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海舟の中で資産設計を ver2.0
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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「積立NISA」の大綱を概観
12月8日付で、自民党より平成29年度税制改正大綱が発表されました。
本格的に法案を作る側から要綱が出てくるのはこれが初めてとなりますので、その内容を概観してみます。

積立NISAに関する記述は、資料の20~22頁(PDFデータとしては22~24頁)、2 金融・証券税制 (国税・地方税) 〔延長・拡充〕 (1)①として掲載されています。

制度概観


期間


累積投資勘定を設置した日の属する年の1月1日から20年を経過する日までの配当所得・譲渡所得につき、所得税・住民税が非課税となります。
なお、累積投資勘定とは、平成30年から平成49年までの各年のうち、現行の非課税管理勘定(現行NISA)が設定される年以外の年に設定できるものとされています。
また、累積投資勘定は、各年の1月1日に設置される事になっています。

各年ごとに累積投資勘定が設定されて、その勘定設定の年の1月1日から20年というのですから、どの年に買い付けたものであってもそこから20年間非課税になる、という理解でよさそうです。制度がスタートしてから20年で完全終了(最初の年に買ったものは20年非課税、次の年に買ったものは19年非課税…という具合ではない)
すなわち、平成30年に買い付けたものは平成49年12月31日まで、平成31年に買い付けたものは平成50年12月31日まで…という具合で、最後の平成49年に買い付けたものは平成68年12月31日まで非課税となることになります。

対象資産


株式投資信託(金融商品取引所に上場等がされているものまたは受益権の募集が公募によるものに限る)が対象となっています。
「上場されているもの」が対象となっていますから、少なくとも、国内上場のETFはこの記述からは対象に含まれていると考えられます
一方で、海外上場のETFの可否は不分明です。法令では、海外上場の株式・ETFを規定の対象に含めるときは、「金融商品取引所(これに類するもので外国の法令に基づき設立されたものを含む。)に上場…」という風な補足がつくのが通常のようですから、「金融商品取引所に上場」というだけだと対象にならない可能性があります。(要綱では「上場がされているもの」となっており、「等」の一文字に期待がかかります)

また、投資信託の分配頻度として月ごとに行うこととされていないこととなっており、毎月分配型は問答無用で対象外となっています。

投資信託の中身は、複数の銘柄の有価証券または複数の種類の特定資産に対して分散投資して運用を行うことが条件となっています。
有価証券複数銘柄というだけで足りるのであれば、一見、殆ど全ての投資信託がセーフになりそうですが、そういう理解でいいんでしょうか…?
特定資産というのは、投資信託及び投資法人に関する法律施行令の定義と同じ意味でよいのであれば、「有価証券」「不動産」「金銭債権」「商品」「再生可能エネルギー発電設備」などが含まれます。「複数の種類の特定資産」というのが、このカテゴリ1個の中の複数資産で足りるという意味であれば、不動産複数に投資するREIT個別銘柄とか、上場太陽光ファンド個別銘柄とかでもよいということになりますが、複数カテゴリにまたがる必要があるという意味であれば駄目になりそうです。この辺りは言葉の意味がもう少し明確になるのを待ちたいところ。

また、一定の場合を除いてデリバティブ取引への投資による運用を行わないことも条件となっています。
一定の場合というのは明確ではありませんが、長期分散投資を支援するという趣旨に照らし、おそらくは指数連動性を確保するための先物利用や、単にヘッジするための為替取引などは許容する趣旨ではないかと推測します。
逆に、制度趣旨に反する、投機的な利用(典型的にはブルベアファンドによる先物利用)、あるいはもっぱら分配原資を作出するためのオプション利用(通貨選択型など)などは排斥するということになるのでしょう。
どのように要件を具体的な法文に落とし込んでいくのかは見所です。

なお、株式投資信託以外の商品、すなわち個別株式・個別債券・公社債投資信託などは対象外となります。特に個別株式は現行NISAでは利用可能だったところ、積立NISAではアウトになるということですから、注意が必要です。

買付方法


定期かつ継続的な方法による買付が条件となります。
この文面上だけだと、金額指定買付に限られるものではなく、口数指定買付での積立も明確に排除されるものではないようにも見えます
なお、金額は毎年の取得価額が40万円が限度となります。



所感


投資上限の引き下げについて


まず、投資上限について、僅か年額40万円になってしまっているのはがっかりの一言です。
確かに、総額では現行NISAの600万円(120万円×5年)よりも多くなってはいます。
しかし、投入できる速度は今までの3分の1になってしまっており、同じポジションを構築するのに今までの3倍もの期間をかけなければならなくなるという機会損失、もしくは特定口座という今までより不利な口座を併用して補完しなければならなくなるというアセットロケーション的な不利益は見過ごせません。

