ところで、上記引用コメントでは「
地方銀行でつみたてNISAを開設するつもり」とありますが、
当ブログとしてはそれは明確に非推奨です。地方銀行(都市銀行もですが)のつみたてNISAに碌な商品がないから…ではありません。
「投信の98%の地雷のうち、金融庁フィルターで97%が除去された」という発言が会の中であった通り、銀行を含むほとんどの販売会社ではつみたてNISAでは優良なファンドを取り扱っています。
つみたてんとう(三菱UFJつみたて)シリーズ・たわらノーロードシリーズなどは多くの銀行に採用されており、これらに代表される信託報酬が0.2%水準のインデックスファンドであれば、それ自体、文句のないラインナップです。
一部、SMTシリーズ(i-SMTではない)やemaxisシリーズ(slimではない)のような旧世代のファンドしかないような販売会社もありますが、そういうひどいところさえ避ければ大丈夫です。
問題は、既に当ブログでも何回か指摘したことがありますが、銀行では
つみたてNISA向けファンドがつみたてNISAでしか買えないというところが圧倒的に多い事です。
つみたてNISA以外では、同じインデックスファンドでも段違いに高コスト(=投資家にとって不利)なファンドしかないことが多く(ひどいところでは、そもそもインデックスファンドが日経平均やTOPIXくらいしかなかったりすることも)、そうなると、つみたてNISAで得た経験・知識をもとに資産形成の規模をより拡大しようとなった際に、買えるものがありません。
というか、そういう販売会社、20年の満期を迎えたり任意で払い出したりしてつみたてNISAから課税口座に出た場合、どうなるのでしょうか? 持ち続けることは許されるんでしょうかね…
無論、そうなったらネット証券など別の販売会社で格安の商品を買えばよいとは言えるのですが、それだったら最初からネット証券でつみたてNISAを買っておいた方が話が早い。
わざわざ銀行でつみたてNISAを開設するのでは、後でネット証券の口座を開く手間、さらに口座が増える分管理が煩雑になるなど、いたずらに手間暇が増大するだけです。
スルガ銀行やゆうちょ銀行、(厳密には銀行ではないが)労働金庫などのように、最安値近辺の商品(iFree、たわら、つみたてんとう等)をつみたてNISAのみならず課税口座でも買えるところも少数ありますが、基本的に一般の銀行で推奨できないのはこのためです。
さらに、
ドアノックとして利用されるという危険性もよく指摘されるところです。
要するに、つみたてNISAをきっかけとして、その他に高コスト投信や仕組預金、高コスト保険など、銀行にとっての利益が厚い(=投資家にとっては大いに不利)な商品を売り込まれるリスクです。
つみたてNISA開設や商品購入の手続きに訪れた折にとか(これはネットバンキングで手続きすれば回避できますが)、投信商品を持っている(資産運用ニーズがある)ことからカモ候補として登録されてその後継続的にとか(これはカモ登録さえされていれば電話や郵便やメールなどを利用してやられる恐れがあります)、可能性はいろいろ考えられます。
そもそも、「コストが安いから長期投資に最適である」という触れ込みで選定しているはずのつみたてNISA向けファンドを、課税口座では提供しない(=第一の問題点)ということ自体が、本当は資産形成に寄与したいのではなく、つみたてNISAを単なるドアノックとして使いたい(=第二の問題点)という本音を持っている証左です。両問題点は強く関連しているものと考えられます。
ネット証券なら、最低コストの商品をつみたてNISAでも現行NISAでも課税口座でも選び放題ですし、余計な勧誘をしてくることもありませんから、これらの問題は回避できます。
つみたてNISAであっても、資産運用を始めるのならネット証券を最優先にすることを強く推奨します。資産形成に向けて、追加投資に関する無用な制約や、無用な勧誘リスクに初心者が晒されることを避けるため、あえてコメントしました。