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海舟の中で資産設計を ver2.0
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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(追記あり)ものごと、優先順位を考えた方が……【国民年金、投資、アセットロケーション】
タイトルの通り、やるべき順番は守ったほうがいいんじゃないか、という話です。

ノーロード投資信託徹底ガイドの質問コーナーに最近追加されたQ&A。
低所得(あるいは無所得)・税金免除で投資信託を買ってもお咎めなしか?

(元? 現在も?)自営業の方で、国民年金保険料の納付免除されているが貯蓄はあるので、この貯蓄から投資信託に振り向けたい、と言っています。

もとより、回答にあるとおり、そのような行動を取っても特に国家から(国税からも年金機構からも)なんら咎め立てをされる理由はありません。

しかし、そもそも経済活動として順番が違いすぎるのではないか、というのが気になるところです。



免除でいいの? 悪くはないけれど。「将来の無リスク資産」への配分はそれだけでいい?

 
この質問者は、国民年金を免除にしているということです。
きちんと手続きを取って免除をしているのは正しい行動ともいえます。
未納でなく正式な手続きを踏んでおれば、その免除期間内も国民年金の加入月数に算入され、当該月分も国庫負担分に相当する額(現行制度では半額)だけは年金額が加算されていきます。
国家から正当に受け取る権利のある給付を確保し、老後の保障を拡大できる意味で、賢明な判断といえます。

しかし、逆に言うと、半分貰えるに過ぎないとも言えます。
「25年以上払い込み、 受け取る権利期間が過ぎたので、今は全額免除制度を利用しています。」と書かれているだけで、具体的に何ヶ月の納付があったか詳らかではありませんが、仮に25年(=300ヶ月)納付して直ちに残期間である180ヶ月を全額免除にしたとすると、全額免除期間分の半分である90ヶ月分が年金に加算され、390ヶ月分が受給できるに過ぎません。率にして満額の81.25%、額にすると2016年度の老齢基礎年金額を基準として年額633,831円に留まります。
実際はもう少し納付月数が多いのかもしれませんが、90%の給付が受けられる(384ヶ月納付・96ヶ月免除)としても年額702,090円と、満額より78,010円減少になります。

一方で、資金は十分にあるのですから、これを納付にあてればこのような減額をされることはありません。
1ヶ月分を全額免除から納付に切り替えることで増額される年金は1年あたり813円(=780,100円÷480÷2)と、確かに単年での効果は僅かですが、生存期間中は無期限でこの増額が確保されること、更に物価スライド・マクロ経済スライドにより購買力も一定程度確保されることを考えると、あながち無視できるものでもないでしょう。
いわば、「将来の無リスク資産の形成」というふうに言うこともできます。

要は、現金預金を「現在の無リスク資産」、年金を「将来の無リスク資産」、有価証券等を「リスク資産」と捉えて、そのアロケーションを考えるべきではないか、と言うことです。
その場合、現在の生活費に必要な資金に事欠くようなら何をおいても「現在の無リスク資産」に資金を回さなければならないでしょうが、そこが確保されているのなら、次の優先順位は「将来の無リスク資産」ではないでしょうか。
無リスク資産による後ろ盾があってこそのリスク投資です。

投資信託での運用をすると、いかに分散投資・リスク低減を図ったとしても数割程度の毀損はありうるところです。
老後の資産形成として、無リスク資産である年金の積立を疎かにして、リスク資産の割合をいたずらに増やすのが賢明かどうかは立ち止まって考えたほうが良いのではないでしょうか。

アセットロケーションも要検討


また、仮にリスク資産への資金投入をする場合、やはり確定拠出年金を第一に持ってくるのが本筋というものでしょう。(その場合、国民年金を免除していたら加入できませんから、その意味からも保険料の納付を選ぶ方がよいことになります)
今回の質問者の場合、1号被保険者ですから月額68000円の掛金が可能になります。
基本的に課税所得がないようですから掛金の税控除のメリットが生かせそうにはありませんが、給付時のメリット(退職所得控除)は確実に受けられると見てよさそうです(小規模企業共済などを使っていなければ退職所得控除の「15年縛り問題」も関係ありません)。
課税口座で運用していては取崩のときに売却益課税がされてしまいますから、それを免れるだけでも十分なメリットでしょう。

また、確定拠出年金と課税口座と両方で運用することになった場合、課税口座で配当金・普通分配金の受取があったり、リバランスや利益確定により売却益が発生してしまう事も考えられますが、国民年金保険料の納付及び確定拠出年金の拠出があれば、所得控除により税額を減らすことができます(所得控除は基本的には総合課税の所得にぶつけることになりますが、総合課税の所得が十分にない場合には分離課税の所得にぶつけることができます)。

さらに、もちろんNISAの利用も考えてよいでしょう。
5年の有期限というのが難点として指摘されていましたが、無期限化の話も出てきており、優位性は基本的には確立していく流れではある(はず)と思われます。


