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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。 以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。 投資関係中心に語ります
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(2015/3/22 23:57追記あり)いいとこ取りになりそうなマネープラン。あれ、これやっちゃうと個人年金保険に入る意味って…? |
いっさんのブログにて、あるタレントの方が個人年金保険に加入しているらしいという記事が取り上げられていました。 該当記事 あるアイドルの不安−個人年金保険 重要:リンク先ブログ中、他記事含め刺激的な画像が多々あります。オフィス・学校・交通機関内など他人から画面が覗かれ得る環境下での閲覧には十分御注意下さい。尚、閲覧による問題(画像による不快感、他人からの信用失墜等)につき、当ブログ管理人は一切責任を負いかねます。
当該記事においては、個人年金に加入するプランとインデックスファンドに投資して経済成長率並みのリターンを得るパターンを比較して、後者の方が有利だと結論付けています。 いくつかの仮定をおいた上でのものとはいえ、数値で示されているのでなかなか反論のできにくいところです。 無論というべきか、その議論には私も賛同するところです。
そもそも、個人年金保険については、「はて、それって保険でやる意味あるのか?」という疑問が拭えません。 個人年金保険の設計は、大体こんな感じとなっていると思います。 ・保険料を所定期間払い込めば、一定の年金が一定期間(税制の関係で10年以上となることが多い)支払われる。 ・年金総額を保険料総額で割った比率は、30年程度の保険料払い込みで良くて120%前後 ・払込期間の途中で死んでしまったら、既払い保険料相当額(または、それに若干プラスした額)程度が支払われる。 ・保険会社に万一のことがあった場合、生命保険契約者保護機構にて責任準備金の一定割合が保護される。
上記の特に3点目が残念に思うところです。 そもそも、保険というのは「万一のことがあった場合に、既払い保険料の何倍・何百倍もの大金が貰える」というところに存在価値の真髄があります。
それでは、逆に、保険に頼るほうがいいのはどういう場合なのでしょうか。これも答えは簡単で、ポイントはたった一つしかありません。 「貯金では対応しにくい金額、要するに大金が調達できる」 後田享(2010)「生命保険のウラ側(kindle版)」(朝日新書) kindle位置No.190付近(「プロローグ」内) ところが、個人年金保険だとそういう機能は一切無いと言って過言でありません。 あくまでも、貰えるお金は既払い保険料がベースになります。 となると、単純に「満期まで積み立て続けた額と、満期になって受け取れる額との比率だけがパフォーマンスの決定基準となる」という意味で、普通の積立投資(投信や株・国債など)や積立預金などと同じ土俵に立たされます。言い換えれば、形式上保険といいながら、実態は単なる運用商品なのです。 個別企業の信用リスクをとるということで運用として一段下に見られることもある高金利社債とも対等に戦わなければなりません。個人年金だって保険会社の信用リスクには晒されているわけですから。 それでいながら、流動性リスクは極めて高いときています。個人年金は途中で解約すると、返戻金は既払保険料より低い期間がそれなりにあります。 こうなってくると、個人年金という商品に運用商品として勝ち目はなかなか小さいといえそうです。
さて、そうは言っても、やはり長期間利回りが保証される保険商品にもニーズを寄せる心理も分からないではありません。 そこで出てくるのが401kです。 実は401kにも運営管理機関によっては保険商品があります。そして、ものによっては預金商品より高利回りになっている場合があります。 私が利用しているSBI証券でも、第一のつみたて年金が提供されており、2015年2月分では0.125%の利率となっています。 では、仮にSBI証券で401kを利用し、第一のつみたて年金に全力で行ったらどうなるでしょう。いっさん記事によると、個人年金の利回りは年率0.6%ですから、0.125%では勝ち目がないでしょうか? 以下の条件で試算しました。 ・22歳丁度で加入。60歳までの38年間、456ヶ月掛金を払い込む。 ・第一のつみたて年金の利回りは0.125%で不変とする。(実際には、新規購入分は毎月見直される。購入済みの分は5年ごとに見直される) ・掛金の所得控除も考慮する。実効税率は15.105%(=国税の最低ランク+地方税)で不変とし、控除益部分は全く再投資せず現金として保有。 ・掛金は毎月23,000円。(いっさん記事によると個人年金の見積もり保険料が23,568円。計ったかのように、2号被保険者でも401kで出せる限度額と一致した)
