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海舟の中で資産設計を ver2.0
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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高コストでも高パフォーマンスなファンドが…いやいや、そりゃ確かにあるんだろうけど。
モーニングスターで、興味深い論考が書かれています。
定説を覆す?!高コストアクティブファンドの快進撃

この記事では、国内株式のアクティブファンド601本を信託報酬水準により4階層に分けた上で、まず10年間のパフォーマンス推移では基本的に信託報酬の低い階層の方が良好となっている傾向があることを示しています。
ところが、それに続いて、
 一方で、過去5年間の運用実績があるファンド(367本)の2016年8月末時点の過去5年間のトータルリターン(年率)と信託報酬等の分布を見ると、一概に信託報酬等の低い階層が高いリターンを獲得しているわけではない。
と言い出し、パフォーマンス最上位は信託報酬の高い階層に属するファンドで占められていることを指摘しています。
その上で、
リターンの計測期間によるものもあるかと思うが、必ずしも信託報酬等が高いファンドのリターンが低くなることはなかった。つまり、コストのみをファンドの選定基準とするのではなく、今までのパフォーマンスやリスクを確認するなどの投資家自身に合ったファンド選びが必要だ。
と結論付けています。

かような記事を見せられると、「なるほど低コストなインデックスファンドばかりを礼賛するのは間違っていたな、よしモーニングスターのレーティングなんかを活用して丹念に選ばなければ…!」などと思わされてしまいそうですが。



率直に言って、かなり乱暴かつ片手落ちな記事だという印象です。

まず前提として、低コストを選定基準としているのは我々インデックス投資家によく見られる傾向ですが、我々とて高コストなファンドでも高パフォーマンスを得られる可能性が全くないとまで断言する人はいないと思います。
凄腕のファンドマネージャーや、うまく時流に乗れたファンドが、高コストを補って余りあるリターンを叩き出す、そんなファンドが存在しうる可能性自体は認めています。

ただ、どうやってそのようなファンドを見つけ出せるか、そここそが問題なのです。「この世のどこかに存在する」ということと、「それにうまく行きあって購入できる」ということとは必ずしも結び付くものとは限りません。

そこで、過去のパフォーマンスが…という話になるのですが、「過去のパフォーマンスが将来のパフォーマンスを約束しない」ことはよく知られたセオリーです。
将来のパフォーマンスを予測するさい、多くの個人投資家は、過去の運用実績、リスクの大きさ、ファンドマネジャーの経歴などに注目すると思います。もちろん、どれも大切な情報ではありますが、これらはあくまでも過去の実績。どれほど精緻に予測をしても、過去の実績が必ずしも将来のパフォーマンスを保証してくれるわけではありません。
では、コストは?そうです。パフォーマンスやリスクの予測とは違い、コストは投信を購入する時点で、毎年どれだけかかるのかをあらかじめ把握できます。これから見ていくように、コストの多寡は私たちの手元に残る最終的な運用益の額に大きく影響するので、決して軽視することはできません。
「(新版)投資信託選びでいちばん知りたいこと」(朝倉智也)

もし、このセオリーにもかかわらず、過去の実績を元に将来の高パフォーマンスを見抜く相関関係の条件とかがあるのであれば、それを示してくれればこの記事の信頼性は途轍もなく上がったのですが。

また、実際に高コスト階層の方が5年実績の上位を占めていて……という話にもなるのですが、これにも色々足りていない検証があります。(実際に検証をしてみたら、記事の論旨に反する結果が出るかも知れず、逆に記事を支持する結果が出てくるかも知れません。そこは分かりません)


・確かに高コスト階層が成績上位を占めているとしても、成績最下位近くを占めているのはどのコスト階層なんでしょうか?
・この期間のTOPIXのリターンは年率13%余りで、これを下回るようなファンドは文句なしに投資価値のなかったファンドですが、それ以下のファンドはどのような階層が多いんでしょうか? あるいは各階層ごとに、それより上と下との比率はどんなもんでしょうか?(将来リターンは不明である以上、インデックスを下回るところに行ってしまう確率が高くては困る)
・いわゆる生存者バイアスが掛かっている影響はどうですか? 例えば、調査対象となった5年間に償還されてしまったファンドは各階層ごとにどのくらいありますか?(現存するファンドが601本なのに、5年継続しているファンドが367本しかないというのは色々味わい深い。5年前には国内株アクティブファンドは何本あったんですかね? うっかりファンドを買ったらすぐ償還されましたじゃ話になりません)


などなど。
これらの疑問・未検証部分が解決されないことには、おいそれと高コストなファンドを構わず買いに行くことは難しいと思います。
コストは確実にパフォーマンスを削るんですから、「高コストでもコスト差を覆して成果を出す可能性が高い」ということが示されないとなかなか手が出ない。

その辺の論考がなく、一足飛びに「高コストでも良いファンドがあるんだから忌避するな」という結論に持っていってるあたり、何らかの意図を感じさせられるような気もしなくもない、非常に残念な記事でした。
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変な記事 | トラックバック:0 | コメント:2
[ 2016/09/17(土) 00:01 ]
[ 最終更新:2018/02/11(日) 17:50 ]

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コメント
全く同感です。この記事の内容は違和感100%です。記者さんのレベルがあまりに残念だということだと思います。
URL | #- | 2016/09/17(土) 15:58 [ 編集 ]

Re: タイトルなし
> 全く同感です。この記事の内容は違和感100%です。記者さんのレベルがあまりに残念だということだと思います。
コメント有難うございます。
「どうやって選ぶのか、選べるのか」が仮にあるのであればいいんですが、無いのではこれほど無意味な話も無いんですよねぇ…
URL | 安房 #- | 2016/09/19(月) 15:48 [ 編集 ]

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