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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。 以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。 投資関係中心に語ります
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「いい会社」への投資かもしれないが「いい投資」たりえているのか |
鎌倉投信は、「結い2101」という投資信託を運用する独立系運用会社です。 このファンドは、
これからの社会にほんとうに必要とされる会社、 皆さまがファンとなって応援したくなるようないい会社に投資する投資信託です。 と標榜しており、投資により利益のみならず社会貢献をも求めるものであるとして高評価する声もあるようです。 投資先としては目論見書では地域限定はされていないものの現段階では全て国内企業となっています。 信託報酬は年1.08%(消費税込)です。
ところで、このファンドの運用につき、最近疑問を呈されている部分があります。 このファンドは基本的には(このファンドの独自の判断により認められた)「いい会社」の株式を購入するのですが、場合によっては社債を購入することがあります。 そして、その社債は、最近組入れられた銘柄では年利率1.0%など、信託報酬を下回るものが現れているようです。 国債や大手企業(電力会社や銀行など)の社債であれば市場で売買できるので利息収入以外に売却益を獲得する可能性もありますが、このファンドの購入する社債は中小企業の社債であり市場売買がそこまで活発とは考え難く、実質的に利息が唯一の収益源と言ってよさそうです。 従って、信託報酬を差し引いた結果、この部分では必ず損失が出ることになります。
このような運用実態について、運用報告会において直接疑問を呈する方も出てきているようです。
質疑の時間は無かったのですが、終了後、新井さんに、マザーハウスの社債の利率は1%で、鎌倉投信の信託報酬より下回っているのでは?と質問しました。新井さんはマザーハウスが非上場だが成長している会社だとしたうえで(1)リスクを抑えられる(2)マザーハウスでなく一般論だが、社債購入は、長期でのおつきあいで成長したときに株式に転換することもあるなどメリットがあるとのこと。鎌倉投信は全体として4%(コスト入れると5%)のリターンが目標で、その目標は十分達成していけるとの見通しを示しました。 鎌倉投信の運用報告会に行った (夢見る父さんのコツコツ投資日記)
時間の関係で質疑応答の時間は設けられていませんでした.しかしながら個別に質問する時間はあったので、いくつか質問させて頂きました. 04月30日のオフ会でも話題になった話をいくつか質問させて頂きました. やはり、新規の社債投資の話でしょうか
Q.マザーハウスの社債の利率は1%、これだと信託報酬より下回っているのではないか?今現在、公開されている情報だけでは投資したことに対して哲学としては賛同が得らえても、金融商品としては理解を得られないのではないか?
A.結い2101全体としてリスクを10%以内、リターンを信託報酬抜きで5%(信託報酬を差し引くと4%)が目標として考えている. 非上場の銘柄への投資は、キャッシュ部分の有効活用という面で社債投資を行っている.現在のマイナス金利水準であれば社債から受け取る金利でマイナス金利によるコスト負担増分は相殺できる.株式転換特約などもない. 鎌倉投信の運用報告会に参加してきました. (4+4=6でもない。8はパーなのだ。)
このような具合で、流動性や安全性を犠牲にしてまで購入する合理的な理由付けが示されることもなく、質問と噛み合った回答が得られていないようです。 (現金で持っているよりは利息分だけコストを相殺することができるとは言っても、コストを完全に賄えてもいないということは変わりないばかりか、解約資金にも、さらには今後新たに現れた「いい会社」への投資資金にも事実上充てることができないことになります)
さて、このような運用をしているファンドについてどう考えましょうか。
確実に損失が出るのを「投資」と言えるのか。そのような行動は受託者責任に適うのか そもそも、投資とは何でしょうか。 それは、経済活動に資本を提供することによってパイを拡大させ、その一部を取得する行為です。 また辞書によると、
とう‐し【投資】 [名](スル)
1 利益を得る目的で、事業・不動産・証券などに資金を投下すること。転じて、その将来を見込んで金銭や力をつぎ込むこと。「土地に―する」「若いピアニストに―する」 goo辞書 となっており、当然に将来の利益が得られる可能性があることが前提となっています。
普通に考えても、将来の収支合計が絶対確実にマイナスになるなどという場合、そのような投資案を採用することはありません。管理会計的には将来のキャッシュフロー見込みが最も大きいプラスになる投資案を採用し、マイナスになるようなものは採用しない、こんなことは当たり前です。
何より、鎌倉投信自身、投資の目的が収益を得ることにあるということ自体を、少なくとも建前としては否定していない体になっています。
ビジョン
