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2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
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海外株式・ETFの課税関係について検討
クロスパールさんから海外株式(ETF含む)に投資した場合の課税について質問を頂いております。
海外株式の場合は売却後に円転すると思いますがその時の為替差益についての税申告がよくわからないのですがどう考えていますか?

税務署に確認したところ、NISAにおける売却益は非課税なので円転しても非課税ということでした。(税務署員によって見解が違うこともあるようです)

しかし仮にドル円100円時に売却して、しばらくそのままにしておいて110円時に売却すれば為替差益が発生すると思うのです。
(このあたりも売却後すぐに円転すれば問題ありませんと返答されました。 すぐってどれぐらい?と思うのですが)

また海外株式買付時における米ドルの平均レートがわからない場合はどうやって為替差益を計算するんだろうと不思議でなりません。(10年ほど前からちょこちょこ購入した米ドルがあるのですがもう詳細はわかりません)

税のことなのではっきりとした答えがさせないのはわかっていますが安房さんなりの返答を期待しています。


以下、検討します。
尚、あくまで公権力を持たない一私人の見解であり、これを元に申告をした場合であっても一切の責任は負いかねます。疑問がある場合には税務署または税理士等の専門家に改めて照会することを推奨します。



外国上場株式に投資する際には、通常、以下のようなフェイズを順次踏んでいくことになると思います。
まず、各段階ごとの課税関係をまとめます。

フェイズ所得区分課税タイミング収入額差し引く額(取得費ほか)備考
(1)円現金→外貨現金へ為替取引課税なし
(2)外国株式を買付雑所得(一般)株式買付日株式買付約定額(外貨払いの手数料等込、外貨建て)×買付日の為替レートTTS使用した外貨の円換算額((1)、(3)、(4)による外貨現金取得額の平均レート)
(3)配当金受領配当所得配当受領日配当金額×受領日の為替レートTTM特定口座の場合は所得計算は取引報告書の記載に従う
NISAの場合はこのフェイズの所得が国内非課税(配当金の受領方法に注意)
(4)外国株式を売却譲渡所得(上場株式)株式売却日株式売却約定額(外貨払いの手数料等控除後、外貨建て)×売却日の為替レートTTB売却株式の取得原価(為替はTTS)
(5)外貨現金→円現金へ為替取引雑所得(一般)為替取引日円現金入金額売却した外貨の円換算額((1)、(3)、(4)による外貨現金取得額の平均レート)


外貨現金を使って外貨建て資産を買った場合は、そのときに為替差益を認識して課税します。
このような考え方は国税庁の質疑応答事例で明記されています。
預け入れていた外貨建預貯金を払い出して貸付用の建物を購入した場合の為替差損益の取扱い
預け入れていた外貨建預貯金を払い出して外貨建MMFに投資した場合の為替差損益の取扱い
外貨建てから外貨建てにしか取引していないのに為替差益を認識するというのも直感的には違和感がないではありませんが、一旦円に戻して、改めて別の資産を購入したという風に擬制するイメージでしょうか。
なお、外貨現金で外国株式を購入した場合は対顧客電信売相場(TTS)、外国株式を売却した場合は対顧客電信買相場(TTB)を使うよう定められています。
租税特別措置法基本通達37の10・37の11共-6
一般株式等に係る譲渡所得等の金額又は上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算に当たり、株式等の譲渡の対価の額が外貨で表示され当該対価の額を邦貨又は外貨で支払うこととされている場合の当該譲渡の価額は、原則として、外貨で表示されている当該対価の額につき金融商品取引業者と株式等を譲渡する者との間の外国証券の取引に関する外国証券取引口座約款において定められている約定日におけるその支払をする者の主要取引金融機関(その支払をする者がその外貨に係る対顧客直物電信買相場を公表している場合には、当該支払をする者)の当該外貨に係る対顧客直物電信買相場により邦貨に換算した金額による。
(中略)
 なお、取得の対価の額の邦貨換算については、対顧客直物電信売相場により、上記に準じて行う。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13追加)

