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海舟の中で資産設計を ver2.0
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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DC本の著者セミナー
去る12月13日に、八重洲ブックセンター本店にて開かれた確定拠出年金書籍の著者5人によるセミナーに参加してきました。

このセミナーは、井戸美枝大江英樹竹川美奈子田村正之山崎元の5氏による座談会です。
今年になって出版されたDC本の中で、まずオールスターといってよいでしょう。(岡本和久氏、改訂版でも出してれば間違いなく6人目になったんでしょうけど…)

大分時間も経ってしまいましたが、内容をまとめます。
論点ごとにまとめるので、話の順番として前後する場合があります。

DC本を書いた動機や思いについて


竹川氏は、「個人型に特化した」ということが他の人と異なる特徴。金融機関の選び方や運用の仕方他総合的に盛り込んだ。
自分自身も10年加入している。
2013年にもDC本を書いており、当時は加入者が加入可能な人の0.4%程度しかなかったこともあり、制度の認知度を上げる目的もこめる意味で煽り気味のタイトルになり、論調もメリットを殊更強調した形になったが、今回は注意すべき点も多めに盛り込んでいる。

井戸氏は、竹川氏と同時期の発刊となったので差異が目立つように、あえてシンプルなタイトルにした。
社労士であり政府の企業年金部会にも所属している経験もあることを踏まえ、広く年金について詳しく触れている。年金の色々な受給パターンについて紹介している。
iDeCoという愛称をつけたときの選考委員だったが、発表当日に出張しており発表会に登壇できなかった。
来年からは予算がついて個人型DCの広告を強化していく流れ。

田村氏は、一番安いのが売り(いやいや、それじゃアカンでしょw)。
エッセンスを書いている。30分で読める程度、「さっと読んでさっと理解できる」を目指した。(その中で選択制DCや海外制度なども触れる)
日経電子版に書いていた記事につき、以前はまったく反響がなかったが、最近になってようやく読まれている。

山崎氏は、この1冊で個人型も企業型も大体分かるように書いた。
商品が30本並んでいると大体25本くらい地雷がある(アクティブもターゲットイヤーもバランスも大体地雷)が、いい運用は大体論理的に決まる。そこを書いた。
もともと金融機関には嫌われているので、好きなように書いた。

大江氏は、初心者向けの本として、DCという言葉の意味もわからない人に向けて解説するものとして書いた。
力を入れたのはやはり運用方法。「理にかなうのはこれだ」と力を入れて書いた。
シンプルに理解したいという層を狙っている。



制度改正について


井戸:ライフスタイルが変わっても誰でも入れるというものになった。
今までは、3号被保険者になるともう加入者になれなくなるというとんでもない制度だった。
なぜ専業主婦まで入れるようにするのか、という反発の声もあるが、3号といっても色々いる。一旦3号になったが少ししたらまた働き出そうというつもりの人もいるわけで、そういうライフスタイルの設計の人が入りやすいようにというのがある。
公的年金を100年もたせようとしたら年金の支給を減額するしかない。そこで、税金で優遇するから自助努力をしてくれというのがDC制度。
つまり公助・共助・自助の3本の足のうち、自助を忘れないようにしてほしい。楽に自助できる制度である。
特に女性に加入して欲しい。夫が先に死んだ場合に、夫の分の年金減少や医療費の負担増大などにより貧乏になる可能性がある。

竹川:自分の加入している制度(企業内の福利を含む)を知らない人が多い。
セミナーをやっても、自分がどういう制度に加入しているのか理解していない人が多い。
今回を機会に調べて、自分の制度を理解して欲しい。加入するのはその後でよい。
加入できるようになったからといってDCだけを活用するというのではなく、NISAなども含め全体的に俯瞰するべき。


地雷について


山崎:DCで可能な金額よりも大きな金額を貯蓄しておくことが必要な場合が多いはず。その中でもDCは一番得な置き場である。
従って、縦軸に制度(DC・NISA・課税口座)、横軸に商品種別(リスク資産(国内株・海外株・債券…)、無リスク資産)をおいて、全体を見る。
NISAを最初に決め(売却時に枠が戻らないなどの制約から)、次にDCという順番で、使う商品を当てはめていく。たいていはNISAでTOPIXのETF、DCで海外株式インデックス、それらに入りきらなかった分を課税口座、ということになるはず。
このような決め方で、地雷は避けられるはず。

田村:5月段階ではほぼ「玉石混合」の石だった。
今は低コストの商品が増えており、制度に注目が集まる中で「日光消毒」のように虫(悪質な商品)が消えたのではないか。
どうせ加入するなら低コストの商品を選ぶようにしたいが、実際に選ぶことが可能になっている(ラインナップが改善されている)。
更に、加入者が増えることで「ビジネスになる」程度の収益性になることで、より改善が起こるという好循環を期待したい。
地雷を踏まないために、<DCナビなどで低コストの商品を置いている機関を選びたい。

竹川:「あんなポータルを作られるとコストを下げざるを得ない」という声が販売側からある。
前著を書いたときは、簡単に比較することができず、各金融機関に問い合わせて資料請求しなければならないありさまだった。

