11月22日に開催された、オフィスバトンの山崎元の突っ込みどころに参加してきました。
11月2日に開催された岩城氏と山崎氏の共著の出版記念セミナーと同じ、キッチン付きレンタルスペースでの開催です。 今回も前回同様、結構なウイスキーやワイン、料理などを堪能させていただきました。
セミナーの内容は、事前に主催者が何人かのプロを含む人たちに、山崎氏に聞いてみたい・突っ込んでみたい質問を収集しておき、それを投げかけるというものでした。
ドルコスト平均法について ・多くの人が「投資を始めよう」とするときには大抵投機的な取引をするものであり、それを避けてまともな投資をする・させる意味では有効なんじゃ? ・「心理の罠」(えてして相場高騰時の高いときに纏め買いしてしまう、下落時に投売りしてしまう)を避けるためにも良いのではないか?
→「気休めとしてならば民間療法でも有効」というのと、「投資として資金が増える効果があるかどうかが有効かどうかということ」というのとでは、有効という言葉の意味が変わってくる。 宗教心に目覚めて鎌倉投信を買うのかどうか、というのも、前者の意味ではその人にとっては有効かもしれない。ドルコストが有効無効というのもそれと同じこと。 後者の意味での有効性を言うなら、「単にリスクをゆっくり取っていくだけ」ということが基本的な答え。 また、貯蓄という習慣と積立という投資行動がなんとなく相性が良さそうだから、「積立投資」という手法を売り込みたい売り手側が、その裏付けをしたいために「ドルコストが有効」ということを言っているという面もあると思う。
ドルコストを薦めるFPの本によく書いてあるように(そもそもFPの金融知識自体大したことはないが…)、「上がったものは下がりやすい、下がったものは上がりやすい」という相関があるというのなら、確かに定額積立が有効だろうが……必ずしもそのような相関関係はないはず。
金融機関にとってはドルコストが都合が良い。 自動的に金が入り続けてくるのも都合が良いし、「トータルすれば安値で買えているはず」という思い込みがある(しかし正確な買値の把握が出来にくくなっている)分、乗換売買の口実も作りやすい(「今のうちに利益を確定して…」と)
積み立てていくこと自体は悪いものではない。総資産が増えてくるのなら、それにつれてリスク資産に投じるべき金額も増えてくるはずだから。
ある種のリトマス試験紙としてはドルコストはいいかもしれない。 ドルコストを無闇に良いものだとして勧めているかどうかで、DC本や投資本の作者として読むに足るかどうか、識別材料になるかも。
投資資金の解約・売却について ・お金が必要になったら必要なだけ躊躇なく解約すべし……と主張されているが、まさにそれが難しいところではないか。
→資金が必要になったときに、「解約を拒否し、リボ払いとかで金利を払って資金を用立てる」というのと「解約して期待リターンを放棄する」というのと、両選択肢を機会費用的に比較すべし。 (圧倒的に後者が有利になるはず)
買値にこだわるあまり売却を渋る人はファンドマネージャー時代の同僚などにもいたが、大抵下手だった(笑) 結局、「お金に支配される(=現時点での「損益」にこだわって売却が決断できにくくなる)」のか、「お金を支配する(=現在の「価値」のみを把握し、将来の期待リターンを判断材料として最も有効な決断をする)」のか、ということ。 お金を増やすのが目的なのに、お金を増やすのに適切でない行動を取ってしまうことが往々にあるようだが、そういうところで「馬鹿の値段が分かる」といえる。 たかがお金のことなんだから、計算で片付けよう(淡々と合理的な選択を取ろう)よ。
バランスファンド批判について
→初心者向けかどうかは疑うべき。 中身の構成とかリスクの把握がしにくいので、資産管理として適切とは言い切れない。
N氏にも反論されたことがある(!)が、「まともな人も肯定してるから、バランスファンドも初心者にいいんじゃないか」というのが通るのであれば、「勧めてる人が良いから、初心者がワインファンドなんかに手を出しても良い…」のか? なんてことにもなる。
プロがアセットアロケーションを組んでくれるとかいうのは特に価値のある話じゃない。
ターゲットイヤー型とか、ポートフォリオに歳を取らせる(債券比率を上げるなど)考え方について
→リスクをどれだけ取るのかは、あくまで財務的な問題。リスクをどれだけ吸収できる能力があるかによって判断されるべきもの。 一概に歳を取ったからリスクを下げるというものではない。
もっとも、リスク拒否度が変化したものという判断を経てリスクを上げ下げする余地はないわけではない。 いずれにせよ、少なくとも、分配金云々というような「高齢者向け運用」に走る必要は全くない。
投資する側が歳を取ったからといって、投資対象資産のリスクもリターンも変わるわけではない(年寄りが買おうが女子大生が買おうが、ソニー株はソニー株、ドコモ株はドコモ株)のだから、投資判断の条件がそんなに変わるいわれはない。
住宅は購入なのか賃貸なのか (手元のメモに「by神楽坂」って書いてあるけど何だっけこれ…)
→いかなる場合でも賃貸がよい…などという主張をするつもりはない。 コストとしてリターンとしてどうなのか、高いか安いか、という基準で判断すればよい。 資産を金融資産で持つのか、住宅という形で持つのか、その割り振りの問題であるに過ぎない。有効と判断されるほうを採ればよい。
手元のメモを元に再現しましたが、かなり抜けている部分はあると思います。(バランスファンド以降、メモの精度も量も落ちてますし…) このあと懇親会もありましたが……何かお話したかと思いますが、実のところ体調もあまり良くなかったところへウイスキーをしこたま飲んでしまったために、記憶そのものがかなり曖昧なありさま(^^;
いくつか質問してみようと思ったこともあったんだけど、質問しそびれてるなぁ…(ドルコストの話題が出た以上、「バリュー平均法」についての見解は如何、とか、バランスファンドでもemaxis8資産均等とかニッセイ4資産均等のように資産比率が固定されているものなら、リスク把握の面では問題がないはずだが見解如何とか…)
全体としては、普段著書やコラムで書かれていることなどとも重なる部分も多くなりましたが、それらとの一貫性も感じられましたし、言葉で語られるのも結構危ない発言(笑)が織り交ざったりしてなかなか面白いものだったと思います。
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