(注) 株式等の取得の約定日が平成10年3月以前である場合には、外国為替公認銀行の公表した対顧客直物電信売相場によることに留意する。


このようにして、外国株式を買い付けた段階で、レートは株式買付時のものに塗り替えられることになります。
また、株式売却時にも売却時のレートで換算した金額が売却による収入額となり、そこで得た外貨現金の評価額がその後の為替差損益を計算する基礎となります。
株式保有期間中の損益は全て譲渡所得の枠内で処理されます。雑所得(為替差損益)の出る幕はありません。
外貨建取引による株式の譲渡による所得
税法的には有価証券や動産・不動産といった資産の評価は全て円で把握するものであって、100円で買ったものを売って120円手に入れたのなら20円が譲渡所得だと単純明快に把握するということですね。為替がどうだとか株価がどうだとかは全く考慮しません。

さて、NISAとは上場株式の譲渡所得及び配当所得を国内非課税にする制度なのでした。
外国株式を買い付けたときと売却したときとの円建て額の差額は為替の寄与分も株価の寄与分も全て譲渡所得になってしまうのですから、NISAでの取引であれば株式保有期間中の利益は全部非課税であり、過去の為替を見る必要は一切ありません。NISA以外の口座であれば株式買付時のレートを見れば足り、円→外貨の為替取引時のレートは必要ありません。
なお、配当受領時の配当所得もNISAで購入した場合は国内非課税になるのが基本です。ただ、「配当金がNISAを開設している証券会社の口座に振り込まれる場合で、NISAでしか取引していない」というのなら大丈夫でしょうが、「他の口座に振り込まれる(銀行口座に入ったり、同一銘柄を所有している他の証券会社にまとめて入ったりする)」(外国株式でそんな扱いがあるのかないのか知りませんが)とか、「NISAとNISA外で同一銘柄を保有しており、配当がまとめて一本で入金されている」(大抵は取引報告書で区分表示されていて大丈夫なようになっているでしょうが)なんてことが仮にあるようだと、話が違ってくるかも分かりません。そういうのに該当する場合は、念のため証券会社や税務署等に相談してください。

最後に円転する段階では、外国株式を売却して外貨現金が入金されたときのレート(TTS)を基準にして為替差損益を計算すれば足ります。
過去のレート(株式を購入したときのレートや、円から外貨にしたときのレート)は見る必要がありません。完全に切り離されてしまいます。
ただし、売却代金以外に外貨現金がある場合(ずっと外貨現金として残っていたものがあるとか、為替取引を繰り返していたとか)には、当然その分を調整して平均レートにする必要はあります。

フェイズ(2)やフェイズ(5)で為替差損益を計上するべき時は、これは雑所得であって譲渡所得でも配当所得でもありませんから、当該部分はNISA無関係に課税対象になることはいうまでもありません。


さて、為替差損益を計算すべきとき(フェイズ(2)、(5))に過去のレートが分からない場合はどうしましょうか。
分からないものはしょうがありませんが、だからといって全くいい加減にするわけにもいきません。税務調査の可能性を考えたら、それなりの根拠を説明できなければ。
要は、どれだけ合理的に算定できるかということになります。
例えば、関係する証券会社や銀行から、円現金あるいは外貨現金の入出金履歴がどちらか片方でも取り寄せられるなら、入出金の日付と金額、及びその日の為替データを使えばよいでしょう。
過去の為替データは、利用している金融機関でデータが取れないようであれば、三菱UFJリサーチ&コンサルティングなどで取得できます。取引当時に実際に適用されたものとは若干異なる数字になるかもしれませんが、まずそれなりに合理的なところにはなるでしょう。

入出金履歴が全く取れないようであればどうしましょうか。
為替差損益は雑所得ですから譲渡所得とは異なるのですが、譲渡所得で取得費がわからない場合の取り扱いを準用ないし類推適用してしまうというのも一つのアイデアではあるかもしれません。
所得税法基本通達38-16
土地建物等以外の資産(通常、譲渡所得の金額の計算上控除する取得費がないものとされる土地の地表又は地中にある土石等並びに借家権及び漁業権等を除く。)を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費は、法第38条及び第61条の規定に基づいて計算した金額となるのであるが、当該収入金額の 100分の5に相当する金額を取得費として譲渡所得の金額を計算しているときは、これを認めて差し支えないものとする。(平4課資3-1、課所4-12追加)
租税特別措置法基本通達37の10・37の11共-13も同旨

