fc2ブログ
アクセスランキング

海舟の中で資産設計を ver2.0
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
>> ホーム
>> RSS1.0
プロフィール

安房

Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ
にほんブログ村
にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ
にほんブログ村
にほんブログ村 株ブログ つみたてNISAへ
にほんブログ村

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

UBS (5)
ESG (2)

確定申告。まだまだ時間はあるから忘れ物をしないようによく確認しよう。税制研究の入口でもあります
早いものでもう2月に入っており、既に確定申告も早い人は完成・提出の段階に来ています。
特に、還付申告となる見込みの人は、早く出せば出すだけ早く還付金が貰えるという事もあり、早めに手続きをしている人も多いでしょう。
というより、「納付」になる人は本当は受付期間が始まっていません。
もっとも、フライング提出してしまっても所得税基本通達120-2によって「期限内申告書に該当するものとする。」という救済措置がとられていますから、1月に入ってからでさえあれば実際上の問題はないのですが。

しかし、確定申告は3月15日までにすれば足りるのです。(仮に還付申告であれば5年以内でよい)
慌てて提出する前に、もう一度申告すべきものの漏れが無いかどうか、間違えやすいところを確認するのを忘れないようにしましょう。

いくつか典型的な部分を挙げてみます。



確定申告書を提出しようとしているのに「20万円以下の所得」を落としたりしていませんか


よく、「給与以外の所得が20万円までなら確定申告しなくていい」と言われています。
たしかに、所得税法121条1項によれば、給与総額が2000万円以下の場合で給与所得及び退職所得以外の所得の合計額が20万円以下であることなど、所定の要件を満たしておれば、「確定申告書の提出を要しない」とされています。
退職所得や公的年金雑所得の受給者についても類似の規定があります。

ややこしいですが、提出しなくてもよいというだけに過ぎず、「所得から除外してよい」とは言っていません
あくまでも所得は所得であり、申告書に記入する義務は依然としてあるままであって、ただ提出するという手続だけを免除する(提出しなければ、所得が捕捉されない結果、事実上税が課される機会がなくなる)というのに過ぎません。

従って、還付申告であれ、損失を繰り越すための申告であれ、なんらかの申告書を提出するのであれば、そこには上述の20万円以下の所得も記載しなければなりません。
申告書を提出する以上は、いやしくも課税所得を構成すべきものは全て記入しないと過少申告になります。


なお、「少額であれば申告しなくてもよい」とされているものには、ほかに少額配当(1回あたり10万円以下の配当金)があります。
一見似たような制度にも見えますが、こちらはたとえ還付申告や損失申告をする場合であっても申告書に記載する必要がありません
こちらの制度は租税特別措置法8条の5でして、「総所得金額…の計算上当該…配当等に係る配当所得の金額を除外したところにより」申告書の作成・提出を行なうことができる、とされています。
「総所得金額の計算上除外」というのですから、そもそも所得を構成しないことにして構わないということです。
所得を構成しないのですから、どのような申告書を提出するのであろうと、その中に盛り込まなくても誤りではない、ということになります。
「所得を構成しないことにしても構わない」というだけですから、もちろん納税者側の選択で所得を構成することにしても構いません。
譲渡損失との通算をしたり、配当控除を受けたりするために申告書に記入するのは、とりもなおさず所得を構成させる選択をしたということです。


「実体上は所得を構成するのだが提出手続だけが免除されている」というのと、「所得そのものから除くことが許されている」のか、一見すると紛らわしいですが本質的に大きく異なっています。
そのことをよく理解した上で、前者に該当する「20万円以下の所得」に関しては申告書を提出する以上は漏れのないようにきちんと記入するようにしましょう。

住民税申告を忘れていませんか


さて、国税への確定申告書の提出義務がないことになったとしても、住民税の申告の義務は残っています。
住民税の申告というのは馴染みが薄いですが、実は、いやしくも所得がある以上はみな住民税の申告をする義務があります。(地方税法45条の2・1項)
その上で、以下に該当する者については提出しなくてもよいということとされています。
・給与所得または公的年金以外の所得が全く無い人は、住民税の申告書を提出する必要がありません。 (地方税法45条の2・1項但し書き)
・所得税の確定申告書を提出した者は、住民税の申告書も提出したものとみなされるため、実質上改めて提出する必要がありません。(地方税法45条の3・1項)

以上の2つの例外に該当しない人は、原則に返って、住民税の申告書を提出しなければならなくなります。

従って、「給与以外の所得が20万円以下で所得税の申告書の提出手続が免除された人」は、実際に所得税の申告をしていないのであれば、住民税の申告をしなければなりません。
もとより、「20万円以下の所得」は実体上は課税所得を構成していることは住民税においても同様ですから、住民税の申告書にはその所得を盛り込む必要があります。

