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2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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投信運用会社にとっても販売会社取り分の引き下げは正念場を呼ぶ
前回の記事にて、販売会社に抵抗感の強そうな減収を飲ませて信託報酬を下げたのが画期的だと指摘しました。


しかし、これで苦境に立たされるのは、販売会社だけではありません。
むしろ、真に正念場を迎えるのは運用会社の方であるとも考えられます。

なにしろ、販売会社には大減収を強いたのです。
強いられた側のモチベーションの低下はいかばかりでしょう。
今までのように、高い熱意とコストを掛けて販売活動に勤しんでくれるとはとても期待できません。
そんなことなら、もっと高収益を弾んでくれる商品に労力を振り向ける方がいいに決まっています。

困りました。
これではファンドに資金が集まらなくなってしまいます。

こうなると、商品そのものの魅力を高めるしかありません。
このファンドを買いたいと、投資家自身に自発的に選択してもらう以外ないのです。
そのような意思決定を呼び込むため、委託会社自身が積極的に取り組んでいかなければならなくなったのです。



投資家の支持を集めるために運用会社ができること、すべきこと。
いろいろあります。

まず何よりもなければ話にならないのが、まともな運用をすることです。
インデックスファンドなら指数にきっちり連動すること。
アクティブファンドなら、超過リターンやボラティリティ抑制など、約束した成果を出してみせること。
これらは当然の大前提です。


そして、もう一つ大事なのが、投資家とのコミュニケーションです。
もう、「なぜ運用成績が振るわないのか」「なぜ分配金が出ないのか」「今後の見通しをどう考えているのか」「なぜこのようなポートフォリオなのか」などと、多くの疑問を受け止めて対応してくれる販売会社はいません(いることはいますが、たぶん不熱心です)。
そういう疑問や意見・要望に対し、委託会社自らが向き合って対処しなければなりません。
定期的資料の適時・適切な作成は当然のこと、直販投信各社のようにセミナーを開催して相互理解を促進する、あるいは何か大きな変化があったときに臨時のレポートや動画などで情報を伝達する。
あるいは、iTrustのように特設のシステムを設けて双方向のコミュニケーションを取り、寄せられた意見に対して迅速・誠実な回答や改善策の実行を行って信頼感を醸成する。
こうした不断の取り組みが必要になってきます。

インデックスファンドであればまだ楽です。日々のオペレーションを正確にやりさえすれば、指数に連動という成果は出せます。
あとはせいぜい資料を的確に分かりやすくすることくらい留意すれば、それ以上文句を言う人はいません。
アクティブファンドだとさらに大変です。
所期の成果を出し続けるための運用の努力も大変ですし、また常に成果を出し続けることも不可能ですから、それでもなお支持を確保し続けるためにコミュニケーションの重要性も高まります。

これだけのことを、委託会社はしなければなりません。
しかも、委託会社の取り分自体も恐らく減っている以上、あまり経費を掛けては自分が破産します。
必要十分、最大限の効率があげられるよう、頭を絞る必要があります。

大変なことだろうと思います。
報酬を弾むのと引き換えに販売会社に投資家とのコミュニケーションの少なからぬ部分を任せることができた従来の慣習も、確かに合理的ではありました。
しかし、もう間に合いません。もうルビコン川は遥か後ろになってしまいました。
販売会社に減収を飲ませたということは、こういう選択をしたということです。
委託会社は、自らこれを成し遂げるため、覚悟と実行力を持たねばならなくなりました。


大変なことだろうと思います。
しかし、これは委託会社にとっても歴史的なチャンスでもあります。

日本の投資信託業界では、販売会社が一番強い、中心にいるなどと言われています。
「(投資家の利益や資産形成など二の次で)販売会社が売りやすい、回転売買させやすいファンドを組成・運用させられている」とさえ主張する論者もあります。

そこへこの(期待される)変革です。
委託会社は、否が応でも、販売会社に頼らずに自ら投資家の支持を獲得し、売り込まなければならなくなりました。
最初はそのような状況に追い込まれるのはたかだかファンド1本2本でしょう。
しかし、その1本2本で、委託会社がそれを本当に実現し、真に支持される商品を開発・運用・販売する能力と経験を手に入れたら?
もう販売会社に振り回される必要がなくなってしまうではありませんか。
販売会社が乗り気にならないファンドであっても、自ら買ってもらえる。
そのときこそ、委託会社は販売会社の軛から解き放たれ、自らの信じるところによって作りたいファンド、買ってもらいたいファンドを自由に作ることができるのです。

今までの投資信託の当事者構造が根本から変わる。
委託会社と投資家が直接向き合う。
今まさに、革命が起ころうとしているのかもしれません。

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信託報酬と販売会社・委託会社の構造改革論 | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2016/06/08(水) 18:09 ]
[ 最終更新:2016/06/10(金) 00:57 ]

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