物凄く縦長ですが、Excelファイルから試算結果をご覧ください。 試算結果Excel
なんと、税控除まで含めると、全く互角の結果です。 個人年金保険側にも所得控除があるのでそれを考慮しなければならないのですが、あちらは年間最大40000円の所得控除に過ぎませんから、控除益の累計は40000円×15.105%×38年=229,596円。 つまり、60歳到達時の資産残高は401k利用12,236,299円vs個人年金保険利用12,229,596円で、同点でした。 やはり税控除の威力は絶大なようです。
更に留意すべき点も挙げておきます。 ・信用リスクの点では全く同等です。(両方とも責任準備金90%の保護をバックにしつつ保険会社の信用リスクを負います) ・途中で死んでしまった場合の処遇も概ね一緒です。(両方とも当時までの払込額がベースで、特段保険ならではの巨額に膨らんだりはしません) ・401kだと毎月新しい保険を買い付けた上で5年ごとに買い換える形なので、金利上昇にも下落にも追随できます。個人年金保険だと全体で1個の保険なので、満期まで行く場合利回りは固定(金利が更に下落すればお宝になり、上昇すれば巨大な不良資産になる)。 ・401kだと税控除部分で一定の流動資金を確保できます(だからといって使ってしまうと最後の資産残高に響きますが)。個人年金にも税控除部分はありますが、規模はかなり小さくなります。 ・税控除部分を再運用することで差が広がる可能性があります。401kだと3ヶ月に1度個人向け国債を買ったりできますので、ほぼ全資産を市中金利連動で運用できることになります。一方の個人年金保険だと、年間で40000円×15.105%=6042円しか税控除益がありませんので、個人向け国債を買うにも1年半待ちになってしまいます。 ・年金受取時にも差が出てきます。401kだと公的年金扱いになるので、個人年金保険よりは有利になります。
……こうしてみると、401kを使える人が個人年金保険を使う理由が全くないようです。 十分な所得がなくて税控除益が見込めない場合には明らかに401kが不利になりますが、そういう場合にはそもそも保険など掛けるどころの騒ぎではないというケースが多いのではないかという気がします。 金利が右肩下がりになっても401kが不利になりますが、少なくとも今の金利水準ではその可能性も低いでしょう。 401kという制度がより広く知れたとき、個人年金保険という商品には正念場が訪れそうです。 *言わずもがなですが、投資も保険加入も自己責任でお願いします
2015/3/22 23:57追記 当記事にて言及した、「保険の存在価値の真髄」について、いっさんの新記事にて詳細に論じられています。保険というものについて論じたかったことはほぼ全て書かれていますので、ご一読ください。尚、当記事の上のほうで赤太字にて表示している注意書きにはくれぐれもご留意ください。 保険は保険。資産形成は資産形成で。
個人年金保険が、保険本来の大勢の掛け捨てに支えられる互助会の形態でなく、自分で自分に掛ける「貯蓄性」になっていることで、「貯蓄性」の土俵で資産運用・投資と対峙せざるを得ず、その勝負にはムリがあるという構図なのかと推測しています。 保険は、不測で突発的な「困ったこと」が発生してしまって大金を用立てしてもらって良かったというのが本来の姿。 当記事で個人年金保険に疑問を呈したのはこの趣旨ですので、改めて引用しました。
尚、
例えば、平均寿命が60歳よりずっと低いレベルにあり60歳まで長生き出来てしまってこの先の生活費に困るというような長生きという「困ったこと」が起きてしまった人に、ほとんど全員が60歳より前に天寿を全うするだろう他の加入者の掛け捨てによる大金が支給される、という仕組みなのであれば、保険本来の趣旨に合致し、長所が発揮されることでしょう。 と指摘されている商品については、「トンチン年金」という名でそれに相当する商品があるそうです。 水瀬ケンイチさんが紹介・考察記事を書かれていますので、ご参照ください。 該当記事(1) 「トンチン年金」、どう思いますか? 該当記事(2) 日本の保険会社さん、トンチン年金をつくってください
やはり現状の日本その他の先進国では、かなりの超高齢期からの支給開始を前提にしないと、「保険ならでは」の機能を有した個人年金は難しいということになりそうです。 保険の性質の理解はマネープランニングにおいて重要な要素です。いっさん及び水瀬さんの記事による考察は、重要な知見として心に留めておく必要がありそうです。
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[ 2015/03/22(日) 08:00 ]
[ 最終更新:2016/03/17(木) 01:19 ]
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