでしまうのを止めることもできません。
その意味で、ボールは投資家の方にある、投資家が自ら識見を高める責任を負わされていると言っても過言ではないでしょう。このイベントが高く評価された原因もそこにあります。
 金融機関側はフィデューシャリーデューティーを宣言。でもいい加減投資家側も学習を進めるターンだよね

何度も繰り返しての指摘になりますが、現在はNISA創設やDC拡充、一方で社会保険の切り下げなど、自助による資産形成を重視する方向性です。
そのためにも、より一層投資の知識・識見を一人一人が持つ必要性が高まっているところであり、その意味で本イベントは俄かに社会的意義が極めて高いものになったと言うべきでしょう。


なお、表彰式が終わった後の懇親会では、金融庁の課長補佐が積立NISA制度についてミニ講演をしてくれました。これについても合わせて当時の速報ツイートをまとめておきます。


正直言って、債券系のETFを適用除外にする方向というのは意外でした。別に、長期積立・資産形成の目的に反するものとまでは思えないんですが……

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Fund of the year | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2017/01/25(水) 02:49 ]
[ 最終更新:2017/01/25(水) 02:49 ]

刊行済みのDC本の中では「一番の初心者」向けか。「ズボラな人のための確定拠出年金入門」
ズボラな人のための確定拠出年金入門(井戸美枝)をやっと読みました。
12月13日の著者セミナーを先に聴講しており、その後更に1ヶ月を経ての購読です。単に私の怠慢です(^^;


この本は、社労士・FPとして活動している筆者が客から受けた質問を元に構成されており、Q&A形式で進んでいきます。
内容的には、最初に「年金制度の全体図」「公的年金は危ないのか?」といった論点から始まり、「確定拠出年金のメリット」「運営管理機関の選び方」「運用の考え方」というごくオーソドックスな流れとなっています。

内容的には、質問ベースであるだけに、全く知識のない人にも伝わるような平易かつ論点を絞った感じになっていると思います。
特に、「年金の世代間格差、給付と支給の比率」「所得控除の構造(源泉徴収票の見方と、控除の仕組をグラフ化して示したもの)」など、要所に利用されている図表が理解を助けます。

また、巻末に様々な類型(独身なのか夫婦なのか、会社員なのか自営なのか扶養なのか)ごとのお勧めポートフォリオがでているのはそれ自体ユニークな試みですし、その解説の中ではその類型の家計が直面するリスクや将来受けられる給付、更に利用可能な他制度の有無(特に、自営業者について、傷病手当金が無いとか国民年金基金を検討すると良いとか)などについての言及もあり、家計分析のプロとしての面目躍如といった感があります。
これだけ解説があれば、自分自身の家族構成に引き寄せてイメージが掴みやすくなるでしょう。

一方で、初心者への提案がバランスファンドである点には読む人によってやや違和感があるかもしれません。口座管理手数料や信託報酬などのコストを重視する発言をしつつ、傾向としては未だ相対的に高コストとなるバランスファンド運用を薦める事が、どこまで正当化できるかです。
また、税制について、「退職所得控除・公的年金等控除」については言及がありますが、一方で「14年前までの退職所得との合算」「公的年金控除は他の制度(基礎年金・厚生年金、DBほか)との合算になる」などの問題点については触れられておらず、いささかメリットを過大に誤認させてしまう恐れなしとしません。
アセットロケーションの考え方(DC内だけでポートフォリオを考えるのではなく、資産全体での最適を考えて各口座に効率の良い割り振りをする)については、お勧めポートフォリオを提案する際に
基本はまず資産全体を見ること。たとえば手元資産が安全資産のみであれば期待リターンの高い商品を確定拠出年金に集中させるのが効果的です。
と軽く触れられているものの、なぜそうすべきなのか(DC内部と外部との割り振り方いかんでどう結果数値に影響するのか)が詳細に説明されておらず、やや弱い印象も否めません。


全体的に見ますと、「基礎知識が本当に真っ白な状態の人」に最小限の最小限をさらっと理解させるには良い本かな、という感じです。
初心者向けの基本書としては竹川美奈子さんの「一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門」が十分平易だと思いますが、それすら読むのが覚束ないほど知識が心許ない人、あるいは最重要ポイントにだけ絞り込んでスピーディーに理解したい人には本書という選択肢もあるのかな、と思います。


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良書 | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2017/01/22(日) 02:03 ]
[ 最終更新:2017/01/22(日) 02:03 ]

リスク管理の失敗、社内預金のリスク等を示すドラマ「大貧乏」初回
ブログネタを探しに適当なワードで検索してみますと、フジテレビの「大貧乏」というドラマの初回がなかなか興味深い内容だったようです。

早速、フジテレビオンデマンドというサービスに登録して動画を閲覧してみました。登録月末日まで無料ですから気楽に登録できます。

内容を見てみますと、確かに、冒頭部分は投資クラスタとしては結構頷かされる部分のあるものになっていました。



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雑記 | トラックバック:0 | コメント:2
[ 2017/01/18(水) 02:48 ]
[ 最終更新:2017/01/18(水) 02:48 ]

