海舟の中で資産設計を ver2.0
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
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公的年金の受給繰り下げ「75歳まで可能」案。DCなどと組み合わせると据わりがよくなる名案かもしれない
公的年金の受給が「75歳開始」まで繰り下げ可能になる案が検討されると報道されています。
年金受給開始「75歳とか…」 内閣府の検討会で意見 (朝日新聞)

 公的年金を受け取り始める年齢を70歳より後にもできる仕組み作りを高齢社会対策大綱に盛り込む検討に入った。内閣府の有識者検討会が大綱の改定案をまとめ、政府が年内に決定する。年金の制度作りを担う会議ではないため、ただちには実現しないが、中長期的な課題として打ち出す。
 年金の受給開始年齢は原則65歳だが、60~70歳の間で選ぶこともできる。70歳から受け取り始めると、受給額は65歳から受給するより42%増える。

 18日の検討会で、座長の清家篤・前慶応義塾長が「もっと先まで繰り下げ支給の幅を広げる可能性もある」と明かした。働ける元気な高齢者を支援する狙い。検討会では、繰り下げできる年齢について「75歳とか、もっと延ばしてもいい」との意見が出た。

記事を一読すれば分かるとおり、検討されているのは、「現状では70歳までしか繰り下げられない受給開始年齢を、75歳まで可能にする」という、単純に選択肢を拡大する施策です。
従前通り(繰り下げによる割り増しを放棄して)65歳からの受給を希望するのであれば、きちんと本則通りの金額が貰えることは変わりありません。
「いよいよ支給する気がなくなったということ」などと受け止めているコメントもネット上では散見されますが、それは単なる早とちりです(少なくとも、現状出ている話だけからは)。

繰り下げによる増額効果


公的年金の受給を繰り下げた場合、その期間に応じて増額がなされることは御案内の通りです。
75歳まで繰り下げが認められるようになった場合、増額の起算点(65歳)及び増額率(0.7%/月)を現行と同様と仮定すると、最大で120ヶ月の繰り下げとなりますから、84%の増額ということになります。
平成27年度厚生年金保険・国民年金事業の概況によると、厚生年金受給者平均年金月額は147,872円ですから、これをベースにすると84%増額により月額272,084円(年額3,265,013円)の受給が可能になります。
これが受給開始後終身支給されます。

一方で、75歳まで繰り下げるとその間の10年分の支給がなくなりますが、11.9年の受給をすることで需給累計の額面上はイーブンになります。
すなわち、86.90歳まで生存して受給することができれば損得なしとなり、それ以降は「75歳からの受給」の方が有利となります。
かなり長生きしないと元が取れないようにも見えますが、平成27年簡易生命表によると、
25歳の平均余命…男性56.31年、女性62.43年
35歳の平均余命…男性46.62年、女性52.61年
45歳の平均余命…男性37.05年、女性42.90年
となっており、「86.90歳まで生存」というのはそこまで不利な賭けでもなさそうです。
特に女性の場合は87歳を若干超えるまで生きられる計算ですから、平均的には僅かながら有利な賭けとなります。

 もとより、受給を先延ばしにする分、本来は単なる額面累計でなく時間的価値を織り込まないと正確な比較とはいえません。そうすると、もう少し長生きして沢山貰わないと実質的にバランスしなくなる可能性もあります。
 ただ、公的年金は物価スライド及びマクロスライドによって支給額そのものが変動する仕組みもありますから(実質的にはこれが時間的価値をある程度反映するとも言える)、厳密に計算しようとすると意外と厄介です。

 また、受給額が増えることで税・社会保険料も増加することになりますから、そこにも注意が必要です。




75歳繰下げ受給とDCとの組合せで「断層」が軽減


さて、確定拠出年金との併用を考えたとき、「75歳受給開始」というのは意外と相性が良くなるかも知れません。

確定拠出年金の積立金の活用として、「公的年金の支給開始までの期間の穴埋めに使う」というのはスタンダードなものです(確定拠出年金は「年金受給」でも、「一時金受給+その後自分で運用しつつ取崩」でもよい)。
そして、その応用として、「確定拠出年金を受給しつつ、その間に公的年金を繰り下げるだけ繰り下げて受給額を増やす」という戦略もあります。繰り下げ増額の効果は終身に及びますから、それだけ老後資金の増強が期待できます。

