海舟の中で資産設計を ver2.0
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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【追記あり】SBIベネフィットシステムズが事務委託先金融機関手数料を誤徴収
SBI証券の個人型確定拠出年金において、事務委託先金融機関手数料が二重徴収される事案が発生していました。

SBIBS誤徴収01

国民年金基金連合会から受領した掛金データがうまく処理できず、データの修正処理をしているうちに手数料の徴収処理(現有資産の自動売却による)がされ、データの修正・取り込みのやり直しをができた際に通常通りの徴収処理(掛金からの天引きによる)がされたということです。
お客様の手数料の徴収処理が掛金の収納データがないものとみなされて実行されたために、本来掛金から徴収するべき手数料が、お客様の年金資産の売却により充当される形となり、
とあるとおり、1回目の(自動売却による)徴収の際は当月掛金の拠出のない運用管理者とみなされ、64円の事務委託先金融機関手数料のみが徴収されているようです。
私の取引履歴を見ると、確かに、売却の記録が残されており、見事に二重徴収されていました。

SBIBS誤徴収02SBIBS誤徴収03
※端数の関係か、全部足してみても62円分しか売却されていません。2円だけ被害が軽く済んだ?



後始末。いくら戻るの?


今後については、言うまでもなく二重に手数料を徴収される謂れなどないわけですから、返金の処理がなされることになります。
具体的な方法は関係機関と協議の上で決定されるとの事です。

投資信託という、価額が日々変動するものを売却してしまったわけなので、返還といってもどうやるのかは興味深いところではあります。
「売却自体がなかったことにして、同じ商品・同じ口数を戻す」というのも単純明快ですが、それだと売却日から返還日までの間の相場変動で金額が増えたり減ったりしている可能性があります。
逆に、同じ金額を戻すというのも尤もな話のようですが、それはそれで、「売却されず保有し続けていれば値上がりしていた」という形で、得べかりし利益が失われるという問題があります。(逆に、「値下がりしていたはずだったが助かった」という可能性もある)

実際にどういう取扱になるのかは分かりませんが、個人的には、「徴収された金額は最低限確実に戻される」「得べかりし運用益は微妙だが、可能性が無いわけではない」と思います。

加入者への返還責任を負う機関は。その法的構成は


まず、誰がどういう理由で、加入者に対する返還義務を負うことになるでしょうか。

第一に考えられるのは、事務委託先金融機関である資産管理サービス信託銀行です。
事務委託先金融機関は、加入者の資産の犠牲において、過大な手数料という利得を得ています。
これは不当利得という状態であり、犠牲になっている加入者に対して返還するべき債務を負うことになります。

第二に、運営管理機関であるSBI証券もしくはSBIベネフィットシステムズにも責任が考えられます。
運営管理機関は、加入者の資産を的確に維持・保全し(正確には、「事務委託先金融機関に指示して維持・保全をさせ」でしょうか)、適正に管理するべき、加入者に対する契約上の義務があります。
それなのに、出すべきでない売却指示を出して加入者の資産を損じたのですから、これは明らかに契約上の義務に反していると評価してよさそうです。
となると、運営管理機関は債務不履行に基づく損害賠償責任を免れません。

この両者の責任が並び立つことになります。なお、実体的に同一の損害に対する責任ですから、両者は範囲の重なり合う限度で連帯債務ということになります。

不当利得返還請求権で、少なくとも誤徴収金額は確保


事務委託先金融機関の負う不当利得返還義務では、利得そのものを返還する義務があります。
そして、事務委託先金融機関が受けた利得というのは、まさに64円の現金であるわけですから(現金をそのまま充当したのであろうが、投信を売却して充当したのであろうが、それは事務委託先金融機関とは関わりないところで起こることですから、問題にはなりません)、64円そのものを返還する義務が発生してくることになります。
とだけ言ってしまうのも簡略化のし過ぎで、厳密には、「事務委託先金融機関が善意受益者なら現存利益のみの返還で足りる」「悪意受益者なら受益全額に利息をつけて返還」と分かれてきます。
事務委託先金融機関は、同一加入者から二度も手数料の入金が合ったことくらいは分かっているか容易に知り得るでしょうから、いちおう悪意受益者扱いでよいとは思います。
もっとも、現存利益に限定してみたところで特に返還義務が減るとは考えられない(「現存利益」によって返還義務が軽減されるのは、必要費でない浪費などによってすっからかんになってしまったような場合です)上に、利息といったところで元本が64円では無いも同然ですから、この辺は大して気にしなくても大丈夫そうです。


債務不履行責任で運用益を回収できるか…「予見可能性」が壁?


