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2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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確定拠出年金の「15年縛り」問題
さて、確定拠出年金の法改正によりいよいよ誰でも加入が可能になる日が近くなったところ、前記事では「企業型の諸制度がない人に不公平になっているから何とかすべきでは?」と述べましたが、ほかにも改善したほうがよいのではないかと思う問題はあります。









確定拠出年金を一時金で受け取る場合、拠出年数を勤務期間とみなして退職所得控除がなされますが、一時金受取の前年以前14年以内に退職金を受け取っている場合には、その退職金の対象期間と重複する期間は勤務期間から除かれます(正確には、「拠出年数を勤務期間として計算した退職所得控除額」と「重複年数を勤務期間として計算した退職所得控除額」の差を取ることになるので、単純に年数の差を取るのとは計算結果が若干異なります)。

「税制優遇のメリットがある」として、拠出金の所得控除・運用期間中の運用益非課税・受給時の退職所得(or公的年金)扱いという3つが宣伝されますが、その3つ目を完全に生かすためには退職金の受給から15年を開けないといけません。
重複した年数部分は、間隔が開いているかどうかで「完全に控除から除かれてしまう」か「完全に控除対象になる」かのどちらかです。
間隔の開き具合に応じて段階的に変化していくわけではありません。
さながら、携帯電話会社の「2年縛り」の違約金の問題と似たような感じです。



確定拠出年金を一時金で受け取る場合、この「15年縛り」ともいうべき問題を回避し、税制優遇をきちんと享受するには、以下のいずれかの道をとらなければなりません。

(1)一時金受取の15年前にリタイアする
退職金と確定拠出年金を15年開ければいいのですから、これが一番楽な方法です。
45歳でリタイアして退職金を貰い、60歳で確定拠出年金を一時金受給する。
あるいは、確定拠出年金の受給は70歳まで遅らせることができますから、最大限延長すれば55歳まで働くこともできます。
特に何かの制度や慣習などをいじる必要もなく、自分の行動だけで実現できます。
リタイアが早くなる分、退職金が少なくなったり給与収入が絶えたりしてしまいますが、資金が足りなければ退職金の無い労働に再就職なりフリーランスで働くなりすることになるでしょうか。

(2)確定拠出年金の受給より後まで働く
確定拠出年金が先の受給・退職金が後の受給であれば、5年の間隔が開いていれば大丈夫です。
従って、確定拠出年金受給の時点より遡ること15年前以内に退職金の受給歴がなく、かつその後5年以上働き続ければ、問題は解決です。
60歳で確定拠出年金を受給するなら、45歳時点から65歳時点まで退職金を受給することなく働けばよいということです。
企業側が定年をそこまで伸ばしてくれることが必要になります(「再雇用制度」とかだと定年時にいったん退職金が出てしまったりすることがあるので、そういう制度設計だと無意味)。
一応、定年延長の動きは現時点でも社会的にそこそこあるかと思いますが、やはり企業側の取組み如何ということになってしまいます。

(3)あまり長く1箇所の勤務先に居座らない
確定拠出年金と退職金の対象期間との重なっている期間が短ければ、引き算の規模も小さくて済みます。
従って、確定拠出年金を受給する直前に退職金を貰っていても、そこの勤務期間が短ければよいということでえす。
当然、その勤務先にその前の勤務先から転職or再就職してくる(それもそれなりに高年齢で)ことになりますから、転職・再就職がそれなりに容易であるという人材流動性の高さが必要になってきそうです。


(2)や(3)は企業側の制度設計や労使慣行などがかなり変わってくれないと実現には困難が伴います。
(1)ならばその点では簡単です。

ただ、政府の政策との整合性を考えると(1)もどうなのか。
厚生年金基金など確定給付型の制度を整理・縮小しつつ、資格者の拡大などで自助努力による資産形成を促しているのが確定拠出年金制度です。
政策的には、確定拠出年金への転移を誘導したいはずです。

一方、政府は一億総活躍を謳い、就労したい者は職場で能力が発揮できるようにすることを目指しています。
一億総活躍社会とは

若者も高齢者も、女性も男性も、障害や難病のある方々も、一度失敗を経験した人も、みんなが包摂され活躍できる社会
一人ひとりが、個性と多様性を尊重され、家庭で、地域で、職場で、それぞれの希望がかない、それぞれの能力を発揮でき、それぞれが生きがいを感じることができる社会
強い経済の実現に向けた取組を通じて得られる成長の果実によって、子育て支援や社会保障の基盤を強化し、それが更に経済を強くするという『成長と分配の好循環』を生み出していく新たな経済社会システム
首相官邸 一億総活躍社会の実現


これらを総合するとどうなるでしょう?
確定拠出年金を活用するのは、まさに老後資金に関する自助努力という政策目標に適う行動ですから、税制優遇という飴を享受できてしかるべきに思えます。
一方で、その飴を享受するには、上記(1)のルートで行くならば15年にわたって働かないか、退職金がないような軽度or低待遇の就労をするかという期間を設けなければならない。1億総活躍の観点からはそれはどうなのか。政策同士でうまく噛み合っていないように思えます。

となると整合性の観点からは、一つには15年縛りを撤廃の方向に持っていく(退職所得控除枠の制限をなくす)のか、さもなければ(2)や(3)の方向に持っていくしかないということになりましょうか。後者ですと労使慣行、定年制度、人材流動性など、かなりドラスティックに改革していく必要がありそうですが、それが成し遂げられるなら全体として首尾一貫はします。

いずれにせよ、税制・社会保障制度・労働環境と、これらの分野でそれぞれどういう方向に国民の活動を誘導したいのか。それがお互いに食い違うようでは困ります。政府には、きちんとした全体的なグランドデザインを作った上で断固たる政策実行を求めたいところです。


*退職所得控除枠の制限について、もともと低所得者向けの制度だから高所得者に享受させていないという正当化を試みる論もあるようです。

なぜこんな制度になっているかというと、そもそも個人型DCは低所得者のための優遇税制だからです。つまり退職金がない自営業者や、企業年金がなく退職金も少ない中小企業のサラリーマンのために用意されているということ。だから高額の退職金がもらえるような高所得者に対しては、それほど大きな節税メリットを提供してくれないのです。しかし、それはそれで社会保障政策の一環と考えれば正当な考え方です。
個人型確定拠出年金は加入者全員に大きな節税メリットがあるわけではない―高額の退職金を受け取る人は受け取り時の課税コストに注意

しかし、制度の発足段階ではそのような思想であったかもしれませんが、今や確定拠出年金のような自助努力系の制度こそ老後の備えの本丸としての位置にシフトしてきつつあるのは確定拠出年金法改正による制度拡充、あるいは自助努力系であるNISAの拡充や確定給付型制度の縮小の動き(国民年金の抑制も含む)などから見ても明らかです。
老後資金のための不可欠のインフラになろうとしている今、確定拠出年金が低所得者向けであることを殊更に強調した上で税制優遇を制約する理論は前提を欠くようになっていき正当性を失っていくものと考えます。
そういうわけで、私は上記に引用した論については賛同しません。
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DC(確定拠出年金) | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2016/04/26(火) 01:46 ]
[ 最終更新:2016/04/26(火) 01:59 ]

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