ここで、現行の「70歳までしか繰り下げられない」と、「75歳まで繰り下げられる」での資金パターンはどうなるでしょうか。
少なくとも、いまや65歳までは働くことになる人が多いでしょうから、それを前提とすると、
70歳パターン: 60歳までDC積立→65歳まで5年間据置→65歳から70歳までの5年間でDC取崩→70歳から42%増額の公的年金受給
75歳パターン: 60歳までDC積立→65歳まで5年間据置→65歳から75歳までの10年間でDC取崩→75歳から84%増額の公的年金受給

DCの取崩期間が5年から10年に延びることで、取り崩しによる収入額はおよそ半分になります(実際には、取崩後の残高に運用益が生じる分、収入額は半分よりやや多くできるはず)。半分といっても、20年・30年・35年と積み立ててきて運用益も積み上がっていると考えると全体の規模も相当なものになっており、意外と十分な取崩額は確保できるはずです。
一方で、公的年金の受給額は増額幅が倍増しています。
そうすると、特に若いうちから長期間DCに加入していた(DCの資産規模が巨額になる)場合、DC取崩から公的年金受給へと切り替わる際の収入の変動が75歳パターンが可能になることで70歳パターンよりかなり抑えられることになります。

実際に数値を設定してみます。計算には積立成果や取崩額、運用益非課税効果を試算するツールに掲載のexcelシートを使いました。

設定
DCの掛金を月額23000円、積立期間は420ヶ月(25歳から60歳まで35年間)。積立終了後に5年間据え置き、その後5年または10年で取り崩す。
DC運用利回りは、積立期間中・据置期間中・取崩期間中ともに5%とする(株式の期待リターン並み)。
DCの取崩が完了した後、公的年金を42%増額または84%増額で受給。なお、増額前の年金支給額は平成27年度受給者平均である月額147,872円(年額1,774,464円)とする。

420ヶ月の積立終了後時点でのDC資産残高は、25,598,516円となる。
これを5年間据え置き後のDC資産残高は32,670,914円。

70歳パターン
DC資産を5年で取り崩すと、各年の取崩収入は7,186,817円
以降、公的年金の受給額は、42%増額の2,519,738円


75歳パターン
DC資産を10年で取り崩すと、各年の取崩収入は4,029,555円
以降、公的年金の受給額は、84%増額の3,265,013円


いかがでしょう。
もとより、設定はあくまで一例に過ぎず、DCの加入期間や利回り、公的年金の加入状況によって具体的数値は変わります。
しかし、イメージとしては両パターンで結構な差があることは掴めるのではないでしょうか。

70歳パターンだと、70歳を境に年間収入が718万円が251万円に、僅か35%の水準まで下がってしまいます。額面的にも比率的にも大きな断崖が聳えることになります。
これに対し、75歳パターンだと402万円が326万円、81%確保できます。

ある年齢で一挙に大きな年収差がつくとなると、生活サイズの大幅な見直しが必要になりますが、言うほど簡単なことではありません。退職金受給時にも行動経済学的に様々な罠(余剰資金だと思い込んで無駄遣いしてしまう、など)があることが知られていますが、それを再現することになりかねません。
70歳パターンだとそれに直面しなければなりません。
75歳パターンでは収入が平準化され、その罠がかなり軽減されます。

ある意味で、DC制度の拡充による「自助努力による自分年金作り」と、今回の「年金繰り下げの拡大」とは、ベクトルが似た方向に向いているものであり、両方組み合わせて利用ことによって最も据わりの良い安定的な生活パターンを形成させるものといえるかもしれません。
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公的年金 | トラックバック:0 | コメント:3
[ 2017/07/20(木) 04:21 ]

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コメント
運用利回りの影響は意外に大きい
大変興味深い分析,ありがとうございます.

