海舟の中で資産設計を ver2.0
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
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ファンドの比較対象としての指数(ベンチマーク、参考指数等)について考察してみる。
先日のiTrust世界株式の月報を取り上げた記事を契機に、ファンドの運用成績を比較する相手としての指数(一般的に、ベンチマークとか参考指数と称されるもの。ここではあまり厳密にせず「比較対照指数」とでも呼ぶことにします)の意義について議論が出てきています。

参考記事・ツイート
 iTrust世界株式の月報は内容がまったく不十分だー参考指数のデータを記載しなさい  (The Arts and Investment Studies)
 ピクテ投信投資顧問の誠実な姿勢が素晴らしいーiTrust世界株式への問い合わせに対する回答がありました  (The Arts and Investment Studies)
 投資信託には客観的に評価できる基準が欲しい (吊られた男の投資ブログ (インデックス投資))









当ブログでも何記事かかけて比較対照指数の機能あるいは/及び必要性について考えを整理してみたいと思います。




比較対照指数を置く目的としては、もちろん資産運用の成果を測定・評価するためにあるのですが、大きく2つの側面にわけることができると思います。すなわち、
(1)運用の受託者の能力を評価する機能
(2)運用の委託者にとっての効果を評価する機能

の2つです。

この2つは、無論重なり合う部分も大きいのですが、必ずしも常に一致するわけではありません。

今回の記事では、このうち(1)について検討します。

受託者の能力を評価する道具としての比較対照指数の意味、要件


運用の受託者は、目論見書などにおいて資産運用の目的(何かに連動する、何かを上回るリターンを獲得する、何かより価格変動を抑えた運用をする)と手段(どの範囲の資産に投資する、銘柄の選定・入れ替え方針等)とを宣言しています。
果たして受託者がその手段を履践して、その目的を達成できたのかどうかを測る機能です。

受託者は、必ず投資ユニバース(組み入れ対象銘柄の範囲)を設定しているはずですが、運用過程においては「この銘柄は組み入れない」「この銘柄は比重を重くする/軽くする」「この銘柄は過大(過小)になってきたから売る(買い増す)」などといった投資判断を重ね、結果として具体的なポートフォリオが出来上がってきています。
そのような投資判断をしたことによって、「投資ユニバースそのものを何の工夫もなく保有した場合と比べてどうなったのか?(連動できたのか、リターンやリスクは改善したのか)」を検証する。
すなわち、単純化すれば受託者の運用の能力・適正さを測るというものに他なりません。

この観点からは、投資ユニバースそのものを示す(あるいは、それに最も近似する)指数が比較対照指数として最も適切になると考えます。
その差分がすなわち受託者による独自の運用活動・判断の適否を示すことになるためです。

なお、比較対象指数は配当込み指数であるべきことは言うまでもありません。
配当金として受け取った現金を的確に運用できたのか、それとも無駄遣いしてしまったのか、そこも当然に受託者の運用能力・適正さに関わるところだからです。

受託者評価のための比較対照指数の例


インデックスファンドの場合は、当然に連動を標榜する指数と投資ユニバースは一致しますし、それ自体が比較対照指数になる以外あり得ません。
あまりにも当然なのでこれ以上言及しません。ただ、処々で言われるように配当抜き指数がベンチマークとして扱われる事例だけは大きな誤りだとだけ指摘しておきます。

アクティブファンドでは、最近取り上げたひとくふう日本株式ファンド、たわらplusの国内株式先進国株式ならびに新興国株式などは、月報において投資ユニバースであるJPX400・TOPIX・MSCIコクサイ・MSCIエマージングの配当込み指数を参考指数として提示しており、これは極めて適切だと思います。


逆に、受託者の能力の判断という機能の観点からに限ればこれは間違っているのではないかと思われる例が、「日本の上場株式全体を投資対象にする」と謳いながら、比較対照指数としてTOPIXが挙げられているような事例です。
例えば、JPMジャパンマイスターというファンドは、
日本の株式(全上場銘柄)の中から、時価総額にこだわらず、成長性があり、かつ株価が割安と判断される銘柄を中心に選定して投資します。
と謳っているのに、ベンチマークを配当込みTOPIXとしています。
明らかに投資ユニバースには東証二部もJASDAQもマザーズも名証・福証・札証単独上場銘柄も含まれており、これらの銘柄すべてに対して調査及び組入れ・除外の投資判断を施している(べきはず)であるのに、ベンチマークではそれが反映されていません。
他にはノムラ日本株戦略ファンドなども、少なくとも新興市場や東証二部を投資対象に含んでいながら、同様にTOPIXをベンチマークとしています。

「東証一部だけを対象としてその中で投資判断を加えてポートフォリオを組む」のと、「二部・新興・地方上場も含めてその中で投資判断を加えてポートフォリオを組む」のとではおのずから意味合いが異なるはずです。実際には後者の運用をしていながら、あたかも前者(東証一部=TOPIX構成銘柄だけが投資判断・ポートフォリオ構築の対象であった)かのように比較対照指数を設定するのでは運用の適正さの評価として整合性が取れていません。
ここは、二部・新興や地方単独銘柄をも含んだ全上場株式の時価総額98%カバーを標榜する、Russel/Nomura日本株TotalMarketインデックスがより適切な指数ではないかと考えます。