「資金の拠出余力からするとこのくらいでも十分」というのは理由になっていません。別に、枠が大きいからといって全額埋めなければならないわけではないのですから、余力がない人はその余力なりに埋めればよいだけです。
それよりも、政府の言うとおり自助努力による資産形成をしようというのにその枠が低く抑えつけられてしまう方が問題でしょう。大きい枠を小さく使うことはできますが、小さい枠を大きく使うことは不可能なのです。

更に、NISAを今後積立NISAに一本化するという話もあるようですが、この程度の枠に絞られ、投資手法も限定されたものになっている制度しか使えなくなるというのも甚だ迷惑な話です。

今後本当に一本化するのなら、必ず大幅な枠の増加を同時に行なって頂きたいものです。


投資対象について


上記の通り、ETFについても排除されていません。海外ETFについては明確ではありませんが、対象になる可能性はあるものと思われます。
ETFは信託報酬も低廉ですし、個人の資産形成に最も適した運用手法ですから制度趣旨からしても対象外にする方がおかしいくらいで、利用できるなら一安心です。

ただ、毎月分配型を完全に対象から除外してしまっている文言が非常に気になります。
字面通りに行くと、上場インデックスファンド海外債券(Citigroup WGBI)毎月分配型(1677)バンガード・米国トータル債券市場ETF(BND)SPDRダウ工業株平均ETF(DIA)などといった優良ETFが軒並み対象外になってしまうことになりかねません。

言うまでもなく、ETFの分配金というのは受取利息・配当金に原資が限定されているものであって、確実に現金収益の裏付けがあるものです(参考)。通常の投資信託のように、実質的にキャピタルゲインから出ているのか元本を取り崩して出しているのかが分からず資産形成を阻害するようなものとは性質を異にしています。
そのように本質的に異なっているものを考慮することなく、単に毎月分配金が支払われているという一事をもって不適格とみなすのであればこれほど不適切な政策もないでしょう。法制化する際には、ETFの分配金頻度については無制約とするように規定を整備するべきです。

世界の先進国の投資適格債券やダウ30銘柄の株式に最低レベルの管理費用で投資して、利息・配当の範囲内だけで(制度上否応なく払い出される)分配金を受け取って、元本はそのまま市場で成長に任せる。そのような商品が個人の長期的資産形成の観点から不適格か? そんなわけはないのです。

積立について


買付方法は積立に限定されています。
正直、40万程度だったら年初に一括投資して、せめて機会損失をなしにしてしまいたい気もするのですが……。

さて、普通の投信であれば勿論積立投資は簡単です。特に問題とするようなことはありません。
ただ、繰り返しになりますがETFが除外されていません。となると、本来株数単位での売買が基本であるところ、なんとか積立に適した仕組みに嵌め込めるようシステム対応が必要になりそうです。

日本株(国内上場ETF)については、大手証券会社は累積投資プログラム(例:野村證券株式積立)がありますから、金額積立の形に対応することは問題はないでしょう。ただし、大手証券会社だとコスト高になります。
一方でネット証券だと現段階ではカブドットコム証券のプレミアム積立(プチ株)くらいでしょうか。ただ、プレミアム積立だと1株単位の銘柄が対象外になってしまうことになっており、このままだと対象外になってしまうETFが多くありますから、何らかの改修が必要そうです。

海外ETFについては現状では金額積立・株数積立とも提供されているものはなかったと思います。従って、各社ともこれから対応していかなければならないことになります。
こうなってくると、意図してか偶然か、SBI証券が今年の早い段階から海外株式の積立についてアンケートを繰り返していたのが注目されます。
あれだけはっきりと海外株式積立にフォーカスしてきた以上、おそらく社内でも少なくとも技術的な課題の調査や、場合によってはシステム開発のスタートくらいには入っていたのではないかと思いたくなります。もしそうであれば、これから各社が急ぎシステム対応をする必要がある折、一歩二歩先んじてスタートを切れているということで、競争上かなり優位に立てるかもしれません。
もしSBI証券が今日この事あるを予期して手を打っていたのであれば、かなりの慧眼というものです。(そうではなく単なる偶然かもしれませんが)


ともあれ、積立NISAを契機に一気に海外ETFの積立の仕組みが各証券会社に整備されることになるようなら、それは諸手を挙げて歓迎できる事態です。
NISAで対応できる仕組みをせっかく作ったのなら、それを特定口座にも対応させるのは造作もない話でしょうから、結果的にいつでもどこでも誰でもいくらでも海外上場ETFを(国内株のるいとうやプチ株積立と同じ感覚で)積立投資できるようになる可能性が開けてきます。
そうなると、日本の投資環境の面で更なる革命が生じたといえる画期になるかもしれません。
ここに関しては、是非とも実現を期待しておきたいところです。
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税金 | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2016/12/11(日) 23:08 ]
[ 最終更新:2016/12/11(日) 23:08 ]

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