*過去記事でも似たようなことは述べてますから、それを読めば本記事は読まなくても大丈夫です 年末調整ですが、還付金はお小遣いじゃありませんよ。行動ファイナンス的思考を忘れないでね 朝三暮四ってどういう意味ですか?
年も暮れて来ました。 会社勤めの人は、そろそろ年内最終回の給与が支給され、年末調整も実施されている頃だという人も多いでしょう。 住宅ローン減税や国民年金保険料、DCの掛金などで、還付金が多くなって手取りが激増している人も多いと思いますが、さて、その増えたお金は何処から出てきたものでしょうか?
何処からともなく湧いてきたわけではありません。 あなたが1月頭から12月途中までにせっせと源泉徴収により積み立ててきた仮払税金。ここから取り崩されているだけです。 年の途中の源泉徴収では、給与支給額に基づき概算税額を仮払いしているだけです。 住宅ローン減税による税額控除は月割で源泉徴収を減少させたりはしていませんし、給与天引き以外の社会保険料控除や生命保険料控除・小規模企業共済控除なども期中においては所得減少として税額を調整したりはしていません。
つまり、「本来あるべき徴収ペース」(税額控除や所得控除をタイムリーに反映させた上での徴収)より速いペースで徴収されていたので、仮払残高があるべき額よりも溜まりすぎる。それを確定税額に充当して、余った分を返している。それだけのことです。 所得控除や税額控除をタイムリーに織り込まれる制度であったならば初めから払う必要がなかったものを、あとから返されている。ただそれだけのことで、年間ベースでみれば特に損得のある話ではありません。 年末に一気にプラスのキャッシュフローが生じるのでインパクトを感じてしまいますが、単に、今まで11箇月余のキャッシュフローが不当に悪くさせられていた埋め合わせであるに過ぎません。 言ってみれば、自分がATMに入れていた金を引き出しただけです。 これを臨時収入であると思い込むのは、分配型投資信託の身の丈以上の分配金(実際には殆どが元本取崩金となっているもの)を、全て利益であると勘違いしているのと同様の錯覚というものです。
源泉徴収ありの特定口座では、有価証券の譲渡がある度に年初からの通算損益と対応する税額が再計算され、過剰払いの状態であれば都度還付されるはずです。 給与に関しても、仮に期中でも各種控除を都度反映させて累計税額を再計算する仕組みであれば、今回取り上げているような錯覚が生じる余地はなくなるでしょう。 もっとも、各事業所のシステム対応の煩などを考えると、そういう対応も簡単には行かないのかもしれませんが…
一瞬のキャッシュフローだけを切り取ると認識が歪んでしまいます。 やはり、年間を通じての視点を持つことが重要です。 前年実績などから給与はある程度予測が付きますし、控除も年末調整対象になる限りではさほど大きく異動するようなものではありません。従って、年間トータルでの税額を予測することは意外と難しくないはずです(状況が変われば適宜再計算すればいいだけです)。 その年間税額を、今までの仮払税金と比較すれば、どのくらい過払いになっているか不足になっているか(ひいては年末調整がどういう結果になるか)は把握できるはずです。 そういう年間単位の視野があれば、還付金を臨時収入扱いするような錯覚からは多少なりとも離れられる(単に今が払い過ぎ、機会損失の状態にあると正しい認識が持てる)のではないかと思います。
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