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海舟の中で資産設計を ver2.0
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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投信の階数に連れて高くなるのはコストくらいであってリターンではないという話。
先日、楽天証券の口座の残高を確認にウェブサイトを見に行ったら、こんなのが出てました。
【投資信託】楽天USリート・トリプルエンジンがパワーアップ 「毎月分配型」に新ファンド登場!

……
…………
………………

トリプルエンジンといえば、USリート+円売りブラジルレアル買いによる為替差益狙い+USリートのコールオプション売りによるオプション料収入という複雑怪奇な構造で、3階建て投信の代表例として知られています。
まさに毎月分配金を出すために特化した構造ということで、運用商品としては低評価を書かれることも見受けられる存在です。
楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)毎月分配型の評価(投資信託の分配金に騙されるな!)
これの更にパワーアップということになると…
なんか嫌な予感もするんですが、折しも年末年始で時間はありますから概略を見てみましょうか。
頭の体操くらいにはよさそうです。


実は今度もまたツイートからの再編。
最近こんなんばっかり(^^;
びば、記事数水増し


2015年12月31日追記
オプションを使った多階建て投信については、菟道りんたろうさんが記事を書かれていますのでご参照ください。
オプション取引は怖いぞ-「三階建て」「四階建て」投信はそのうち大変なことになる (アーツ&インベストメント・スタディーズ~国際分散投資の研究と実践(別科))
「3階建て」「4階建て」投資信託のトータルリターンが悲惨なことになっている  (アーツ&インベストメント・スタディーズ:教養としての国際分散投資の研究と実践)




エンジンの構造


この新ファンド、「楽天USリート・トリプル・エンジン・プラス」は、販売用資料及び交付目論見書によると、以下の4つの「エンジン」なんだそうです。
エンジン1:USリート
エンジン2:USリートのコールオプション売り(カバードコール)
エンジン3:円売りブラジルレアル買い(レアル戦略)
エンジン4:ドルのコールオプション売り(カバードコール)


エンジン1~3までが、プラスでない従来のトリプルエンジンと同様。エンジン4が新しく加わった部分です。
これに従って投資していくと、投資成果はどうなるんでしょう。
なお、トリプルエンジンプラスは上記の投資戦略につき「)当ファンドが投資対象とする外国投資信託において、米国リートへの投資、為替取引、リートおよび米ドル/円のカバード・コール戦略について、クレディ・スイス・インターナショナルを相手方とする担保付スワップ取引を通じて」行うということで、この時点で何をどうするんだか分からなくなって挫折しそうになりますが、一応直接取引をするものとみなして考察します。そこまで厳密にトレースする意味もないので。
(ちなみにプラスでない従来のトリプルエンジンは、担保付スワップ取引とやらではなくて仕組債を使っているようです。どう違うのかは私に訊かないでください)

エンジン1はごく普通


まず、エンジン1でUSリートに投資します。
具体的にはiシェアーズ米国不動産ETF(IYR)を使うようです。
このETF自体は米国のリート投資に便利なもので、SBI証券での取扱もありますから、私自身iシェアーズ先進国(除く米国)不動産ETF(IFGL)との組合せでNISA枠の一部で全先進国リート投資に使おうと思えば使えるな、と思っているほどです。

逆噴射するエンジン2と4


さて、USリートに投資するとなると、普通は「ドル建てのUSリート価格」「ドル円の為替相場」の掛け算の推移によってその後の損益が決まってくるはずです。
両方が上昇していけば当然損益はプラスになりますが、片方が上がって片方が下がった場合でも、下げ側もゼロまでありますが(とはいえ、指数だったりドル円だったりですからそう極端に下がることは考え難いですが)上げ側も青天井であり得るはずですから、トータルでは損益がプラスになる可能性も当然にあります。