一方、「保管すべき預かり資産を勝手に売り払ったことによる債務不履行責任」のカバー範囲についても検討します。
まず、恣に売却して保管義務が履行不能になった時点での時価相当額については、債務不履行による填補賠償として認められることは当然です。
判例では、大審院大正15年5月22日判決以来、「履行不能時の価額」は通常の損害として損害賠償の基準になっています。

一方で、履行不能に陥った時点(売却時)以降の値上がり分については、これも損害賠償の範囲に含まれる可能性が判例上ないではありません。
ただ、こちらは”特別な事情による損害(特別損害)”として位置づけられており、「債務不履行時に債務者が値上がりを予見可能だったこと」が要件と考えられています。(最高裁昭和37年11月16日判決)
つまり、運営管理機関が、投資信託が今後値上がりするであろう事を予見できたかどうか、予見可能であれば値上がり分も損害賠償範囲に含まれるが、予見可能でなかったならば含まれない、ということになります。
なかなかこのハードルは高そうです。株式ファンドにせよ債券ファンドにせよ、値動きの予想など誰にもできませんから……

ただ、判例で問題になるのは値動きの方向性が割と一定の傾向を持つ不動産の売買に関する事例が多いのでした。
そこであれば、値動きを特別損害として位置づけて予見可能性を要求するのも合理的です。

他方、今回のような有価証券は、そもそもランダムウォークな値動きをするものですから、予見可能性を要求されると事実上倍賞を受けられる可能性が著しく低くなりそうです。
むしろ、ランダムウォークなるがゆえに、価格上昇も「当然にありうるもの」として、通常損害に該当する(その結果、値上がり益も常に賠償対象となる)ものと整理してしまう方が実態に即するような気もします。
加えて、確定拠出年金という、長期積立保有を大前提とする場の特殊性を考慮すると、時価を離れて「あるべき口数を保有できること」それ自体が加入者にとっての利益ともいえますから、売却されてしまった口数に対応する(評価益を含めた)賠償実行時における時価相当額をもって賠償額とする方が一層的確なように思います。


……などと、理屈を振り回してみたところで、そもそもの被害額が64円ではどういう結論になろうと実益としては大して変わりがないわけではありますが…(^^;


とりあえず、信頼性の確保もお願いしますよ


実際の返金の取り扱いがどうなるかについては今後の公式発表を待つとして、やはり、再発防止・信頼性の確保もそれと同等かそれ以上に重要でしょう。
そもそも、確定拠出年金は、運用資産が加入者固有に帰属するものとして、国家や企業などから切り離されている点が、「持分が明確である」「自己責任で運用できる」というメリットの大前提として機能している制度です。
持分が可視化されているからこそ、「消えた年金」になってしまったり、自分自身と関係のない理由で削減されてしまったりする恐れがなく、安心して加入・利用できるのです。
それが、今回のように拠出のデータが誤り、謂れのない費用を徴収され、削られるべきでない資産が削られるようなことが起こるようでは、その根本的メリットが台無しになってしまいます。
確定拠出年金制度を通して自己責任原則への転換を図ろうとしている現在、このような制度の根幹への信頼性を揺るがせるような事態は極めて由々しき仕儀です。
関係各機関には、絶対に今後の再発がないよう、一層真摯に取り組んでいただきたいところです。


その後


4月24日追記
4月24日付でお知らせが来ていました。
SBIBS誤徴収04
誤売却された商品の数量(口数)を原状に戻すため、同じ商品・数量の買戻しを行います。
元本変動型商品で、売却時の時価(解約価額)より値上がりしている場合等も考慮し、誤売却数量と同じ数量以上を購入できるよう、買戻しに充てる資金を弊社より追加させて頂きます。

ということで、値上がりしていても差額を運営管理機関が補填して、口数を元に戻すようです。
結果的には、予想していた通り、「値上がり分も債務不履行の損害賠償範囲に含めて債務者たる運営管理機関が負担する」という形になるようです(もとより運営管理機関と事務委託先金融機関の間で負担割り振りの取り決めは別途あるでしょうが、それは加入者の関知するところではありません)。
まずは妥当なところに収まったといえます。

あとは、逆に値下がりしていた場合の処遇が気になるところですが、こちらはwebで問い合わせをしてみているところです。

4月25日追記
問い合わせた結果、値下がり時はあくまで売却当初の金額で買戻しが行われるとのことです。
謝って売却した商品の買い戻しをする際に、売却時よりも時価が値下がりしていた場合ですが、売却し取崩した金額で買い戻しを行います。

お客様よりご提示いただいた例に基づいて回答させていただきますと、「あくまで64円分の買戻しが行われる」ということとなります。

売却時より時価が値下がりしていた場合は、結果、売却口数以上の口数を買い戻させていただくことになろうかと存じます。また、売却時より時価が値上がりしていた場合には、資金追加を行い、売却口数と同数量(以上)の口数をお戻しすることとさせていただく所存です。


結果的に、「値下がりしていても最低限誤売却額は返還され、値上がりしていても値上がり分まで賠償される」という、予想通りの結論になりました。

返金時点で値下がりしていた場合には口数が増える結果、その後の回復により本来得られなかったはずの値上がり益を享受できる人も出て来ることになります。もっとも、事務委託先金融機関や運営管理機関はこのようなややこしい事態を引き起こした張本人であり、値動きによる差益を享受するのは明らかにおかしいですから、加入者が差益を享受するのが最も妥当というほかないでしょう。

ともあれ、全体として最も当然の後始末になりましたが、きちんとあるべきところに落ち着いて一安心ではあります。
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DC(確定拠出年金) | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2017/04/20(木) 00:11 ]

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