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海舟の中で資産設計を ver2.0
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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公的年金の受給要件緩和。10年というのは意外に見事かも?
公的年金の受給資格期間を短縮する法案が閣議決定されたそうです。
年金受給資格期間の短縮、法案を閣議決定 (日本経済新聞)

現行制度では保険料納付済み期間と免除期間及び合算対象期間が合わせて25年なければ全く受給できなかったところ、これを10年あれば足りることにするものです。

もとより、受給資格だけが与えられたところで、金額的に十分な老後の保障になるかどうかは別問題です。
支給額は納付した月数に比例するのですから、10年しか納付していない場合には平成28年度の金額でいうと780,100×120÷480195,025円しか支給されません。(10年の中に免除とか合算対象期間があると更に減少します)
これでは到底生活を保障するには足りず、無いよりはましという程度にしか過ぎません。
やはり、基本は最低限の受給期間を満たすだけでなく、可能な限り納付を続けるか、せめて免除手続きを行って国庫負担分だけでも貰えるようにしておくべきでしょう。

とはいえ、短期間で受給資格を満たせるというのは加入者にとって悪い話ではありません。
そして、10年というのもよく考えるとなかなかうまい具合の期間です。



「駆け込み加入」が事実上誰でも間に合う


受給資格期間が25年も必要となると、未納があまりにも重なってしまっている人の場合、「間に合わない」という可能性がかなり現実味を帯びてくる場合があります。
年金事務所でわかった相方くんの加入実績は60月=5年分。これから60歳まで国民年金を払ってぎりぎり受給資格の300月(25年)を満たせるかどうか。とりあえず2年分は後納できるので2年分の支払い請求書を発行してもらいました。
(中略)
相方くんの加入期間はこれで7年。今42歳なので60歳まで加入すれば7+19=26年とぎりぎり支給資格を満たします。
相方くんの年金事情。ねんきん定期便があって良かった。 (ローズマリーランド)

上記はローズマリーさんの御夫君の事例です。
42歳まで未納が重なっていたそうで、既にかなりぎりぎりの状態でした。(もっとも、60歳以降の任意加入も使えるので実際にはまだ若干の余裕はありましたが)
この事例では、幸いにしてローズマリーさんが危険な状態に気づいて手を打ったので、どうやら事なきを得そうです。
しかし、みんながみんなそういう早い段階で年数不足のおそれに気づいてもらえるような幸運に恵まれるものでもないでしょう。

現在、60歳以上の人でも65歳まで任意加入をすることができ、更にそれでも受給資格期間を満たしていない人は65歳から70歳までの任意加入が許されます。
しかし、それでも10年にしかならないので、あと15年の加入が必要です。
つまり、「今まで全く加入歴が無い」という極端な想定をすると、任意加入を最大限使うとしても45歳までには加入をしないと間に合わなくなります。
尚、現状では5年分の後納ができるので、「50歳の時点で過去5年分を後納して、以後70歳まで納付継続」とすると間に合いますが、5年の後納は現段階では期間限定の制度なので、使えなくなるかもしれません。

これに対し、受給資格期間が10年になるとどうなるか。
極端な話、60歳まで全く加入歴が無い人でも、その後の任意加入だけで受給資格期間が満たせてしまいます。
つまり、「間に合わない」という恐れは事実上なくなります(手続きが遅れるとアウトですが…)。
任意加入を使わない場合でも、50歳までに手を打てば足りますから、かなり余裕があります。

このように、「納めるだけ納めても年数が足りずに払い損になる」という恐れがほぼなくなるという事実は、加入・納付手続きをするのにいささかなりと安心感を与え、加入を促す効果がありうるのではないでしょうか。
60まで(任意加入を使わないなら50まで)に加入しておけば、いくらかは確実に年金がもらえるのです。無いよりまし程度でしかないかもしれませんが、無いよりはましです。
年金を受給する資格さえ確保できれば、あとは繰下支給制度を使って年金額をいささかなりと増やす事だってできます。
繰下げで支給額が増えるのは70歳までですから、これを活用したいなら「任意加入をフル活用して70歳で受給権取得」では駄目でもう少しスケジュールを早くする必要が出てきますが…。(例えば、「60で過去5年後納+任意加入スタート」とすれば65歳で受給権を取得し、70歳まで繰下げで42%の年金増額が実現します)

年金を増額する制度への呼び水


加入者自らの選択によって年金を増やす手段として、付加年金・国民年金基金・個人型DCの3つの手段があります。
これらを利用するには、まず国民年金保険料を納付していることが前提条件となっています。
年数不足による納め損懸念から国民年金への加入を諦めていた層が、年数不足の恐れの払拭から国民年金への加入・納付を始めるとすれば、同時にこれらの制度への道が開かれ、更なる年金増加を享受できることになります。
DCは60歳まで、国民年金基金は65歳までしか拠出できないという制約はありますが、自分の選択により年金を増やせるという制度は意義大きく、受給資格期間の短縮による国民年金自体への加入の促進がこれらの制度への呼び水にもなる可能性は否定できないのではないでしょうか。

特に、意図的にか偶然にか、DCの加入資格者拡大で運用管理機関がPRに力を入れ始めたこのタイミングで、国民年金の受給資格期間短縮・加入促進という政策が出てきたのは大きな効果がありそうです。
そもそも政府としてはDCやNISAといった自助努力によって各自の老後資金準備をしてもらいたいという意図があるはずなわけですから、DCの利用の前提資格である国民年金加入がしやすくなるというのは結果的に政策として平仄が合う話ともいえます。

10年加入だけでは、国民年金自体では無いよりまし程度の給付しか受けられませんが、こういう制度を使えるようになるわけですから少しでも有利なポジションを構築したいものです。


遺族厚生年金も受給しやすく……は、なりませんでした。


なお、話は変わりますが、今回の改正により遺族厚生年金も若干利用しやすくなるかもしれません。
遺族厚生年金のいわゆる長期要件は、「老齢厚生年金の受給資格期間を満たした者」すなわち「老齢基礎年金の受給資格期間を満たし、厚生年金加入歴が1月以上ある者」ですから、現行では(短期要件に該当していない限り)公的年金に25年加入していなければ死亡しても遺族厚生年金が支給されないのに対し、改正後は10年加入していれば支給可能になりそうです。(この部分に関して要件が修正されなければですが)

無論、遺族厚生年金など利用する事態にならない方がよいに決まっていますが、万一のことがあった場合に遺族に年金が残りやすくなるというのは重要な改善なのは確かでしょう。
公的年金に10年以上25年未満の加入歴があって、過去に厚生年金の加入歴があったという人たちは、遺族厚生年金の対象になったという意味で新制度を歓迎してよさそうです。


2017年8月1日追記
遺族厚生年金の受給要件は、「老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。」と文言が修正されています。こちらは10年への短縮はなされませんでした。
よって、残念ながら、上記の緩和効果はありませんでした。
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公的年金 | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2016/09/27(火) 01:53 ]
[ 最終更新:2017/08/01(火) 23:13 ]

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