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海舟の中で資産設計を ver2.0
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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条件の一部だけ見て軽々に判断するのではなく、面倒でも分析をしよう
日本経済新聞にて、社内預金制度が取り上げられていたようです。
 勤務先に社内預金の制度があれば、優先して利用するといいだろう。法律で年0.5%以上の金利を付けることが決まっており、銀行預金や個人向け国債などに比べてかなり有利だからだ。厚生労働省によると、社内預金の制度がある事業所は全国に1万9000余り。約50万人が9276億円を預けている。

 社内預金は多くの場合、法律が定めるいくつかの保全措置のうち、従業員がかかわる預金保全委員会の設置によって管理している。ただし預金保険の対象ではないため、会社が倒産したりすると払い戻しができなくなる恐れがある。2015年に労働基準監督署が把握した払い戻し不能のケースは4件だった。

<まめ知識>社内預金制度 金利0.5%以上


社内預金は金利の面で有利……確かにその通りです。
このご時勢、0.5%という金利はなかなかあるものではありません。
ただ、だからといって直ちに「優先して利用するといい」とまで言うのは一瞬立ち止まった方がよいところです。
この記事の後段にもあるとおり、「預金保険の対象ではないため、会社が倒産したりすると払い戻しができなくなる」というリスクがあるためです。

この記述をさらっと読み流すようだとあなたの家計は非常に危険かもしれません。
「会社が潰れる」ということは、「社内預金が吹っ飛ぶだけでなく、給与収入も諸共に絶えてしまう」という意味に他ならないではありませんか。
これをリスクの集中と言い、忌避される場合の多い事象です。

このあたりの考え方は、過去にも述べたことがあります。
 生活防衛資金としては社内預金はどうなのか





無リスク資産の高金利なら他にも道はある


仮に、社内預金の利用を検討する目的が、「無リスク資産を効率よく貯めたい」というものであれば、選択肢は他にもいろいろあります。(そもそも、給与収入の途絶と重なってしまう信用リスクを負う時点で、社内預金は「無リスク資産」としては不適格もいいところなのですが…)

例えば、一般財形貯蓄。いつでもどんな目的にも払い出せるのは社内預金と同様です。金利そのものは通常の銀行預金並みになってしまうでしょうが、会社によっては福利厚生としての補助金により、捨てたものではない利回りになる場合もあります。
もとより、資金は銀行に行くわけですから、勤務先の信用リスクなどからは隔離される上、預金保険制度による保護も受けることができます。

年金財形・住宅財形。これらは「払出が所定の目的に限定される」という流動性の制約を受け入れれば、預金金利の非課税という特典が与えられています。流動性の制約といっても、遡及して通常の税金を払いさえすればそれ以上のペナルティはなく払い出せるわけですから、そこまで強く拘束されるわけでもありません。
無論、こちらも一般財形と同様に会社の補助金はあるでしょうし、会社の信用リスクから切り離される点も同様です。

払い出す予定がないのであれば、確定拠出年金の中の元本確保型商品というのも一つの手です。60歳までは一切払出不能ですから流動性は最悪ですが、掛金の所得控除による税額減少という絶大なメリットを享受できます。(ただし、運営管理手数料や特別法人税による目減り、退職金のある人は退職所得控除枠の兼ね合いなど、ややこしい考慮も必要になります)
勿論、勤務先の倒産リスクは全く関係なくなりますし、預金保険や保険契約者保護機構による保護を享受する事もできます。

また、個人向け国債にしたところで、現時点ではたしかに(販売会社のキャンペーンによるキャッシュバックなどを考慮しても)厳しい利回りですが、しかし市場金利(10年国債落札利回り)が上昇していれば半年ごとに自動的に追随して金利が上がっていくという特徴を忘れてはいけません。
社内預金では、会社の経営状況による制約だったり労使協議の手間があったりしてなかなか機動的に利上げできない可能性もありましょうが、個人向け国債にはそのような問題はなくきちんとその時その時の金利を受け取っていくことができるのです。

各商品とも、「勤務先のリスクからは切り離される」という一点においては共通して明確に優れている一方、具体的特性も、税務メリットも、引き出しの制約も、晒されるリスクも、それぞれ微妙に異なっています。
そのため、自分のマネープランと各商品の特性とを照合・分析した上で、どれが最も適合的かつ有利であるのかを慎重に見極める必要があります。
もとより、「財形制度がないし、DCのような拘束は受け入れられない」「資金規模等を考えると勤務先のリスクを受け入れてしまっても問題ない」「社内預金のリスクを受け入れてもなお見合う金利差である」等といった理由で、やはり社内預金を使うという結論に至ることはありえるでしょう。
ただ、重要なのは「メリット・デメリットを認識した上で、それを踏まえた判断ができたのか?」ということです。

