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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。 以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。 投資関係中心に語ります
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朝三暮四で終わるか、長期投資家形成になるか |
確定拠出年金について、有識者がいくつかの提言をしているようです。 すべての国民が使える「確定拠出年金制度」を求める民間有識者会議が個人型確定拠出年金の改正を提言
個人的に提言内容で興味が惹かれたのは、「政府が15%マッチング拠出する」「掛金の所得控除は廃止する」という点です。 所得控除で税額控除をするよりも直接掛金を水増しさせる方が、メリットが分かりやすく加入促進に繋がる、との趣旨があるようです。
ただ、15%というと所得課税の最低税率とほぼ同じです。

(↑平成27年分以降の所得税率) 支給額が掛金の15%となると、確かにメリットは見えやすくなりましょうが、適用所得税率によっては従来の所得控除によりメリットを受けつつ、それによる減税相当分を有税再投資したほうが有利になることが考えられます。 ただ、改正提言では401kの受取時の課税をも撤廃することが含まれていますので、そのメリットも大きく効いてきそうです。
そこで、以下の条件で、改正提言プランが現行プランよりどれだけ有利になるか試算してみました。 ・毎月の積立分が、運用期間を通じて一定の利回り(年率1%~10%の1%刻み。尚、計算にはそれぞれを12分の1乗した月利回りを用いる)を上げる。 ・現行プランについては、1年経過ごとに所得控除による減税を受け、当該減税額を直ちに再投資して、401k内部の資金と同一の利回りで運用継続する。 ・60歳到達時には、直ちに401k資金を一時金受取するものとし、現行プランに対してはその際必要な課税(401k内部の資金に対する退職所得課税、再投資部分のキャピタルゲインに対する地方税込み20.315%の課税)をする。
尚、積立額は現行の個人型の上限である月額23000円と、改正提言で言及されている月額50000円の2パターンとしました。
以下に、まず運用期間を通じて所得税率が一定とした試算結果のグラフを示します。 横軸は運用年数、縦軸は「改正提言プランによる一時金-(現行プランにおける税引後一時金+所得控除による減税分再投資成果)」です。プラス(上方)になるほど改正提言案が有利、マイナス(下方)になるほど現行プランの方が所得控除メリットが大きく有利、となります。 尚、縦軸の刻みはグラフごとに異なっているのでご留意ください。
 
まず、積立期間の税率が最低税率である15.105%である場合です。 現行における所得控除による減税と改正提言における政府マッチング拠出額がほぼ一致するので、単純に退職所得課税の撤廃分だけ改正提言のメリットが出る形になります。
次に積立期間中の税率を20.210%、30.420%と上げていきます。
 
 
税率が上がっていくに従って、現行制度における所得控除メリットが大きくなり再投資額が増える結果、改正提言における退職所得課税撤廃のメリットを考慮してもなお現行制度の方が有利になっていきます。 月額23000円積立だと、税率20.210%だとほぼイーブンの期間が長く、利回り5%くらいでも25年程度からは新プランの方が有利になってきますが、税率30.420%だと利回り9%を30年続けてようやくイーブンになってきます。
とはいえ、冷静に考えると税率30.420%とは各種所得控除後の課税所得330万円超、20.210%でも課税所得195万円超ですから、最初からその適用税率だという人も限られてくるかもしれません。 少なくとも、若い時代に401kを始める人は確実にそんな税率からはスタートしていないでしょう。
そこで、今度は設定を変えて、若い時代の税率を低く、歳を取るにつれ所得が増えて適用税率が上がってくるものとしてシミュレーションします。 適用税率 ・20~29歳:15.105% ・30~44歳:20.210% ・45~54歳:30.420% ・55歳~:33.483% この税率設定が妥当かどうか分かりませんが、一つの机上モデルとしてやってみます。 今度は、何歳開始かでグラフの横軸を取ります。従って、さっきまでとは逆にグラフの左側の方が運用期間としては長くなりますのでご留意ください。
 
ご覧の通り、月額23000円だと年利7%でも30歳開始でイーブンとなり、それより遅れたスタートまたは低い利回りだと現行プランの方が有利になってきます。 月額50000円だと退職所得課税撤廃のメリットが大きくなる分があってかもう少し改正提言プランが粘りますが、よほど高い利回りでないと35歳から40歳くらいでイーブンになってしまい、それ以降は現行プランが僅かながら有利(とはいえ、ほぼイーブン)になってきます。
所感
補助金がもらえるとなるとメリットが直ちに目に見える分だけ「おおっ?」となりがちです。 しかし、「自分は最後まで最低税率(=低所得)のままでいるんだ!」という確信がない限り、目に見えやすい補助金メリットと目に見えにくい所得控除・再投資メリットとの優劣が逆転していき、現行制度と比べて不利になってくる可能性が高くなってきます。 その意味で、投資家の立場で今回の改正提言に安易に飛びつくことは、目立つメリットに釣られてトータルの損益を悪化させる朝三暮四になってしまう可能性もないとはいえません。
だからといって、必ずしも今回の提言を「単なるまやかし、情弱釣り」などと軽々に非難するべきものとも思っていません。 税率を一定にしたモデルでは、(最初から税率30.42%という高税率にいるような場合を除いて)20年くらい以上積み立てればイーブンまたは改正提言のほうが有利、税率が年齢ごとに上がっていくプランでも23000円積立では厳しい結果であるものの50000円積立では40歳開始(20年積立)くらいまではイーブンになっているのですから、これは「早いうちから、大きめに将来のための積立をすれば、より大きく報われるようになる」という風にも考えられます。 そういう意味で、より早い段階での資産設計開始・長期投資意識形成を一般投資家に迫るものとして機能するかもしれません。
また、現在の日本の株式市場の売買が外国人の比重が大きく(GPIFという国産非常兵器もあることはあるが…)、外国人の短期的な思惑に引っ張られて乱高下する傾向があること、国内個人投資家層の厚みを増す必要があること等はよく指摘されるところです。 その意味で、(言葉は悪いですが)15%の補助金という「目に見えやすい餌」で釣って401kに資金を引き込むことができれば、これは間違いなく個人投資家の長期資金ですから、従来よりは多少外国人による乱高下を抑えることもできる可能性がないとはいえません。 そうなると、結局はリターンの安定化・向上といった形で401k加入者を含む個人投資家へのメリットも生まれてくる可能性はあります。
それらの点を考慮して、個人的には、(若干消極的ながら)今回の提言に賛同するものです。
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DC(確定拠出年金)
| トラックバック:0 | コメント:0
[ 2014/12/07(日) 18:16 ]
[ 最終更新:2016/03/17(木) 01:18 ]
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