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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。 以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。 投資関係中心に語ります
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個人型確定拠出年金の最初の一冊 |
竹川美奈子氏の一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門を読みました。
本書は、2013年に出版された金融機関がぜったい教えたくない 年利15%でふやす資産運用術の実質的な改訂版で、今年の法改正や取扱商品の変化・運営管理機関の新規参入などを織り込んだものとなっています。 尚、旧版の方はもう販売を止めたようで、amazonでも中古のみの取扱となっています。
概観 本書は、老後資金の準備とか資産運用についての知見がなかった人に向けて個人型DCに特化して解説をした入門書です。 特に、税金の控除に関しての仕組みの説明には、旧版に引き続き(あるいは、それ以上に)図表を使いつつ理屈がわかりやすく説かれています。 また、ここで大切なのは還付された所得税や安くなった分の住民税のお金を使ってしまわないことです。確定拠出年金は掛金を払うときにはこうした節税効果があったり、運用益が非課税になったりしてすばらしいのですが、運用してきたお金を受け取るときには課税されるケースもあるからです。そのため、戻ってきたお金を、NISA口座などを活用し投資に回していくことをおすすめします。そうすることで、金融資産をより大きく育てることができます。 という指摘がなされています。「拠出に応じて税金が安くなるよ、万歳」で終わってしまう解説記事も世の中に多い中、このようにせっかくの税メリットを更に再投資で増やしていくことまで踏み込んで説くのは極めて重要なことだったと思います。税金軽減分をすぐに費消してしまうようでは毎月分配投信の分配金を小遣い代わりにしてしまうようなもので、やはりできる限り再投資して複利効果を最大限享受するのが本筋というものでしょう。
また、本書では旧版であまり触れられていなかった受給時の注意事項についても詳しく触れられています。 一時金で受け取るときには退職所得控除枠が(一定間隔を空けないと)退職一時金などと共有されるため、場合によっては税務メリットが小さくなる可能性があるという点について書籍の中できちんと解説されているのは数少なく、ここだけでも価値があるといえます。 そして、「『自分にとっての』全体最適を考える」として、自分自身の公的年金や勤務先からの一時金・年金、将来のライフプラン(再就職・独立など)を把握・整理した上で、自ら最適解を模索していくことを提唱しています。 すぐに答えを求める向きには不満かもしれませんが、そもそもが資産形成に関する自助努力によるマネジメントを求める制度ですし、受けられる諸給付の種類も金額も、財政状態も、生活スタイルも各自の過去の状況と今後の選択により異なるのですから、この程度は自分で責任を持ってプランニングしないと始まりません。 その意味で、「『自分にとっての』全体最適」というのは当然の指摘と言えます。 幸いにして、プランニングに際して使える整理シートの類もいくつか例示されていますから、困ることはないでしょう。
本書は、制度を知らなかった全くの初心者に向けて書かれたものではありますが、一読することによって最終的には読者に各種保障の把握や税制の理解などを迫り、フィナンシャルプランニングの必要性を自覚させ、一端の経済人に成長させるものといえそうです。
旧版と見比べてみる
なくなっているもの 本書を旧版と比較してみますと、受給時の注意点というのは新たに加わった点ですが、逆に無くなっている部分もあります。
例えば、旧版では公的年金や企業年金の財政危機を強調したり、社会保険料や税金の負担増を指摘して、早いうちから自助努力で備える必要性を強調する(これに章を一つ割く)流れでした。 本書は、前書きで今年の制度改正について国の財政負担には限界があり、「制度(=資産形成をするうえでの枠組み)は作るから、自分たちで自助努力をするようにしてください」というメッセージも含まれているように感じます。 とコメントしたり、第1章の頭の部分で老後資金について少子高齢化の進展などを背景にこの2つ(=公的年金、企業からの給付)は以前ほど強力な柱とはいえなくなってきています。例えば、公的年金自体がなくなることはないでしょうが、将来、支給額が減ったり、支給開始年齢が遅くなったりといった可能性は十分にあります。 と軽く触れられている程度にとどまります。 旧版のように、厳しい状況を強調して危機感を覚えさせるというのも効果的ではありますし、そうされたほうが自覚する(そうしないと自覚しない)という人にとっては旧版のほうがよかったのかも知れませんが、個人的には負担増について政府に恨み言を言ってもあまり意味はない(どうなろうと対応できるように自分で備えておけばよい)と思うので、本書の程度に触れられていれば十分だったと思います(が、好みもありますからどっちがよいかは微妙なところでしょうか)。
一方、旧版では将来の不安に付け込んで金融機関が売り込んでくる商品(個人年金、変額保険、分配型投信etc)について注意を喚起し、なぜ避けるべきなのか解説するのに一章を割いていましたが、本書ではそれが無くなっています。 このような商品は(最近は金融庁がフィデューシャリーデューティーの観点から厳しい目を向けてきているとはいえ)未だにそれなりに横行しているところであり、注意喚起の必要性自体が消滅しているわけではありません。 個人型DCの制度をあまり知らない、従ってこうした商品に釣られてしまう危険性も高い人に向けて書かれた本で、その注意喚起をなくしてしまって大丈夫だったのかどうか、多少気になるところではあります。
時代の変化 個人型DCの利用者の数について、2012年12月の日付がある旧版前書きでは「14万6000人程度」となっていたのが、本書前書きでは2016年6月現在で「約27万人」となっており、3年半程度の間に2倍弱になっているようです。 依然として絶対数では少ないことは少ないですが、この伸びの背景にはやはり旧版やその他の資産運用本(アセットロケーションの考え方を持つ本であれば大抵NISAとDCは触れています)、ブロガーなどの影響もあったのでしょうか。 現在は金融機関も大いにDCの新規参入や宣伝、商品強化をしているところでもあり、仮に更なる改訂版が出るようなことになったときにはこの人数の数字は大きく増えているのではないかと期待したくなります。
旧版では、おすすめの金融機関として岩手銀行や琉球銀行、鹿児島銀行、三井住友海上火災保険などといった名前が挙がっていました。当時はこれらの金融機関が(運営管理手数料は高い代わりに)取扱商品の信託報酬が低廉だったのですが、今はSBI証券の商品増や楽天証券の参入などで運営管理手数料も信託報酬も低いところが出てきてしまいましたので、岩手銀行他は名前が消えてしまいました。 時代の流れを感じるとともに、情報を常にアップデートすることの重要性を感じさせられます。(まだこれから新規参入する金融機関もありますから尚更です)
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良書
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[ 2016/10/17(月) 01:38 ]
[ 最終更新:2016/10/17(月) 01:38 ]
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