知識のあるなしで、経済面も厚生面もずいぶん変わる
本当に、様々な制度を知っているかどうかでその後の生活に大きな影響を及ぼすものです。

あるフォロワーさんは、通院中に療法の治療効果を確保するため、主治医の指示により遠隔地にある病院での観察・指導を勧められたそうです。
遠隔地とは、具体的には新幹線とか飛行機に乗るレベルの距離です。
この場合、医師に勧奨された(=治療上必要であった)という事実を以ってすれば、その分の旅費は医療費控除に算入することができると考えられます。(グリーン車だとか飛行機の上級クラスだとか言い出すと駄目でしょうが、新幹線や飛行機の普通席程度ならまず問題ないでしょう)
遠隔地の病院において医師の治療を受けるための旅費

【照会要旨】
 遠隔地のA大学病院でなければ治療ができない難病にかかった者が、主治医の指示によりA大学病院で治療を受けることになりました。この場合の自宅とA大学病院の間の旅費は、医療費控除の対象になりますか。
【回答要旨】
 照会の場合は、原則として医療費控除の対象となります。

 病状からみて近隣の病院でも治療できる場合の自宅と遠隔地にある病院の間の旅費は、医師等による診療等を受けるため直接必要なもので、かつ、通常必要な費用には当たらないので、医療費控除の対象とはなりません(所得税基本通達73-3)。
 しかし、遠隔地のA大学病院でなければ治療ができないという相当の理由がある場合には、自宅とA大学病院の間の旅費は、原則として医療費控除の対象となります。
【関係法令通達】
所得税基本通達73-3


いかに医師の指示といえど、一回で数千円数万円という旅費をかけて通院するのは負担感もあり、明確に生命に危機が及んでいるとかでなければ受診を躊躇してしまうかもしれません。
しかし、医療費控除制度を、そこに交通費も含められるということを知っていればどうでしょうか。治療費と交通費を合算して10万円を超えればその後は国税と地方税と合計で15%引きとか20%引きとかで新幹線や飛行機が使えるようなものですから(課税所得による)、かなり負担感は軽減できるでしょう。その事知識はあったので、きちんと受診されていました。
もとより、そのことで躊躇なく主治医の薦める病院でのフォローを受けられるようになれば、健康上の効果も大きいことは言うまでもありません。逆に、受診を渋っていては健康を損ねる可能性があります。(実際にはそこまで深刻なものでもなかったようですが、そういう事例ばかりでもないでしょう)
知っているか知らないかで、経済的にも身体的にも大きな差が生まれる可能性のある事例です。(FP試験程度の知識はあった方がいいと実感した、との事です)


また、保険料未納に関する認識や、障害年金に関する認識が不足していたことが原因で、障害を負ったのに年金を受給できなくなってしまう例も多いようです。
 【事例に学ぶ:年金の誤算】国民年金保険料の未納が原因で、障害年金を受給できなかった方たち
これなども、社会保険制度についての知識を十分に持ち、納付が無理でもせめて免除制度を利用する程度の対応をしていれば最低限の保障は受けられたところです。
これも知識のあるなしが経済的な困窮の程度を大きく左右してしまう事例です。
こういうのを見るたび、何度も繰り返しての紹介になりますが、ローズマリー氏の相方氏年金追納は無類の好プレイであったと、またその段階までに障害年金や遺族年金の支給事由が生じる事態に至ってなくて幸いであったと思わされます。

無論、保険料の納付をすることで、付加年金・国民年金基金・確定拠出年金といった上乗せ制度を利用する道も生まれます。
もとよりそれらの制度を利用するかどうかは別途精査しなければならないとしても、「保険料免除で最低限の保障だけ確保」「普通に納付だけする」「上乗せまで利用する」といった選択権を持てるのは制度を知っていればこそで、知らなければ選択さえできません。それは自分自身の経済的なポジション、自分自身の将来の保障をコントロールすることができないということです。


知識がないばかりに自分が使える制度を使えず、自分の保障を確保できず、生活クオリティを不必要に落とすことに繋がる。このような事態に陥ったらなんとも悲しいものです。
自分の経済状態を整えるのは、最終的には生活状況を知っている自分自身しかいません。自分自身の置かれている状況を分析し、諸制度との関係に落とし込み、使える制度は使う。その程度のコントロールは自在にできるように、知識の確保は怠らないようにしたいものです。


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[ 2017/01/17(火) 04:03 ]
[ 最終更新:2017/01/17(火) 04:16 ]

外国税額控除制度についておさらい (2)計算プロセス概観
前回に引き続き、外国税額控除について。
今回は控除の計算プロセスを概観します。

なお、基本的に所得税法をベースとしますが、具体的な所得の源泉国によっては租税条約の定めで取扱が変更になっている可能性もありますので留意して下さい。

外国税額控除の計算の手順としては、次のようになります。
(1) 外国で課せられた所得税を集計する。
(2) 全世界所得の中に含まれる、外国で生じた所得を集計する。
(3) (2)の全世界所得に対する比率を、日本での所得税に掛け合わせる。その結果として外国税額控除限度額が出る。
(4) (1)と(3)とを比較して、小さいほうを所得税から税額控除する。

*尚、日本の現在の制度では、「外国」は「外国」で一本の扱いです(アメリカも中国もオーストラリアも区別せず全部合算する)



以下、順番に見て行きます。

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外国税額控除 | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2017/01/14(土) 02:56 ]
[ 最終更新:2017/08/21(月) 00:13 ]

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