社会との調和の上に発展する会社に投資することによって 個人投資家の資産形成と社会の持続的発展の両立を目指します。 鎌倉投信について
「結い 2101」 の目的 「結い2101」は、投資家の長期的な資産形成と社会の持続的発展に貢献するために、信託財産の長期的な成長を図る ことを目的として、国内を中心に、社会との調和の上に発展する次のような企業の株式に投資することにより運用を 行うことを基本とします。 交付目論見書 これらの表現から読み取れることは、「社会との調和の上に発展する会社(=「いい会社」)に投資することは個人投資家の資産形成と社会の持続的発展を達成するための手段である」という因果関係、そして個人投資家の資産形成は、社会の持続的発展と少なくとも並列されるべき目的であるという関係です。 「いい会社」への投資が本当に資産形成にとって有益なのかどうか自体ひとつの問題ですが、そこをひとまず積極に解しておくとしても、あくまで「いい会社」への投資は資産形成の手段として行われるべきものであって、「いい会社」への投資それ自体が目的化すること(「いい会社」だからと言って資産を毀損することが明らかなのに闇雲に投資すること)は、自ら述べている会社ビジョンやファンドの趣旨に反する行為と言えます。
また、投資家もあくまで資産形成を目的としているファンドだと認識した上で資金を委託しているのであり、鎌倉投信はこれを受託しているのです。 その受託者が、絶対確実に資産を毀損するような投資行動を取る、これは任務に適った行為だと言えるのでしょうか。 鎌倉投信はフィデューシャリーデューティーに関する宣言は何も表明していませんが、スチュワードシップコードに関して
【原則2】 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである
鎌倉投信は、受託資産の運用にあたって「慎重かつ思慮深い専門家」として専ら受益者の長期的な利益を第一に考えて職務を遂行し、忠実義務を果たします(所謂プルーデントマンルール)。 「責任ある機関投資家」の諸原則 と述べています。 絶対確実に資産を毀損するような投資行為が、果たして「受益者の長期的な利益を第一に考え」た職務遂行、「忠実義務を果た」す行為だと評し得るのでしょうか。
むしろ、受託者としての任務、受益者の長期的な利益、忠実義務に真っ向から背く行為だとしか評し得ないのではないでしょうか。
「いい会社」を育てるため、社会の持続的発展を確保するために適切な手段が取れているのか 一歩譲って、資産が毀損されても構わないのだ、ということにしましょう。 「いい会社」に投資すること、社会の持続的発展に貢献することこそが重要であって、投資家もそれをこそ委託しているのだ、それさえ達成していれば任務を果たしたことになるのだ、ということを前提にするとします。 社債を保有するという行為は、その目的を達成するための行為として、果たして適切なのでしょうか。 もう一度、スチュワードシップコードを参照して行動原則を確かめてみます。
【原則3】 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである
鎌倉投信は、投資先企業の経営状況や財務状況等を把握するため、日常的かつ継続的な情報収集ならびに調査分析を行います。また、財務諸表や商品、サービス等の目に見える価値の評価にとどまらず、投資先企業の経営理念やそれにより醸成されている組織風土、革新性や永続性の根幹をなす人財を育成する力、社員間や取引先との信頼関係、といった目に見えない普遍的な価値にも着目し、経営者や社員、取引先等との対話をとおして状況の把握に務めます。
【原則4】 機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである
投資先企業と「目的を持った対話(※)」を建設的に行うためには、その前提として経営理念や価値観を相互に理解し、認め合うことが大切です。そのため、鎌倉投信は、投資先企業に対して自らの投資哲学や運用姿勢を十分に伝えると共に、鎌倉投信の投資基準に照らして投資した会社については、その経営方針を支持します。一方で、互いの信頼関係の結果として共有した課題等については、投資先企業の理念を具現化するための要望や改善に向けた協力等を行い、投資先企業の発展に貢献します。
【原則7】 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである
投資先企業や受益者との対話の質を持続的に高めるためには、鎌倉投信の投資哲学や運用方針を社内外に明確に示し、ぶれることなく一貫性を持たせることが何よりも重要だと考えます。社内において経営理念や運用哲学を浸透させると同時に、販売機能を持つ投信委託会社である鎌倉投信は、資産運用者としての機関投資家として、受託者責任の遂行やスチュワードシップ活動のための人財育成に力を注ぎます。 投資先の現状を分析し、情報共有し、改善の提言をし、哲学や方針を社内外に周知して一貫性を保持する、ということです。 確かに、平時はこれで十分に「いい会社」をよりよくしていき、発展に導けるのかもしれません。 しかし、仮に投資先が心変わりしたり、何らかの環境変化が生じたりして「いい会社」でなくなったらどうするのでしょうか? どのようにして、「いい会社」に戻すなど、ファンドの目的に実効性を持たせる手段が取れるでしょうか?
