前回の記事で、無分配型と毎月分配型(分配金は現金として放置)の資産残高を試算・比較するExcelシートとグラフを出しましたが、そういえばキャピタルゲインに対する譲渡所得税が考慮されていませんでした。 ということで、今度はそれを加味したデータを貼る事にします。
計算としては、単純に各月末ごとにその時点で全売却した場合のキャピタルゲインに対し、税率20.315%を掛けたものを資産から差引くだけです。 尚、キャピタルロスの場合には外部資産との損益通算による減税効果まで視野に入れて繰延税金試算として加算することも考えられなくはないのですが、そもそも相殺すべき利益が存在しているかどうか不確定であることなどから、ロスの場合には単純に税額ゼロとしています。 また、譲渡損失の繰越とか、配当所得(毎月分配における普通分配金)と譲渡損失の通算とかも考慮していません(暦年の区切りがどこなのかで12通りやらなければいけなくなったりするので…)。
まず、毎月1万円積み立ての場合。 (Excelシート)

次に、1ヶ月目に360万円一括投資の場合。 (Excelシート)

税金分差が縮んではいますが、少なくとも今回の乱数の出目に限っては、依然として無分配型の方が一貫して有利なようです。
無論、乱数を振り直して見た場合には、一時的にあるいは最終的に毎月分配型の方が有利になる場合があります。 きりがないのでいちいちグラフを出したりはしませんが、かなりざっくりと定性的な印象で言えば、「高値をつけたあとに急速・大き目の調整が来て、なかなか盛り返さない」といった場合には、毎月分配型が多少有利に立つ場合があるようです。 ただ、そのような出目になる頻度も意外に少なく、またちょっと相場が回復すると意外に早く再逆転してしまうようです。(あくまで印象であること申し添えます) また、相場が軟調になることを見越すなら、そもそも毎月分配型への投資が第一選択でいいのかどうか(単純に収益の向上というだけなら、調整入りの気配になった時点で無分配型を売却してしまう(=投資額そのものを減らす)とか、ベア型商品を買っておくとかの方が合理的になりそう)という疑問もなくはありません。
尚、乱数の振り直しによる影響に興味がおありの向きは、以下の手順で何度でも振り直しができますので試してみてください。 (1)当記事にてリンクしてあるExcelシートをダウンロードする。 (2)「NoDevidend」のシートのB列(「年率」とある列)の各セルの数式に、「=NORMINV(RAND(),5%,20%)」と入力する。 (3)再計算実行コマンドを何度でも実行してみる。 これで各月の収益率が異動し、資産残高の計算やグラフの描画も変化します。
次回以降は、分配金を再投資した場合の損益比較になりますが、基本的に譲渡所得税考慮後のグラフをお示ししたいと思います。
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