「20万円以下の所得」は所得税において単に提出手続が免除されていただけでしたから、住民税の申告書に書かなければならないというのは比較的分かりやすいでしょう。
それに加えて、所得税では「そもそも課税所得から除外」できた少額配当についても、住民税では必ず課税所得を構成します
所得税では租税特別措置法によって所得からの除外が定められていたのですが、住民税については地方税法でも租税特別措置法でもなんら特例が定められていないので、原則に返ってきちんと課税所得を構成。そして、課税所得である以上は住民税の申告書に書かなければならない。こういうことになります。
ただし、上場株式であれば基本的に住民税が特別徴収されているため、住民税申告書から漏れても税額上は特に影響しないはずです。
これに対し、非上場株式を持っている場合、そこからの配当は所得税しか徴収されていませんから、住民税申告書への記載は欠かせません。


医療費控除から補填分を差し引いていますか


医療費控除については、既に過去記事でも触れていますが、改めておさらい。
 医療費控除。社会保険や民間保険からの給付を忘れないように。民間保険は理解しやすいものを使いましょうね

医療費控除では、保険金や損害賠償金など、医療費を補填する性質のものは医療費から差し引いてやらないといけません。
仮に医療機関や医薬品代・収容のための役務代(交通費等)などに年間100万円支払ったとしても、保険金や損害賠償で30万円補填されるのであれば、医療費控除に回せるのは70万円です。(支払と補填とが同一案件に関するものであるとする場合)

ここで差し引くべき補填金というのは、民間保険の手術給付金(=手術費用に対応)や入院給付金(=入院代に対応)、先進医療特約給付(=先進医療代に対応)などが典型です。
勿論、健康保険での高額療養費、労災保険での療養費用給付、自治体などが(多くは社会福祉政策の一環として)行なう助成金なども含まれます。

一方で、がん保険の診断給付金は、具体的な医療行為とは紐付かないため、医療費から差し引かなくてよいと考えられているようです。 (参考:日本経済新聞
また、健康保険・労災保険などから出る傷病手当金や出産手当金、あるいは労務不能による休業補償などは、医療費補填ではなく生活保障だからということでしょう、差し引く必要がありません (参考:質疑応答事例・出産のために欠勤した場合に給付される出産手当金
また、「医療費からの差引き」は、あくまで給付金と同一案件の医療費だけを対象にすればよく、仮にある案件で給付金のほうが多かったとしても、余った給付金を他の案件の医療費と相殺する必要はありません(参考:質疑応答事例・支払った医療費を超える補てん金

なお、医療費と補填金とは、同一年度(医療費を支払った年度)で相殺してやらなければなりません。
仮に、年末時点で未収の補填金があった場合でも、対応する医療費を支払っていたのであれば概算で相殺する必要があります。
逆に、過年度に支払い済みの医療費について、後になって予想外の補填金が何処からか出てくるようなことがあったとしたら、過年度に遡及して修正申告することになります(その場合、延滞税や加算税がかかる場合があります)。
そのような勿体ない付加税を掛けられることのないよう、最初に申告する段階で将来受給可能な保険金・補償金等を見積もるべく、自分の加入している社会保険や民間保険、企業給付などの給付体系をきちんと理解しておくことが必要です。
特約だらけの複雑怪奇な医療保険などではこういうときに困るかもしれません。


おわりに


所得を過少に申告してしまう、申告すべきものを申告しないという事態に陥るいくつかの典型例を解説してきました(もとより、ココで挙げたのに限られるものではありません)

我が国の課税方式の中心をなす申告納付方式は、課税庁が一人一人の経済活動を逐一調べ上げて税額を決定する賦課課税方式に比べ、「課税庁のコストが著しく低くなる」「本人に任せることで課税標準のより正確な把握が期待できる」といった利点をもって採用されています。
しかし、当然のことながら、「納税者側が正直かつ正確な申告をする」という信頼がなければこの制度は成り立つ基礎がなくなってしまいます。
過少申告に対し加算税や場合によって刑事罰などといった制裁が用意されているのも、その信頼を担保するためと言えます。
税制を正確に理解し、自分自身の正確な課税所得を算出できるようにするのは、納税者に課せられた責任と言ってよいでしょう。

また、その程度の知識がなければ、自分にとって有利な税務上の策を講じ自身の負担を最適化することもおぼつきません。

確定申告をする人、できればこの機会に、申告漏れなど忘れ物の確認をしがてら、国税庁のサイトや法令集などを読み込むなどして税制研究などもしてみては如何でしょうか?
にほんブログ村 株ブログ 投資信託へにほんブログ村 株ブログ インデックス投資へにほんブログ村 株ブログ つみたてNISAへ


税金 | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2017/02/06(月) 03:34 ]
[ 最終更新:2017/02/18(土) 11:45 ]

<<日米2箇国のみのインデックスファンド | ホーム | 個人向け国債がついに最低保証金利から脱却か。安全資産の運用先として復活へ?>>

コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
http://anbowasset.blog.fc2.com/tb.php/300-673fd72f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

copyright © 2023 海舟の中で資産設計を ver2.0 all rights reserved.
Powered by FC2ブログ. / NetMania