私は定年まで10年を切っていることもあり,自分の年金を何歳から受給するのが最適なのか,シミュレーションをしています.その中で,老後資金の運用利回りが1%違うだけで,損得はかなり違ってくる,という結果に驚いています.

ご提示の設定例での75歳パターンと同じ金額を,70歳年金受給で得る場合について,計算されることをお勧めします.すなわち,
  - 60歳から,DCを5年間据え置き
  - 65歳から,DCを年4,029,555円取り崩し
  - 70歳から,年金受給(42%増額)年2,519,738円,
   DCを年745,275円取り崩し
この方法で「DC資産が尽きる年齢」まで生きないと,75歳繰り下げのメリットは活かせません.たぶん100歳近くではないでしょうか?

年金繰り下げ受給の真のメリットは,
「終身年金の比率を高くし,長生きリスクを低減する」
という点だと,私は考えています.

URL | 縞縞猫 #uMjiFnwE | 2017/07/20(木) 08:51 [ 編集 ]

運用利回りの影響は意外に大きい [訂正]
たびたびすみません.勘違いしてました.

75歳パターンは,収入の段差も75歳でしたね.そうすると以下が正しいです.
  - 60歳から,DCを5年間据え置き
  - 65歳から,DCを年4,029,555円取り崩し
  - 70歳から,年金受給(42%増額)年2,519,738円,DCを年1,509,817円取り崩し
  - 75歳から,年金を年2,519,738円受給,DCを年745,275円取り崩し
大変失礼いたしました.

結果が気になったので,自分で計算してみましたが... 100歳どころではなかった.DC資産は生涯尽きることはないですね.
「年5%リターン,税金なし」の威力は,凄まじいです...

URL | 縞縞猫 #uMjiFnwE | 2017/07/20(木) 12:06 [ 編集 ]

Re: 運用利回りの影響は意外に大きい
コメントありがとうございます。

ここで検討したのは、あくまで「公的年金受給までの穴埋めにDC資産を充当、貰い切ってから公的年金に移る」という戦略を大前提とした上での試算(収入の崖の大きさ)であって、必ずしもあらゆる戦略の中でのベストを追究したものではありません。
従って、その前提にこだわらなければ、ご指摘の戦略も含め、より経済的効果の大きくなる道も幾つもありうるだろうと思います。

※ご指摘のように「DC資産が尽きない」となると、『折角の資産が貰いきれないのも勿体無い』問題が出てくるので、ベストと言えるのかどうかは判断しがたい面もあります
※DCの受給期間や年金額変更は自由にはできないので、ご指摘の戦略を実行する場合は、どこかのタイミングで一時金受給→課税口座やNISAで再運用、という流れになります


年金繰り下げの真のメリットについての見解はまさしくその通りです。
「生存保険」としての真髄を遺憾なく発揮するものといえます(トンチン年金化と言ってよいでしょう)



> 大変興味深い分析,ありがとうございます.
>
> 私は定年まで10年を切っていることもあり,自分の年金を何歳から受給するのが最適なのか,シミュレーションをしています.その中で,老後資金の運用利回りが1%違うだけで,損得はかなり違ってくる,という結果に驚いています.
>
> ご提示の設定例での75歳パターンと同じ金額を,70歳年金受給で得る場合について,計算されることをお勧めします.すなわち,
>   - 60歳から,DCを5年間据え置き
>   - 65歳から,DCを年4,029,555円取り崩し
>   - 70歳から,年金受給(42%増額)年2,519,738円,
>    DCを年745,275円取り崩し
> この方法で「DC資産が尽きる年齢」まで生きないと,75歳繰り下げのメリットは活かせません.たぶん100歳近くではないでしょうか?
>
> 年金繰り下げ受給の真のメリットは,
> 「終身年金の比率を高くし,長生きリスクを低減する」
> という点だと,私は考えています.

URL | 安房 #- | 2017/07/20(木) 13:03 [ 編集 ]

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