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2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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ETFに委託会社の信用リスク……は、無いはずなんだが。
ちょっと気になる報告がツイッターに上がってきています。








ETFの銘柄によっては、委託会社の倒産によって信用リスクに晒され、投資家は純資産相当額の確保ができなくなる恐れがある、というのです。
信託制度の倒産隔離機能、そして投資信託という商品の根幹を揺るがす事態になりますが、どうなのでしょうか……?


関係法令を概観してみますと、やはり特にそのようなリスクはないのではないかと思います。
便宜上、基本的に「破産」の場合に絞って検討しますが(会社更生でも民事再生でもほぼ同様になるはずです)、委託会社が倒産しても投資家は純資産相当額の返還を受けられると認識します。



投資信託の委託会社が破産手続開始決定となった場合、委託会社がその時点で有する一切の財産は破産財団となり、総債権者への弁済原資となります。(破産法34条1項)
あくまで委託会社に属する財産だけでして、信託財産に対する委託会社の権利ないし権限は、信託契約上の地位に基づいて指図をするという立場に過ぎず、直接支配権を有するものではありませんから、破産財団に入る余地がありません。信託の設定段階で所有権を受託者に移している意味はここにあります。

では破産手続開始の後に信託契約、そして信託財産はどうなるのか。
信託契約は、倒産法制上は「双方未履行の双務契約」という扱いになり、管財人が信託契約を継続するか終了させるかを選択することになります。(破産法53条1項)
ただし、こと投資信託においては破産の場合は完全に自由に選択できるわけではなく、委託会社は破産手続開始決定によって解散すること(会社法471条5号)から、解除が強制されます(投資信託及び投資法人に関する法律24条1項2号)。
もっとも、他の委託会社に信託契約に関する業務を引き継ぐことで投資信託を生き残らせることも可能です(投資信託及び投資法人に関する法律24条2項4号)。

民事再生・会社更生の場合は当然には委託会社の解散をもたらしませんから、管財人に選択権の生じる余地があります。
ただし、金融庁の判断次第では「支払不能に陥るおそれがあるとき」として金融商品取引業者としての登録が取り消され(金融商品取引法52条1項7号)、それによって信託契約の解除が強制される(投資信託及び投資法人に関する法律24条1項1号)場合もあります。

そして、信託契約の終了を選択した場合は、「信託財産の清算」が開始することになります。(信託法175条)
この清算手続きは、信託財産の一切を換価し、信託財産に関する諸経費を弁済した上で、残余財産を帰属権利者に分配するもので、受託者の主導により委託会社自体の倒産手続とは全く別個独立に行なわれるものです。
もとより、委託会社の権限を引き継いだ管財人は換価のための売却指図などを行なうのでしょうが、それはあくまで「信託契約を終了させる」という管財事務の一環ないし延長線上の職務として行なわれるものに過ぎません。
断じて、そこから発生した収入を破産財団に組み入れるなどという、破産手続開始前の委託者すら有していなかった権限がどこからか湧いて出てくるものではありません。

破産手続開始決定による信託財産の清算というとなにやらよほど特別な手続のように聞こえますが、何のことはない、手続としては不人気ETFや不人気投信、満期になった投信等々を償還するのと全く同じ、ごくごく普通のものです。

残余財産の帰属をどのようにするのかは信託契約によって定まります。
例に挙げられているNEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価連動型上場投信 《愛称》NYダウ30種ETF(1546)の場合、約款(請求目論見書に記載)によりますと、
(名義登録と収益分配金、償還金および一部解約金の支払い)
第42条
⑥償還金(信託終了時における信託財産の純資産総額を受益権口数で除した額をいいます。以下同じ。)は、信託終了日から起算して40日以内の委託者の指定する日から、原則として、信託終了日現在において振替機関等の振替口座簿に記載または記録されている受益者に対して、受託者または第2項の会員等から支払います。
とあり、受益者に保有口数に応じて金銭で支払われることになっています。
一方、同じ野村AMのETFでもTOPIX連動型上場投資信託(1306) においては、約款49条によると、「一定の受益権口数を保有する者は現物株式バスケットとの交換、それに満たない者は販売会社が基準価額で買取」という形になるようです。
この取扱の差異は、1546が「現金設定型」、1306が「現物バスケット拠出型」という組成方式の違いによるテクニカルな理由でしょう。
ただし、実際には清算手続に際して約款変更を行い、大口・小口問わずすべて現金償還することになる可能性もあります。
日興AMの上場インデックスファンドTOPIX100日本大型株の繰上償還の際にも、もともとは現物バスケットの交付を原則としていた約款を変更して現金で償還しています。


以上の通り、手続上はETFの受益者と委託会社の一般債権者はまったく交じり合う余地はなく、それぞれ別々の手続に乗って別々に弁済を受けることになります。ETFの受益者は、純資産に相当する返還を受けることが当然にできます。
ETFに関して起こることはただの繰上償還であって、委託会社の倒産処理手続は単に同時に起こっているだけでしかないのですから、ごく当たり前の結論です。
そもそも、受益者や信託財産に対する債権者の側は委託者の一般財産に対して何らの請求もできないことを思えば、逆に「委託者の一般債権者だけが信託財産を構成する資産に何らか権利を主張できる(信託財産中の株式を同列の立場で取り合えるとは、そういうことです)」などとは、あまりにも均衡を失し到底ありえないことは明らかでしょう。



なお、引用ツイート中にある「現物では30銘柄保有していますが、これは別の金融機関が保有していてそれが小口化されている為だそうです(信託銀行の管理ではなく)」というのは、特に上記の話を左右するような事情とは考えられません。
この発言をした野村AMの担当者の意図は不明ですが、「『株式バスケット現物と引き換えに受益権を発行する』のではなく、『現金を引き受けて受益権を発行し、信託財産の中で株式を購入しているに過ぎないので、受益権と株式との結び付きが希薄である(ように見える)』」という組成プロセスを意識するあまり、なにか問題を勘違いした勇み足でしょうか?

株式現物バスケット拠出を引き受けたものであろうが、一旦現金を引き受けてから買い付けたものであろうが、もとより信託財産の枠内にある資産である以上、受託者たる信託銀行が(信託契約による委託者の指図を受けつつ)完全な支配権を持つのは当然です。
仮に、現物がその受託者(信託銀行)でなく他所の金融機関にあるとしても、それは単に受託者が当該他の金融機関に寄託契約や再信託契約などによって預託しているに過ぎず、受託者が「清算・繰上償還するから返せ」と指示すれば、寄託契約・再信託契約に基づき当然返還せざるを得ないでしょう。(保管している金融機関は、言ってみれば単なる下請けでしかないわけですから)
なお、仮に一定期間返還請求権を制約するような特約が存在するとすれば、そのような流動性リスクに晒されていることについて財務諸表(請求目論見書に掲載されています)上に何らかの注記がなされていそうですが、特にそのような記載はありません。
また、言うまでもなく、委託者の一般財産のための担保として信託財産が供されているなどといった記載もありません(そもそもそんな取引をしていたら横領背任に等しいですから、ありえませんが)

いずれにしても、「信託財産を構成している資産が、その枠を飛び出して委託者の一般債権者への責任財産に紛れ込む」などといった事象の理由付けを見出すことは極めて困難です。


信託というのは受益者とその他の者、信託財産とその他の資産とを厳しく峻別し、受益者を極めて強固に守る制度です。
安心して投資していて大丈夫だと思います。
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外国株・ETF | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2017/01/07(土) 17:31 ]
[ 最終更新:2017/01/07(土) 17:31 ]

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