(但し、別記事で書く予定の運用の委託者にとっての効果を評価する機能の観点からすると、逆にRussel/Nomura指数は現状では使いにくく、むしろTOPIXを使わざるを得ないといえます。従って、TOPIXを比較対照指数に挙げることそのものが悪いということではありません。ただ、受託者の能力を測る機能は不十分であるので、別途Russel/Nomuraも参照する必要がありそうだということです)


悩ましいのがひふみ投信コモンズ30ファンドなどのように、目論見書上のユニバースでは世界の株式に投資できるはずなのに、実態としては完全に国内株式にしか投資していないような場合です。
事実上は日本株だけがユニバースになっているというのを尊重して日本株の指数(たぶん東証一部に限定しないのでRussel/Nomura日本株TotalMarketインデックス?)を比較対照指数とするべきか、それとも「外国株を一切組入れない」というの自体一つの投資判断である(全世界株式を現実にユニバースとしつつ、あえて海外株を1株も組入れないでいるだけである)とみなして国際的指数(例えばMSCI ACWI、FTSE Grobal All Capなど。もしくはこれらをex-JapanにしてRussel/Nomura日本株TotalMarketインデックスと合成?)を比較対照指数にするか、微妙なところです。
一説にはひふみ投信が米国株などの調査をするとかしたとかいう噂も聞こえなくもないほどで、現実に外国株の組み入れが起こってしまいそうな気配もあるのでややこしい。
やはり、目論見書と実態とがあまりにも齟齬する実態が続いているというのは困ったことです。


適切な能力評価の基準がなくてどうして資金を委ねられる? 開示を。そして自分でも調査しよう


投資家は、どの運用機関のどのファンドに対して資金の運用を委ねようか選択する立場です。
その際、誰が・どのファンドが資金を適正に運用する能力や実績があるかの情報を抜きにして、どうして委託先を判断することができるでしょうか?

受託者となろうとする運用機関は、「我々こそ的確な投資判断でもって良好な運用ができます。それが証拠にこれこの通り、投資ユニバースに比べてこんなに正確な連動/高リターンな運用/低リスクな運用ができてるじゃないですか、好判断ができていればこそです」と主張して資金を集めたい立場です。
従って、投資ユニバース全体を表象する比較対照指数を提示することに積極的になる理由こそあれ躊躇う理由など本来無いはずです。

また、委託者になろうとする投資家の側も、そのような比較対照指数の情報がなくしては受託者の能力が測れないはずですから、そのままの状態で資金を預けるのは出鱈目・博打以外の何物でもありません。
投資ユニバースが何であるのかを確認した上で、そのユニバースを表象する指数とファンドの成績とを、委託者からの提示がなければ自ら調査・作成・検証する程度の努力は当然に払うべきでしょう。

とはいえ、指数にもさまざまあり、一般の投資家がアクセスできない(高額な、あるいはいくらなのかも分からない費用がかかる)場合も結構あります。
そういう場合は、やはり受託者となる運用機関側に開示を求めるべきでしょうし、運用機関側にはそれに応じる責任も動機もあるのは明白です。(自分の投資判断が優れていることを示せれば、投資家の信頼と資金を勝ち得る可能性が高まります)

要求してそれでも投資判断能力を示す適切な指数(と、ファンドとの比較データ)を一切出さないようであれば、それはすなわちその運用機関には能力がないと実質的に自認しているか、能力を開示するだけの誠実さがないか、いずれにせよ資金の預け先としての信頼性に疑義が残ります。
そのような先には資金を委託しない、あるいは引き上げることによって、淘汰していっても差し支えないでしょう。
受託者としての能力を示す指数を開示するかしないか、それが委託先の能力と責任感を測るスクリーニングの第一歩です。


追記
なお、「指数との差分」という表現だとリターンの差を気にするようにも見えますが、そうとも限りません。
価格変動を抑えることを主旨とするファンドであれば、能力評価の検証対象はリターンの差分ではなく、リスクの差分になります。(投資対象のユニバース全体とファンドとでリスク実績やシャープレシオなどの実績はどうなったのか?)

また、債券ファンドにおけるラダーなど特殊戦略の場合は指数と比較しても評価にはならないのではないか、との問題ですが、投資ユニバースそのものは通常の戦略と変わりがないはずなので、「同じ投資対象で通常の戦略を取るよりはこの通り優れています」ということを示す限りで意味があるのではないかとは思います。
ただ、そこまでいくと「投資戦略、投資セオリー」そのものに対する評価になってくるので、いささか性質を異にしてくるかもしれません。限界的な事例ではあると思います。

なお、初めから損益やリスクといった投資的指標を二の次にする特殊なファンド(例えば特定の企業や特定の地域を応援することそのものを目的とするような)は、ユニバースが設定されている以上は比較してみること自体は可能かもしれませんが、そもそもここで論じても意味がなさそうです。
運用としての効率を投資に求める層はあえてユニバースと無理やり比較してみて粛々と買わない決断を下すだけでしょうし、その特殊目的に共感する層は誰が何と言おうと粛々と購入するだけでしょう。
ここでは、何かとの比較そのものが意思決定の規範としてほぼ機能しない領域になってきます。
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ベンチマーク、指数論 | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2016/06/03(金) 02:27 ]

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