7月26日の第4回の金融庁意見交換会に出席してきました。
過去の参加記録 前回:第3回金融庁意見交換会に参加。いろいろと興味深い発言が飛び出して今後が楽しみに…? 前々回:金融庁セミナーに参加
今回は販売会社を交えての、各社の取り組み姿勢などを質す会となりました。
今回の主な発言は前回と同じようにツイッターのモーメントにしておきましたので、それを貼っておきます。
今回出てきた情報の中で、一番の爆弾はやはりこれでしょうか。
積立NISA向けにETFのるいとうを整備・導入する会社があるという話は前回の意見交換会で出てきてはいましたが、まさか大和証券とは。まず間違いなくネット証券だろうとばかり予想していました。
もっとも、持株会などでるいとうの仕組みをすでに持っている大和など大手証券の方が導入のハードル自体は低そうではあります。 しかし、そもそもコストパフォーマンス的に積立NISAそのものに参加するかどうかも怪しかった大手証券が最初からここまでの手を打つとは思いませんでした。 ETFが選択肢に入るか入らないかで、口座の機能の魅力は大きな差がつきますから、今の段階で対応を明言するというのは他社に対する大きなアドバンテージになっていると思われます。
懇親会にてSBI証券の方とお話しましたが、この情報については「早速会社に持ち帰って情報を共有しないと」と、かなり危機感を覚えた様子でした。 なお、SBI証券は残念ながら1月のサービス開始にはETF対応は間に合わないという話でしたが…あるいは、この情報で危機感を持ち優先順位を変えた結果、間に合わせてしまうようなこともあるのか?
また、「販売会社は収益が乏しいから、あまり積極的にやらないのではないか(特に対面大手)」という事前の危惧ですが、今回の出席者は、少なくとも表向きは、積極的に資産形成のためにやっていく気はあるという流れでした(金融庁内で「やる気は無い」なんて言えないでしょうから、ある程度割引いて考える必要はあるかもしれませんが)。 例えば、積立NISAで認められる信託報酬の上限近くの商品ばかり揃えるのではなく、より低廉な水準の商品を揃えていく旨の発言を各社ともにしています。 また、地方の地場証券会社も、なかなか見込める客数も限られるであろう事から特に収益が厳しくなるところでしょうが、「採算性については度外視して臨む」という発言があり、そのとおりであれば頼もしいことです。
一方で、この積立NISAを「ドアノック商品」にして、ゆくゆくはより高収益な商品を売ろうとする狙いも含みにあるのではないかという会社も散見されたように思います。 「さまざまな優遇制度をどう使い分けるかなど、顧客の資産状況全体や家族環境など詳しく聞いてから最適な提案をしたい」「税制優遇など制度の理解を深めてもらえれば、それを最大限活用しつつより大きな積立をしてもらえる」などというのは、尤もといえば尤もなようですが、そのような(積立NISA外も含めた)コンサルティングの中でどういう勧誘が行われるかはちょっと気がかりではあります。 実際、岩城みずほ氏が「高コストな貯蓄性保険は積立NISAに比べて明らかに劣ると思うが今後どうする考えか」と質問したのに対し、ある販売会社は「遺すニーズと運用するニーズの違いなどもあるので…」などといった表現を使いつつ、今後も販売することを明確に否定はしませんでした。(遺すニーズというと特別なもののように聞こえますが、より低コストで運用されるファンドを遺してやればよいだけの話で、特に遺すニーズとやらを区別する経済合理性があるのかどうかは疑問です) 販売会社がこうした姿勢であるならば、投資家サイドとしては変な風にドアを叩かれたときに、油断せずきちんとその話の内容の適否を吟味して、断るべきものは断るというリテラシーを持つ必要性が事実上高まりそうです。
さて、次回は9月10日の日曜日に、「つみたてNISAフェスティバル2017」などと号して200人規模でイベントを予定しているそうです。 ここまで大規模な集まりになると一体何をやるのか(大講堂での講演なのか、ブースがいくつか並ぶ感じになるのか、どういう人が出てくるのか…)非常に気になりますが、その頃には積立NISAもそれなりに各社の形が見えてきているかもしれないこともあり、こちらにも是非参加したいと思います。
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