収入金額の5%を取得費として残りの95%を所得とする。つまり、円転して入金された円現金の額または外貨現金から購入した外国株式の円換算額の95%相当額を為替差益として雑所得にするという考え方です。
ただ、これだと大抵の場合は為替差益があまりにも大きすぎることになりそうです。20倍に円安になっていないと釣り合いませんから…。

もう一つの考え方は、理論的にありうる最も円高の為替レートを使うというものです。
これなら、為替差益が起こりうる最大値を取ることになり、最大限の納税をすることになりますから、税務当局も文句を言うことはないように思います。
例えば、「外貨現金が10000通貨あり、そのうち9000通貨の取得レート(円からの両替、外貨建て株式の売却収入、配当収入等の平均)は120円だが、残り1000通貨のレートは不明。当該口座を開設してから今までの期間内で一番円高のレートは80円」という状況であれば、(9000×120+1000×80)÷10000=116円としようということです。


フェイズ(4)で外国株式の(円建て)取得価額がわからない場合も同様でよいでしょう。(NISAなら非課税、特定口座なら取引報告書が使えるので、問題は一般口座の場合だけです)
まずは証券会社に過去の取引記録があるか問い合わせ、もしあるようだったらその記録中の買付日の株価と為替レートを掛け合わせて取得費とする。これが第一に模索すべき手段。
それが無い場合には、売却額の円換算額の5%を取得費とするか、もしくは理論上ありうる最安額(ありうる期間内の「株価×為替」の最安額)を取得費とする。
これで、なんとか税務署にも納得してもらえるのではないでしょうか。(もとより、為替差益でも株式譲渡益でも「ありうる最安額」という方式を使った場合には、それなりの計算資料を準備しておく必要はあると思います)


このようなところで、質問の回答にはなっているでしょうか。

外貨建て取引だと税制が非常に入り組み、申告が大変そうです。
もっとも、特定口座制度やNISA制度により、株式保有期間中の損益は自分で計算する必要がなくなった(国内非課税だったり証券会社が損益を計算してくれる。株式を購入する前と売却した後の為替差益だけを計算すればよい)分だけ、一般口座しかなかった当時よりは楽になっているのでしょう。
少しでも煩瑣を軽減する制度整備には感謝したいと思います。
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税金 | トラックバック:0 | コメント:2
[ 2016/05/29(日) 00:26 ]

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コメント
詳細に記事にしてくださり感謝しています。

>外国株式を買い付けた段階で、レートは株式買付時のものに塗り替えられることになります

この解釈はとてもしっくりきました。

つまり平均取得レートのわからない外貨であっても外国株式を買い付けたときのレートが適用されるということですよね。

外貨の取り扱いについてはもう少しわかりやすく改正してもらいたいものです。

詳しい解説ありがとうございました!
URL | クロスパール #- | 2016/05/29(日) 21:30 [ 編集 ]

Re: タイトルなし
コメント有難うございます。

・外貨現金に両替(→株式買付時の為替差益(雑所得)計算のベースになる)
・外国株式を買い付ける(→レートが塗り変わって株式売却時の譲渡益(譲渡所得)計算のベースになる。NISA・特定口座の恩恵あり)
・株式を売却して外貨現金が入金(→またレートが塗り変わって円転時の為替差益(雑所得)計算のベースになる)

こうなります。

……いやはや、複雑だ(^^;


> 外貨の取り扱いについてはもう少しわかりやすく改正してもらいたいものです。
同意ですが、外貨一般となると証券取引・預金取引のみならず不動産所得や事業所得などの分野にも影響しかねないところですから、なかなか制度作りも一筋縄ではいかないんでしょうねぇ…

海外現物不動産投資されている方々は外貨の処理に減価償却の処理に外国税額の処理に…と複雑ないくつもの処理を特定口座やNISAといった楽をできる部分がない中やられているわけで、さぞや大変なことでしょうなぁ(遠い目)
URL | 安房 #- | 2016/05/29(日) 23:32 [ 編集 ]

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