井戸:企業型だと導入時にセミナーがあるし、継続教育もある。
個人型だとそれがない。従って自分で情報収集する姿勢が大事。

山崎:ただし企業型のセミナーも「カモの養殖」で、商品説明が適切でない場合も多い。
金融機関の紐のついていない教育をすることが大事。

井戸:最近は労組が金を出してセミナーをする事も増えてきた。

大江:やはりセミナーにはきちんと金を出してやることが大事。

ガバナンスについて


山崎:財務部員が、取引銀行に恩を売るためにDCを売り渡す(運営管理機関として選任する)ことがある。
そういうところには銀行も喜んで地雷誘導員を送り込むことになる。

田村:企業型の担当者に話を聞くと、取引関係のしがらみで、運用商品の入れ替えのときに問題商品を除外しにくい場合がある。
なので、社員による監視がないと、低コストの商品を除外してまで(しがらみ付きの)地雷商品が残留することにもなりかねない。

大江:建前は「会社と運営管理機関が、労使合意を経て決定する」ということになるので、労働者側もちゃんと防げるようにしておかないといけない。

竹川:ただ、個人型にはそういうガバナンス制度さえない。運営管理機関が好きなようにできてしまう。

選択制DCについて


田村:社会保険料の削減などに釣られて、コスト削減を目的に給与が下がる形でやってしまう軽率なのは問題がある。

井戸:給与が下がることによって社会保障が下がる。諸手当も下がる。年金も下がる。休業補償も下がる。目先の税や社会保険料が下がることだけに目が行ってしまうのはよくない。

大江:給与が下がって、「前払い退職金」などと称して騙す(本当は給与が減っているし井戸氏も言うように各種給付も下がるなど、退職金といえる代物ではない)のは社会悪。これについてはこれからも戦っていきたい。

課税について


田村:国税の節税効果は他の制度によるもの(生命保険料や住宅ローン減税、ふるさと納税…)と混ざってしまうので、特別に意識しにくい。使ってしまいやすい。
地方税の節税効果は特別徴収が減るという形で実現する。従って、やはり意識しにくい。使ってしまいやすい。
使ってしまっては意味がない。別口座に相当額を貯めておくなど管理するべき。

竹川:既に普段の積立額を節税分増やすなどの対応をしている人もいるようだ。(←私安房もやっています)
なお、受給時には課税されるのであるから、控除分を浪費しているようではなんにもならない。
そう考えると、本当にみんなが加入するべきなのだろうか。今の勧誘の場では、「不安商法」と「所得控除の効果」ばかりを前面に押し出すパターンが横行している。受給時の問題を考えることなく安易に加入するのは考え物である。
そう考えると、逆説的だが、本当に加入するべきなのは「今回入れるようになった人」よりもむしろ「元から入れた人」(自営業や企業年金のない人など、受給時の節税枠がありそうな人)ではないだろうか。

その他


田村:どんな受け取り方ができるかも運営管理機関選びの参考にするとよい。年金と一時金の併用ができるか否かなど。

大江:受給方法は一番大事。

竹川:現状、併用ができないSBI証券にも併用できるように要望しようという有志の活動もあるようだ。こういった面での競争も起こってくるかもしれない。

山崎:加入上限年齢を70歳くらいまで引き上げることも必要ではないか。
実際問題これからは70まで働かざるを得ないようになってくるだろうし、政策(1億総活躍など)にも合致するのではないか。

田村:アメリカのように、「駆け込み拠出」ができるようにもした方が良いのでは。

井戸:加入者の種類によって上限額が色々ありすぎる。もっと分かりやすく整理を。

竹川:移管が時間がかかりすぎる。この乗り換えの不便は運営管理機関間での競争を阻害するのではないか。
また、DCの投信の情報開示は酷い。目論見書さえなく、1ページくらいの説明資料しかないありさま。NISAや課税口座の商品と統一的な情報開示を。

山崎:商品の説明義務を厳格化することで、地雷除去の後押しができるのではないか(アクティブ商品など、どうせそのコストの合理性にまともな説明がつくわけはないのだから…)


感想


流石にこれだけの面子が揃うと話題も広がりますし、良指摘が飛び出します。
「日光消毒」というのはユニークな指摘でした。確かに最近は、低信託報酬の商品を盛り込んだ新プランを打ち出す金融機関が後を絶ちません。
そのような動きが定着するのかどうかは、ひとえに利用者の行動次第になってくるでしょう(高コストな商品しかない機関から流出し、低コストな商品を揃える機関に流入し、「高コストの商品を売り込もうとしてもパイが小さくなって、低コストな商品を売った方が収益の期待値が高くなる」という状況を作り出せるかどうか)。
その意味で、今後は利用者も試されるのではないかと思います。

課税について、「控除分を再投資する」という自分自身やっている行動に触れられたのは親近感を刺激されましたw
また、「所得控除ばかり強調されている」というのは新たな指摘です。朝三暮四のようなことになってはいけません。今後認識が広がるべき問題でしょう。

DCの情報開示がしょぼいというのは、過去に当ブログでも取り上げたことがあり、まさに我が意を得た感じです。


1時間半程度で終わってしまったのが惜しいくらい、充実した内容だったと思います。
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[ 2016/12/31(土) 01:35 ]
[ 最終更新:2016/12/31(土) 01:35 ]

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