参加者ブログ
学びの機会は さまざま(お金と 「爽やか」に付き合って 人生を楽しむ。)
以下、内容をまとめます。
・相場の先行きを予想することは矛盾を含む。みんなが傘を持って出かけると晴れる。
→来週暴落という予想があると今週中に売られて下がってしまい、来週は下手をすると買戻しで上昇する
・長期投資では、年率換算でのリターンは単年の数値と比べて収斂する。しかし、価格変動の大きさ自体は変わりない。
1000の資金を例えば年率5%で運用すると、30年後には4322になっている。しかし、ここで4分の1くらいの下落(3243まで下落)に見舞われることは当然ありうる。しかし、この場合、年率利回りとしては5%だったのが4%に下がったに過ぎない。
よく言われる「歳を取ったらリスク資産の割合を減らそう」というのは、これが老後に起こった場合の絶対的な損失額の大きさにより生活設計が狂ってしまう可能性に着目したもの。一方で、資産運用を子々孫々まで引き継いでいくつもりであれば、「今こそ買い増すとき! 子孫よ、後は任せた」と言い残して死んでいくというのもあり。
・相場をチェックする回数が多いと、投売りや「やれやれ売り」など、利益を小さい段階で確定したり損失回復を待てなかったりすることになる場合が多い。長期投資には「鈍感力」が必要。
・手数料が高い投資信託は、リターンのばらつきが大きくなるだけで、リターンそのものは向上しない。
横軸に信託報酬、縦軸に年率リターンを取って日本株投資信託の実績をプロットすると、期間を5年で取っても10年で取っても、右肩上がり(信託報酬が高いとリターンが高まる)といった傾向は見られない(中心線はほぼ水平)。
なぜか資料の信託報酬2%近辺の位置で1ファンドだけ名前を挙げられている
某戦略ファンドには涙不可避です(^^;
このような真実には、ワシントンDC駐在時代にジョン・ボーグルの講演を聴いて知った。
言わずと知れたバンガードの創業者。ここで名前が出てくるとは流石。
・日本株への投資において、海外投資家は一般的なイメージほどうまく行っているとも言えない。
「海外投資家が買い越した月にはTOPIXが上がり、売り越した月には下がる」という傾向があることから、海外投資家は相場にうまく乗っているようなイメージがある。
ところが、2000年1月から2017年1月の期間で海外投資家の投資パフォーマンスを推計し、一方でそれと同じ累計投資元本になるように毎月定額積立投資をしてみると、後者の定額積立の方が勝っていた。
この実験結果を日経の田村正之氏に話すと、田村氏の手による記事になり、さらにそれが岩城氏の目に留まって本日のセミナー依頼となった。
なお、竹中氏のHPを見てみると、
竹中氏自身による雑誌記事もありました。
・最強の投資法はS&P500への定額積立。2000年1月から2016年2月までで取ると円ベースで年率9.9%程度(配当を2.0%とする)となった。期間をもっと長くしてもだいたい似たようなところに収斂している。
よって、確定拠出年金などで長期積立するにはもってこいなのだが、残念ながら定期積立ができるような投信が見当たらない。
米国株式の指数は近年乱高下しているように見えるが、長期で期間を取って対数目盛りで見ると実はかなり一直線に近い形になっている。ベースとなる指数の数字自体が大きくなっているのだから、変動率を的確に見るには対数でないといけない。
従って、変動値(特に下落幅)の大きさによってリスクが高いとか米国が凋落したとか見るのは的を外している。しかし、リーマンショックの時には
米国凋落論を煽る本が出てきて、
困ったことに竹中氏の本(オーバーシュートした暴落時こそ投資のチャンスと主張)より売れた。・定額積立投資の長所として、
高値掴みを回避できる反面、
時価総額が大きく下がるリスクは積立だろうが何だろうが変わるわけではない。評価損が中期に亘って発生することは覚悟すべき。割高・割安方向にオーバーシュートしたときに逆張り的に調整する(過去の移動平均より一定程度大きく上方乖離したときに追加売り、下方乖離したときに追加買い)という方法でパフォーマンス改善することが考えられる。一時的にラフに突っ込んでもいずれフェアーウェイに戻ってくる(竹中氏の表現)。
・外為相場のトンでも論。高金利通貨で高リターンとか、長期低成長だから円安になるとか。
高金利通貨は金利差の分下落する。学部で国際金融論の授業でも必ず出てくる程度の常識。(
ただし、そのことを学部で試験問題に意外に書けていない学生もいるが…)
投信運用会社で
高金利通貨の債券ファンドを組成している人も、実際にはそんなに有利な商品でないことくらいは分かっているはずだが、何故そんなものを作るのか。
もちろん商売のためである。なお、末端で売っている人は本気で良い商品だと信じていたりする。
経済成長率と通貨高・通貨安とはあまり関係がない。名目為替レートと両通貨の物価指数を使って計算される「実質相場指数」である程度乖離具合が分かる。 → 詳細な解説記事が
こちらにありました。
これも、「ラフに突っ込んでもいつかフェアーウェイに戻ってくる」思考。竹中氏は、個人資産の運用でも為替の乖離が大きくなり出してきたと思ったら為替にヘッジをかけている。一気にではなく、相場の推移を見つつちびちびと。