株式だったら手の打ちようがあります。 実力行使として、役員を送り込む・株主提案権を行使するなど、株主の権限に依拠してコントロールすることもできる。 また逆に、「いい会社」でなくなったのなら全売却する、という形でノーを突きつけることもできる。
社債、それも市場性のないものではどうすることもできません。 助言をしてみても聞く耳を持たれなくなり、しかし実力行使の手段もなく、売却して撤退することもできない(まさか「いい会社」でなくなった場合に早期償還を要求できるような特約がついているわけでもないでしょう)。 もはや「いい会社」でなくなった会社に、満期償還まで中途半端な状態で付き合っていかざるを得ない。
「いい会社」に投資するというファンドの趣旨の実効性を担保する手段が全くないのです。
「いい会社」に投資できるものであればこそ損益をさして問題にしない、という、ここで前提とした投資家にとって、このような中途半端な投資手法、「よくなくなった会社」にも投資が続いてしまうような投資手法は、果たして委託の趣旨に適っているのでしょうか。 損失は出る、「いい会社」でなくなっても撤退しない(できない)、こんなことでは何のためのファンドでしょうか。
結論 結局のところ、コストを下回る利回りの社債を含む現状の投資実態からすると、資産形成という面からも「いい会社」への投資という社会貢献的な面からしても、喧伝されているのに比べて甚だ不十分な状況だと評せざるを得ないように思います。 社会貢献・持続的な発展(←実効性が確保できてない)、短期的な利益追求ではない(←長期的にも資産を毀損している)、こんな文句はいかにも耳ざわりがよいのですが、その通りのことが実行できているのかどうかは、投資家としてファンドを買う前にも保有している間にもきちんと確かめていかなければならないでしょう。
低リスク投資としての機能についても今や… なお、「いい会社」云々という観点を抜きにして、「比較的低リスクの日本株投資」としての機能を評価する考え方もありました。
こう見ると、確かに運用成績の上下のブレを見る指標である、標準偏差(数字が小さいほどリスクが低い)の数字が、他の独立系投信やインデックスファンドに比べると、明らかに低いのが分かりますね。
投資したいけど、数字が大きく上下するのが怖いという人は、確かに鎌倉投信を利用すると良いかもしれません。 (中略) ただし繰り返しますが、既に記したように現金の比率が異様に高いですから、当然ながら運用成績のブレはとにかく少なくなります。投資が怖い人にとっては、最適な投資信託ですね。 (中略) 管理人的には、鎌倉投信は投資が初めてだという初心者の方に、非常に良いのではないかと思います。
インデックスファンドも良いですが、市況が悪い時に、初心者の方は心が折れます。アセットアロケーションを組んでリスク許容度を低下させればよいだけの話ですが、そんな事を万人が実行できるとはとても思えません。
そうであるならば、下げ相場でも思ったより値段が下がらないのが特徴と思われる鎌倉投信をセレクトするのも、アリなのではないでしょうか。 運用報告書と一緒に見ておきたい、鎌倉投信の運用結果 (投資信託の分配金に騙されるな!) 確かに、このファンドは「リスク10%、リターン4%」という目標数値を標榜しており、そのような見方にも理由はあります。(一方で、このような低リスク数値目標が、異様に高い現金比率や、「キャッシュの有効活用として債券を」という発言にも根拠を与えてしまっています)
しかし、時代は変わりました。 リスクを抑えた日本株運用の選択肢は、もはやこれだけではありません。 1477 iシェアーズ MSCI 日本株最小分散 ETF(信託報酬税込0.2052%)、ひとくふう日本株式ファンド(信託報酬税込0.27%)、たわらノーロードplus 国内株式高配当最小分散戦略(信託報酬税込0.756%)など、近時次々と登場したこれらのファンドは、いずれもリスクを抑えることを標榜しつつコストはずっと低廉になっています。 しかも、基本的にフルインベストメントを前提としていますので、その分リターンも高くなることが見込めるかと思います。 低リスク運用としての機能を求めるのであれば、こちらの方がより魅力的な選択肢になっていると評して差し支えないのではないでしょうか。
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[ 2016/05/11(水) 03:31 ]
[ 最終更新:2016/05/16(月) 02:42 ]
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