リスク性資産としても、他に有利な道はあるはず


仮に、社内預金にまつわる信用リスクを認識・受容した上で、「有利なインカムゲインを得られるリスク資産」として利用するという方針であれば、それ自体はひとつの投資判断としてありえるものと言っていいでしょう。
ただ、それならそれで、他にもそういう方向性での選択肢は色々あるはずです。

一番簡単なのは、高金利の普通社債を買うというもの。変てこな仕組債券(日経平均を参照するとか個別株を参照するとか…)でない、素直な債券であれば、満期まで持ち切れば元本は戻ってきますし、利息も社内預金より有利なものは探せばあるでしょう。
不幸にして債券の発行体が経営不振に陥った場合には、元本が毀損する可能性はありますが、個別企業の信用リスクを負うという意味では社内預金と比べてリスクの加重ではないとも言えます。いや、社債の発行体と自分の勤務先が偶然同時に潰れるなどという事態もなかなかないでしょうから、投資資金と給与収入とが同時に絶えるという可能性は低いはずで、その意味ではリスク分散になっているとも言えます。

元本償還にこだわらない(キャピタルロスも受け入れる)ことにしつつインカムを追求するのなら、選択肢は色々あります。リートや高配当株を使ってもいいでしょうし、軽考察をしたばかりですが優先株を使うというのでもいいでしょう。
いずれも勤務先のリスクなどは無関係であることは言うまでもありませんし、キャピタルロスが大きくなる可能性を受け入れれば、インカムそのものは社内預金など問題にならない高さになってくるでしょう。

インカム追求を極限まで推し進める(執着する)となると果ては多階建て投信になってきます。
これ自体、投資としてはとても合理的とは言いかねますが、しかし「給与収入の源である会社に同時に利息収入をも依存し、その元本も委ねる」という極端なリスク集中行動と比べるとどちらがましなのか一概に言えない面もありそうです。


こちらの方針を取るなら取るで、それぞれの商品がどういう特性を持っているのか、いかなる事象が発生したときに値動きやインカム水準がどう影響を受けるのか、誰のどんなリスクを引き受けているのか、そのリスク及びメリットを総合的に見て受容できるのかできないのか、リスク資産として取り扱うわけですから一層慎重に分析する必要があるでしょう。


自分のやろうとしていることを自分で理解する


社内預金を例としてきましたが、言いたい事は、「自分の保有している(保有しようとする)ポジションはどういうものなのか?」「自分の目的に照らして、そのポジションは整合しているのか? 受容可能なのか?」という問題をきちんと分析して自問自答しようということです。

単に、「預金という名前だから」「金利が高いから」などというだけの、ぱっと見で目に付いた特徴だけで判断してしまっては、もっと有利な選択肢を見逃したり、思わぬリスクに見舞われたりして足元を掬われる恐れがあります。


ユーリさんは、社内預金や従業員持株会のリスクを知った時に、一旦資産配分を集計・予測して定量的にリスクを把握し、その上で「この水準なら今は受け入れてもよい」という投資判断をされています。
 社内預金、持ち株のリスクについて考える。 (ごきげん手帖)

ittinさんおぱるさんは、いずれも「投資初心者」「投資の素人」などと常々自称されていますが、それでも多階建て投信や変額年金保険などといった複雑怪奇を極める商品について自分なりに分析を加えられた上で、「自分の方針にはとても合致しないようだから、購入しない」という方向の結論を導き出されています。
 四階建て投信について考えてみた (独身一人暮らし女だからこれからどうやって生き抜いていくか考えるブログ)
 変額個人年金保険には入りませんでしたが、モテの秘訣を見た。 (インデックス投資女子 Around40 Happy Life)

要は、こういう姿勢が重要です。
他人に勧められ強調された特徴を鵜呑みにするのではなく、「自分に合った商品なのか」を自分で主体的に判断を下す、そのために分析作業を惜しまずに行なう。
自分の金なのですから、そのプロセスを行なって自分で管理しなければ話になりません。


「踊る阿呆に見る阿呆」と言いますが、自分が何をしているかも分からず人に言われるがままに「踊らされる阿呆」ほど救いようのないものもないでしょう。
なにがなんだか分からない、という状況であれば、ひとまず何もしないで「見る阿呆」を決め込んだ方がよほどましというものです。見ているうちに踊り方を理解できることだってあるでしょうから、それからでも十分です。
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投資の考え方 | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2016/12/23(金) 18:59 ]
[ 最終更新:2016/12/23(金) 18:59 ]

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