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2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
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給与以外の所得、住民税普通徴収を希望したのに特別徴収に……って、そんなことはあるのか
給与所得以外の所得があって確定申告または住民税申告した場合、その所得について申告書上で普通徴収を希望したのに特別徴収にされる場合があるのかもしれない…という話があるようです。
 副業収入が会社にバレない為に絶対にしておくべきコト。 (もっとお金の話がしたい)

なにやら頼りなさげな市役所職員がいたようですが、ともかく税務担当職員の口から「特別徴収になるかもしれない」と取れるような発言が出てくると警戒せざるを得ません。

では、実際問題、法に則った取り扱いをするとそのようなことはありうるのでしょうか。
地方税法の徴収に関する条文を検証してみます。(以下、掲げる条文は全て地方税法のものです)



原則は普通徴収。特別徴収は特定の要件に該当した場合に限り可能


まず、一番の基本原則を見てみます。
第三百十九条  個人の市町村民税の徴収については、第三百二十一条の三、第三百二十一条の七の二第一項若しくは第二項、第三百二十一条の七の八第一項又は第三百二十八条の四の規定によつて特別徴収の方法による場合除くほか、普通徴収の方法によらなければならない

一見して分かる通り、基本は普通徴収しか許されていません。
列記した条文所定の要件に当てはまる場合に限り、例外的に特別徴収により徴収する権限が与えられます。要件に当てはまらないのに特別徴収をしようとすると違法な徴収手続になります。

例外:給与所得の所得割と均等割は特別徴収


次に、給与所得者に関する規定です。
第三百二十一条の三  市町村は、納税義務者が前年中において給与の支払を受けた者であり、かつ、当該年度の初日において給与の支払を受けている者(支給期間が一月を超える期間により定められている給与のみの支払を受けていることその他これに類する理由があることにより、特別徴収の方法によつて徴収することが著しく困難であると認められる者を除く。以下この条及び次条において「給与所得者」という。)である場合においては、当該納税義務者に対して課する個人の市町村民税のうち当該納税義務者の前年中の給与所得に係る所得割額及び均等割額の合算額は、特別徴収の方法によつて徴収するものとする。

給与所得者については、給与に関する所得割と均等割については特別徴収となります。
「するものとする」であって、「することができる」ではありませんから、(法で定める何らかの例外規定に該当しない限り)あくまでこの部分は特別徴収で行かなければなりません。
なお、ここまでの段階では給与以外の所得に対応する所得割については、未だ特別徴収が許されていませんから、普通徴収しかできないことになります。

例外拡大:給与以外の所得に対する所得割は、条例で定めれば特別徴収可能


第三百二十一条の三
 前項の給与所得者について、当該給与所得者の前年中の所得に給与所得以外の所得がある場合においては、市町村は、当該市町村の条例の定めるところによつて、当該給与所得以外の所得に係る所得割額を同項本文の規定によつて特別徴収の方法によつて徴収すべき給与所得に係る所得割額及び均等割額の合算額に加算して特別徴収の方法によつて徴収することができる。(後略)

この条文で、はじめて給与以外の所得に対応する住民税について特別徴収を行なう権限が市町村に付与されました。
ただし、条例で「これらの税額についても特別徴収を行なう」という定めを置いておかなければなりません。そのような定めがなければ依然として普通徴収を行なう権限しかないので、あくまでも原則は普通徴収のほうなのだということが分かります。

例外の例外:納税者側の希望は条例にも勝つ


ところが、条例の制定を条件に特別徴収を許したはずの上記の条文には続きがあります。
第三百二十一条の三
 (前略)ただし、第三百十七条の二第一項の申告書に給与所得以外の所得に係る所得割額を普通徴収の方法によつて徴収されたい旨の記載があるときは、この限りでない

「第三百十七条の二第一項の申告書」とは、住民税申告書のことです。(317条の3の規定により、所得税の確定申告書だけを提出した場合にも住民税申告書を提出・その中に記載されたものとみなされます)
ここで、「普通徴収の方法によつて徴収されたい旨の記載があるとき」は、仮に条例で特別徴収をする定めをしていて本来であれば特別徴収をする権限が付与されるはずの場合であっても「その限りでない」というのですから、特別徴収の権限付与はキャンセルされ、原則に戻って普通徴収しか許されなくなるということになります。
納税者の選択した納税方法こそが最終的な決定権を持つことになります。

まとめ


以上の通り、申告書で選択した納税方法こそが絶対という結論しか導きえません。
地方税法という「法律」レベルで、「普通徴収を希望している場合には特別徴収の権限を与えない」と定めている以上、下位の法規範でしかない「条例」でいかに特別徴収を定めていようが、いわんや役所内の通達や方針レベルで特別徴収を推進しようが、何の意味もありません。法律の定めに抵触する条例や通達はその限りで無効であり、法の定めの通り「特別徴収はせず(できず)普通徴収を行なう」ことしか許されません。

従って、万一、申告書において「給与以外の所得があった場合でそれに対する所得割につき普通徴収を希望した」にもかかわらず当該税額が特別徴収の通知に上乗せされていた場合には、その特別徴収通知は違法なものであり、瑕疵ある行政処分だということになります。
特別徴収の税額通知は、これによって特別徴収義務者(給与の支払者)に徴収の義務を負わせ、納税者に特別徴収の受忍義務を負わせるという法律効果が生じるものですから、行政処分性があると考えられます。

なお、行政処分である以上は、行政不服審査手続による取消決定(取消裁決)または取消訴訟による取消判決を得なければ、その効力を否定することはできません(つまり、その通知書の通りに特別徴収しなければならない)が、法に抵触しているのは明らかですから、不服審査や訴訟に持ち込みさえすれば取り消しを勝ち取れる可能性は高いでしょう。


もとより、特別徴収ができるかどうかは上記のように地方税法の僅かな条文を読めば明白なのですから、税務職員が適正に処理してくれることが第一です(そもそも、不服審査だ訴訟だという手続をしてみても、年間の税額そのものは変わりないわけですから、勝てるといってもあまり実益が大きくないとも言えるわけで、そんな骨折り損が起こらないことこそ重要です)。
行政機関には、きちんと基本的な法令に通暁し、それを遵守した事務処理を行なってもらいたいものです。
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[ 2017/03/31(金) 02:20 ]
[ 最終更新:2017/03/31(金) 02:20 ]

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