無リスク資産とリスク資産の配分、そして課税口座・非課税口座によるアセットロケーションは資産運用の第一歩です。
とりわけ、追加の収入が見込まれず、現在保有するストックを振り分けるだけの場合、ある意味その重要性はいっそう高まるのではないかと思われます。運用の失敗や運用コストの増大が将来の生活保障に直結しかねないためです。
よくよく現状の資産の棚卸しや年金制度、資産運用にまつわる諸制度など、全体を見渡して見落としのないように判断したいものです。



5月8日追記
アクセス解析で分かったのですが、当記事の内容について色々条件設定した上で数値検証して下さった方がおいでのようです。
それ自体は大変に建設的な話だと思いますが、有利不利とかどういう行動をすべきかは個別の資産・収支状況や将来見通しによっても左右されるので、特に当該記事の結論についても、また更に別な誰かの考察があった場合の結論についてもどうこう言うことは差し控えます。
要は、各種の資産のリスク・リターンはじめ各自の収入や健康・寿命・ライフスタイル、マクロ経済状況、税制・社会保障制度など種々のファクターをどう認識・予見して、どこにどれだけ資金を配分するかでしょう。


ただ、当該記事のコメント欄で税制の認識についてご心配を頂いていたようでして、そこに(明白な制度誤認を以って)疑義を差し挟まれてしまうと本業でも税金(法人ですが。また特に税理士などの資格者というわけでもありませんが)を扱っている身の上としてはなかなか辛いものがありますので、そこだけは払拭するために補足しておきます。

社会保険料や確定拠出年金保険料の支払いがあった場合、総合課税の所得が十分なければ分離課税の所得にぶつけることは確定申告をすることにより可能です。

まず、特定口座源泉あり分を確定申告しようがしまいが、分離課税は分離課税です。他の種類の所得とは切り離されて、そこだけの所得額と税率で税額が計算されます。断じて総合課税になるわけではありません。
(配当所得は「申告分離(+上場株式の譲渡損失と通算)」or「総合課税(+配当控除)」or「申告不要(1回10万円以下のものに限り、源泉徴収された税額は取られっ放し)」の選択肢があります)
まずこの部分で誤解がなされていたようですので念のため付言しておきました。
その上で、分離課税に対して所得控除をぶつけることはできるのかどうか見てみます。日本は租税法律主義の国ですから、何よりも法令および法令解釈通達というものを見てみないといけません。
(雑損失の繰越控除及び所得控除の順序)

31・32共-4 その年の前年以前3年内の各年において生じた雑損失の金額は、その年分の1総所得金額、(中略)、8上場株式等に係る配当所得等の金額、9一般株式等に係る譲渡所得等の金額、10上場株式等に係る譲渡所得等の金額、11先物取引に係る雑所得等の金額、(中略)の計算上順次控除(5から11までにおいては適用税率の高いものから順次控除)するものとする。(中略)
また、その年分の所得控除についても、これと同様に取り扱う。(平21課資3-5、課個2-14、課審6-12、平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13改正)
所得税関係 措置法通達 租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて

ご覧の通り、国税庁自身が、「総所得金額(=総合課税の所得)で控除し切れなかった所得控除は分離課税から所定の順番で控除できる」と通達で明言しています。
万一、これに反して分離課税の所得から総合課税で引き切れなかった所得控除を差し引いてくれないような課税処分を税務署にされたら、それは国税庁の決めた法令解釈に反する不法な処分ということですから不服審判で取り消しを免れませんし、そのような税額計算をする税理士がいたら税務過誤で損害賠償ものでしょう。

また、「譲渡所得・配当所得を確定申告することで所得税が減っても国民健康保険料(税)が増える」という指摘を頂いており、確かにそれはその通りです。
ただ、所得控除をぶつけることによって減少する所得税は地方税込みで譲渡所得・配当所得の20.315%です。
一方で、所得の申告により増加する国民健康保険料(税)の所得割の率は、例えば東京都23区で最も高い葛飾区で、基礎賦課・後期高齢者支援・介護を全部かけられる人でも10.19%です。
なお、これに「特定口座源泉あり分を申告しなければ所得が基準以下で掛からなかったであろう均等割(23区の場合、全部掛かる場合で6万円弱)が新たに掛かった」という場合もありますので、直ちにどちらが有利と決めることはできませんが、少なくとも「明らかに不利、損」とまでいえるものではないでしょう。
また、国民健康保険料(税)も社会保険料控除の対象になりますから、実質負担はこれより更に下がる(支払ったときに所得があれば)ということにも留意が必要でしょう。

各自の所得の構成にも左右されるので(総合課税の所得があれば所得控除はそちらに優先的に振り向けられてしまうので)、個別の状況次第でかなり変わってくる話ではあります。
ともあれ、各自自身の状況に照らし、かつ制度に関してはくれぐれも正確な理解を持った上での判断が重要です。
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[ 2016/05/06(金) 06:30 ]
[ 最終更新:2016/05/09(月) 00:32 ]

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