ところが、エンジン2とエンジン4は、この原理を全く無力化しているに等しいのです。

両エンジンは、いずれもカバードコール戦略です。
カバードコールというのもなかなか馴染みのない言葉ですが、仕組みについてSBI証券が解説しているページがありました。
オプション戦略で分配力を上乗せ!注目のカバードコール型ファンド特集!
要するに、一定の期日を定めて、それまでに一定の価格(権利行使価格)を超えて値上がりしたら超過分の利益を放棄するのと引き換えに、いくらかのオプション料を先に貰うということです。

エンジン2では、USリート価格につきこのカバードコール取引を行います。
リンク債やら担保付スワップやらの陰に隠れて実態がよく分かりませんが、たぶんドル建て価格を対象に行っていると思います。
すなわち、たとえば権利行使価格を80ドル、オプション料を5ドルとすると、オプション取引をした時点で5ドルを先にもらえることになりますが、USリート価格(IYR)が85ドル(権利行使価格とオプション料の合計)を超えて上昇すると相手方が権利を行使するため、保有しているUSリートを80ドルでその相手に売ることになり、手元にはUSリートの売却代金と受け取ったオプション料との合計で85ドルだけが残る(相手は80ドルとオプション料を合わせ85ドルで買ったUSリートをそのときの時価たとえば90ドルで売却して5ドルの差益を得る)ことになります。
USリートが何ドルに上がろうと、権利行使価格とオプション料の合計額が手元に残る最大値となります。

なお、これはあくまでドル建てUSリートが上昇していった場合の最大値でして、仮にUSリートが下がっていった場合、当然相手は権利を行使しません(USリートが欲しければ市場から買えば値下がりした価格で買える)から、手元の資産価値はそれに従って下がっていくだけです。
もとより最初に5ドル貰っている分だけ損失が緩和しますが、それだけのことで損失は青天井です。

従来のトリプルエンジンではカバードコールはこれだけでした。
今度のプラスではエンジン4でドル円にもカバードコールを使っています。
構造は全く一緒で、ドルの権利行使価格を125円とかオプション料を5円とかにして読み替えてもらえば結構です。
当然、ドルが何円に上がろうと、こちらも権利行使価格とオプション料の合計額が手元に残る最大値、損失は青天井となります。

さて、このエンジン2と4を取り付けた結果、損益はどうなるでしょうか。
ドル建てUSリートにもドル円にも、おのおの上に蓋が嵌って下は底なしという状況にお気づきでしょうか。
ドル建てUSリートとドル円の両方が上昇したとして、両方が「権利行使価格+オプション料」の蓋に頭をぶつけた状態になるのが運用成果の最大値です。それ以上ファンド内の資産価値が上がることはありません。
片方が上がって片方が下がったら? ドル建てUSリートが上がってドル円が下げた_場合、普通だったらUSリートが青天井に上げればドル円がいくら下げても挽回できる可能性があります。しかしながら、トリプルエンジンではドル建てUSリートに蓋が嵌っている影響で、ドル建てUSリートがいくら上がってもドル円の下げが激しければ挽回し切れない場合があります。もとより、ドル円の下げが軽微なら全体で利益が出る可能性はありますが、最大でも「両方が上昇した場合」における最大値に止まります。
ドル建てUSリートが下げてドル円が上がった場合でも、ドル円側に新たに設置された蓋の影響で、ドル建てUSリートの下げを挽回しきれない可能性が出てきています。
もとより、ドル建てUSリートもドル円も下げた場合、これは言うまでもなく底なしの損失です。

プラスでない従来のトリプルエンジンなら、ドル円には蓋がありませんでしたから、ドル建てUSリートがどうあれドル円が上昇していく限りにおいては全体として青天井にファンド内の資産価値が上昇していく可能性がありました。
エンジンが一つ増えた影響で、「ドル円上昇による収益向上」という可能性が潰されてしまったことにほかなりません。
上昇の可能性を潰して下がる可能性はそのまま、まさに逆噴射。機長やめてください。

