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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。 以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。 投資関係中心に語ります
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税の知識、マネーの知識を学ぼうとする切っ掛けとして漫画でも如何 |
珍しく、漫画の紹介です。 ゼイチョー! ~納税課第三収納係~(1)という本が、ヤフーニュースからリンクされて第一話の特別公開がありましたので、とりあえず1巻目をkindleでポチってみました。
主人公は市役所の税務担当女性職員で、指導担当らしき男性職員とタッグを組んで様々な滞納者の直面する生活上の問題に切り込みつつ、無事に納税していただけるように計らう、といった感じのストーリーです。 いちおう「女性コミック」というカテゴリのようですが、別に男性が読んでも特にどうということはありません。
さすがにかなりの短編ですから、各話ともにやけにあっさりと主人公の説得を登場人物が受け入れて問題が簡単に解決していき、雰囲気も「いい話」チックになりすぎている感もありますし、いくらなんでも「読むだけで税金の仕組みがよくわかる」(現代ビジネスのページより)とは言い過ぎな感が拭えません(そこまでのボリュームや体系をコミックに求めるのも酷でしょう)が、1話に1つ2つは納税者として知っておきたい税金の知識があるといった感じです。
特別公開されている第1話の「扶養控除や家族分の医療費・社会保険料を控除に入れることで所得引き下げ・税金還付」というのは本書の中では一番身近で重要な知恵でしょう。 そのほか、第3話での「寡夫控除」や第4話の「青色申告控除」なども、該当する人にとっては重要なコスト減をもたらし得る知識ですね。
一方で、法律的にちょっとどうなのかな? という点もないではありません。
第2話で、滞納税と借金とで首が回らなくなった菓子屋の親方(「社長」と呼ばれてましたから、店は法人組織なんでしょう)の打開策として「不動産(家と店)を売る」というのを主人公が提案しているシーンで、裁判所に申し立てる「競売」という選択肢を提示していましたが、租税の滞納があるのですから裁判所など通さずに市自身が「公売」の手続を取れるはずだろう…とか。
結局、主人公側は「任意売却」を推奨し、親方がその場でそれを飲んだところ、先輩職員がその場で馴染みの不動産屋に電話をかけて売却の仲介を指示していましたが、未払金の処理の過程でそこまでやっちゃうのって弁護士法との兼合いは大丈夫なんだろうか、とか。 (滞納整理については不勉強なので、実際の滞納整理の現場ではそのようなことが行われているのか、いないのか、よく存じませんが…)
親方にとってたぶん数少ない資産である不動産を売却してしまうのって、そもそも詐害行為取消権(民法424条)の行使を暗いそうだよなぁ、とか…… (他の債権者に弁済できるだけの売却額になって、実際に弁済をしてしまえば文句の付けようは無いわけですが…)
第3話で主人公が言っている通り、「制度などを知らないと控除が受けられない」という事実は厳然と存在します。 よく知らないばかりに、第1話での滞納者などは本来の税額は零にできるのにも関わらず、不要な税金を納め還付金は取り損ね日々の生活にさえ事欠く有様に陥っていました。 税金に限った話でもなく、同じ第3話に登場する市の保育課長は「一人親支援の制度も届いていない」ことに言及していますし、公的年金の各種免除・猶予制度、あるいは障害・遺族年金、付加年金・国民年金基金・確定拠出年金など、さまざまな制度につき「利用できるのかできないのか」「利用する/しないことそれぞれについてのメリットとデメリットは何か」など、知っておき判断できるようになっておけることが極めて重要な制度は多々あります。
自分がどのような経済的ポジションを持っている(あるいはこれから持てる)のかを十分に知悉しているかいないかで、将来の生活水準が大きく左右されることになることは明らかです。 その知識と判断力を備えるのは、基本的には各自が責任を持って学んでいくべきことも当然でしょう。自分の経済のためですし、他人には貴方のポジションは完全には見えないのですから。 本書で幾つかの知識に触れることによって、そのような学びを読者各自自分なりに始めていく切っ掛けになれば良いと思います。
ちなみに、基本的には「いい話」なのですが、個別に見ていくと、登場する市役所の人もなかなかしたたかな思惑を持って動いているという面もあるのではないか…と邪推できるところもいくつかあるような気もします。
以下は、法務・会計クラスタとして知識を無駄活用の限りを尽くした推測です。興味のない方は読まなくても結構です。
例えば、第3話で保育課の課長を共同作戦に引き込むシーン。 「住民税と保育料きっちり納めてもらいましょう!」「あなた面白いわね気に入ったわ!」という感じでタッグを組むのですが、保育課の課長としても別に主人公のことが気に入ったというばかりでもなく、 「もし滞納処分になったら保育料債権は租税債権に劣後するから回収できないかもしれない……今のうちに共同作戦で回収できるなら勿怪の幸い!」 という思惑だったかも?
あるいは、第2話で菓子屋の親方の店舗を売却することにするシーン。 実は先輩職員、ここで「売却はするけど親方はそこを賃借して商売を続ける」という絵を描いています。ご丁寧にも、不動産屋には「賃貸契約も任せる。家賃安くしろよ!」なんて指示しています。 仮に買主兼貸主が法人ですと、相場より安く賃貸したりしたら大変です。貸主は法人税上は「相場で貸して賃料を取り、差額は借主に寄付した」とみなされることになりかねません。寄付金の損金算入限度額をオーバーした分は貸主の課税所得が増加し、税額が増えます。 さらに、もしかするとセールアンドリースバック取引とされた上で、金銭の貸借と判定される可能性もあります。そうなると、貸主としては「相当な金利を織り込んだリース料で貸したとみなし、利息相当分を益金算入+実際の(安くした)リース料との差額は寄付金認定」という処理になり、やはり寄付金の損金算入限度額との戦いになるばかりか、減価償却費も税務上は計上できなくなってしまいます。 以上のように、買主兼貸主の方で課税所得が増え、法人税の増加を経て法人住民税の増収が狙える可能性があります。そこまで見越しているのだとしたら、この先輩職員ただものではありません。 親方の窮地を救うという善意もないではないのでしょうが、うまく行けば税金の増収も見込める、一石二鳥です。
ヽ(´ー`)ノ 。oO(誰? こんなに邪な読み方をする人はお前だけだって言ったの) ヽ(´ー`)ノ 。oO(そんなことを言う人には、えーっと、アク禁ってどうやるんだったかなっと)
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雑記
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[ 2017/01/09(月) 01:01 ]
[ 最終更新:2017/01/09(月) 01:01 ]
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