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海舟の中で資産設計を ver2.0
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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「あんしんスイッチ」…目先は安心かもしれないが
アムンディ・ジャパンは、損失を一定限度に限定する投資信託を設定するようです。

EDINETの有価証券届出書(6月15日付)によると、SMBC・アムンディ プロテクト&スイッチ・ファンド(愛称:あんしんスイッチ)と名付けられたこのファンドは、世界の株式・債券にETF経由で投資するバランスファンドであり、かつ、資産配分を機動的に変更することとされています。
一方で、基準価額の最高値の9割(設定当初から基準価額10600円までは9000円、基準価額10600円から11111円までは10000円)の「プロテクトライン」なるものを設定し、このプロテクトラインを割り込むと繰上償還になるということです。
なお、繰上償還時にはクレディ・アグリコル社の保証により、プロテクトラインを割り込まずに償還されることとなっています。これは、プロテクトライン到達から保有証券売却完了までの間の相場変動による損失をヘッジするものとして機能するものと思われます。

投資先及び償還について類似した方針のものとして、アムンディ・ダブルウォッチがあります。
ダブルウォッチでは、90%のライン(こちらでは「フロア水準」と表現)を割り込んだところで繰上償還となるまでは同じですが、特に保証契約はないため、証券売却の間の値下がりリスクには晒されています。両ファンドの違いはそのくらいでしょうか。


さて、このファンド……果たして購入するに足る商品なんでしょうか。



保証機能に関するコスト


このあんしんスイッチ、コストを見てみますと信託報酬と保証料を合わせて実に年率1.4404%に及びます。
中身がETFの組合せと短期金融資産であることを考えると、いかにも高コストです。
また、「プロテクトライン到達から繰上償還完了までの限られた期間の保証の有無の差」の対価として、ダブルウォッチの信託報酬1.296%との0.1444%の継続コストの差は果たして妥当なものでしょうか?

「早すぎる損切り」にならないか


そもそも、予めプロテクトラインやフロア水準などといったものを設定し、割り込んだら強制損切りというスキームにすることによって、困ったことが起こります。「早すぎる損切り」になり、戻り相場が取れない点です。

プロテクトライン/フロア水準は最高値の90%ですから、最大で10%の損失が出た時点で損切りとなります。
もとより、最高値以外のところで買った人にとっては、もっと小さな損失の時点で損切りさせられます。
例えば、最高値が12000円の場合、プロテクトラインは10800円となりますが、仮に11500円で買った人にとっては6.1%損失のライン、11000円で買った人にとっては1.9%損失のラインとなります。
株式のリスクは年率20%程度とざっくり言われていますし、ヘッジ外債でもインデックスファンド海外債券(ヘッジあり)の実績データから見ると4%内外のリスクがあるようです。
2標準偏差まで考えると、損切りラインへの距離は意外に近い(発生しやすそうな)ものである一方、意外とすぐに戻ってきてしまうこともまた無視出来ない可能性を秘めています。

ダブルウォッチ
上図はダブルウォッチの設定日からの成績を、全世界株(MSCIオールカントリーワールドインデックス)及び、株式と債券に分散投資した世界経済インデックスファンドと比較したものです。
2016年2月12日の段階で、全世界株式は10%超、世界経済インデックスファンドでも7%超のマイナスとなっており、ダブルウォッチのルールに則れば償還が取り沙汰されかねないラインです。
ところが、それから1年も経たないうちに、元本回復どころか大きくプラスに転じています。

一旦下落しても、待っていれば意外に戻ることが往々にしてあるものです。下落幅が小幅であればなおさらです。
リーマンショックでさえ、下落したところでファンドを売ってしまった人が意外に遠からずやってきた戻り相場を享受できず「勿体なかった」と指摘されているところです。
資産運用で重要なのは相場に居続けること、とも指摘されます。
たかだか10%、人によってはそれよりさらに小幅な程度の下落で強制損切りされ市場から退出させられてしまうのは、果たして本当に得策なのでしょうか?

投資額を抑えればコストを抑えて損失を抑えられる


仮に最大損失額を抑えたいにしても、なにもそれは強制損切りなどといった仕組みに依拠する必要はありません。
普通の低コストファンドを利用しつつ、投資額そのものを投資先ファンドのリスクを参考に小規模に留めれば損失金額も限定されてきます。
しかも、例えば世界経済インデックスファンドであれば0.54%、iFree8資産バランスemaxis slim バランス(8資産均等型)あるいは個別インデックスファンド組み合わせなどであれば0.2%台の信託報酬で投資できますから、コスト面でも大幅に有利です。
勿論、強制的に損切りをさせる仕組みがないため、保有し続けて回復を待つこともできます。

おわりに


損切りラインを設定して損失を限定するというのは、一見魅力的です。
しかし、長期的にプラスになっていくはずの資産に投資しつつ、一時的に小幅な下落をしたくらいで市場から退出させ、戻りの享受という成功体験を経験させず失敗体験で終わらせてしまうのは、果たして有意義なことなんでしょうか。
どうにも存在意義の理解に苦しむ商品です。
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「最大損失限定型」投信 | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2017/06/19(月) 03:43 ]
[ 最終更新:2018/02/11(日) 17:43 ]

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