なお、公平を期するために申し添えるならば、オプション料を受け取っているためにドル建てUSリート・ドル円のそれぞれが上がらなかった場合に損失を緩和する効果はあるので、その損失緩和の効果と上昇に蓋がされて利益が削られる効果とを平均するとイーブンになる…はずです。
あくまでも、それぞれのオプションの取引条件が取引所などで大勢の取引主体が関わって形成した場合並みに公正に定まった場合には理論上イーブンになるはずだ、というだけで、仮にクローズドな取引だったら公正かどうか分からないので、正確には「最善でもイーブン」ということになるんでしょうが…。
また、オプションの取引条件は期日が来るごとに新しく決めなおされて新たにオプション料の授受がなされるはずですから、市況の推移によっては緩やかに(受取オプション料の分だけ)資産が増えていくことは当然ありえます。

頼みの綱はエンジン3…レアル円1本に賭けるんなら通貨取引だけやったら…


さて、エンジン1・2・4を見た結果、どうもここまでの戦略によっては資産は頑張ってもオプション料ずつしか増えていかない、頑張っても全天を覆う蓋が嵌ってる、損失は底なし、というどこにも明るい兆しが見えない有様ですから、頼みはエンジン3になってきます。
レアル円はこれまでのエンジンとはまったく無関係に動くはずですから、レアル高に振れてくれれば収益は青天井も期待することは一応できます。

……最近の資源国通貨安、またブラジルの政治経済の状況を鑑みて本気でそれを期待するかどうかは、各人の自由というものでしょう。

ちなみに、これがレアル円の10年チャート(楽天証券のページより)になります…まあ、右肩下がりですが時々結構上げてる箇所もありますから期待するならしてもいいんでしょうか。

ただ、今まで見てきたようにエンジン1・2・4では大して上昇を期待できない状況下にあるのを認識した上で、レアル円での挽回を図るということであれば、もういっそレアル円の為替だけを単体で取引した方が話が早いんじゃないでしょうか。
FXではなかなかレアル円を取引できるところもないようですが、T&Dの投資信託でレアル円の為替に連動した投資はできます。
新興国為替ファンドブラジルレアル買い 信託報酬0.8804%(税込)
T&Dダブルブル・ベア・シリーズ4(レアル・ダブルブル4) 信託報酬1.0572%(税込)*レバレッジ2倍
「為替だけでファンドにするのもおかしなもんだ(株式とか債券とかプラスリターンのある資産を絡めなきゃ)」という趣旨の記事も最近書いている舌の根も乾かぬうちですが、少なくとも「訳がわからないばかりでたいした上昇が見込めない戦略と変に組み合わせる」というのと比べれば、損益要因がはっきり見えやすい分だけましというものです。
コストもトリプルエンジンプラスが1.8284%(税込)というのに比べればとってもお得に見えてしまいます。

従来のトリプルエンジンでは、ドル円による上昇が期待できた分、レアルの為替を直接取引するのが得とも言い切れなかったのですが、ドル円に蓋が付いてしまったことで話がはっきりしてしまった格好です。


総合的所感


ゴミ。
以上。

……ファンドの設定が年明け1月7日。限りなく2016年最初に近い投資信託。
折しも年末で大掃除シーズンですが、「年が明けたら真っ先にゴミを出すよ」ってのはどうなんだろう。
掃除をぜんぜん積極的にしない私が言うのもなんなんですが。

おまけ もっと逆噴射できるよ


更なるエンジンを取り付けようと思えばこんな風にいくらでも付けられそうです。商品開発って楽しいなあ(遠い目)
いくらつけても収益が増えることは期待できず、むしろ下がっていく可能性が高そうですが……。(レアルのコール売りをしたら、唯一の期待の星だったレアル高による収益向上の道も絶たれることになるのはお分かりですよね)





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ダメ商品 | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2015/12/31(木) 08:00 ]
[ 最終更新:2016/03/18(金) 00:49 ]

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