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海舟の中で資産設計を ver2.0
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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外国での還付金があると日本での確定申告にも影響があることを忘れずに
BNDから還付金受領したので内容調査。…そうか、「米国源泉の金利は米国内で非課税」からくるものってことねにて取り上げたように、このほど、バンガード米国トータル債券市場ETF【BND】にて米国内で徴収された所得税が還付されています。

還付金が入金されたとなると、つい喜んで終わりになってしまいそうです。
もっとも、「本来取られる必要がないものを無利息で拘束されていた」と考えれば機会損失以外の何物でもないわけで、本来は喜ぶことでさえないわけなのですが…

しかし、事が海外の税金であって、徴収されてから還付されるまでに年をまたいでいるとなると、「喜んで終わり」というわけにはいきません。
なぜならば、国内の所得税に影響してくるためです。
所得税の計算は、「(1)全世界所得をベースに税額を計算した上で、(2)海外で納付した税金を(限度額の枠内で)差し引いて、(3)その残額を納付する」というプロセスを踏みます。
従って、(2)において差し引いたはずの海外税金が戻ってきたならば、当然、国内で納めるべき税金のほうも調整してやる必要が出てくるのです。

今回は、その場合の処理について概観します。

注意
申告書の作成に当たっては、税理士・税務署等に照会の上行うようにしてください。
本ブログのみを参考にして申告した場合でも、その結果については責任を負いかねます。




課税口座で還付が発生した場合


還付金を受領した年の外国税額控除額が減少する(場合がある)


外国で還付金があった場合の処理については、所得税法施行令第226条に規定されています。
(外国所得税が減額された場合の特例)
第二百二十六条  居住者が納付することとなつた外国所得税の額につき法第九十五条第一項 から第三項 まで(外国税額控除)の規定の適用を受けた年の翌年以後七年内の各年において当該外国所得税の額が減額された場合には、当該居住者のその減額されることとなつた日の属する年(以下この条において「減額に係る年」という。)については、当該減額に係る年において当該居住者が納付することとなる控除対象外国所得税の額(第三項において「納付控除対象外国所得税額」という。)から減額控除対象外国所得税額に相当する金額を控除し、その控除後の金額につき法第九十五条第一項 から第三項 までの規定を適用する。
2  前項に規定する減額控除対象外国所得税額とは、居住者の減額に係る年において外国所得税の額の減額がされた金額のうち、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した残額に相当する金額をいう。
一  当該外国所得税の額のうち居住者の法第九十五条第一項 から第三項 までの規定の適用を受けた年において控除対象外国所得税の額とされた部分の金額
二  当該減額がされた後の当該外国所得税の額につき当該居住者の法第九十五条第一項 から第三項 までの規定の適用を受けた年において同条第一項 の規定を適用したならば控除対象外国所得税の額とされる部分の金額
3  第一項の場合において、減額に係る年の納付控除対象外国所得税額がないとき、又は当該納付控除対象外国所得税額が前項に規定する減額控除対象外国所得税額(以下この項において「減額控除対象外国所得税額」という。)に満たないときは、減額に係る年の前年以前三年内の各年の第二百二十四条第六項(繰越控除限度額等)に規定する控除限度超過額(同条第三項又は第二百二十五条第三項若しくは第四項(繰越控除対象外国所得税額等)の規定により減額に係る年の前年以前の各年においてないものとみなされた部分の金額を除く。以下この項において「控除限度超過額」という。)から、それぞれ当該減額控除対象外国所得税額の全額又は当該減額控除対象外国所得税額のうち当該納付控除対象外国所得税額を超える部分の金額に相当する金額を控除し、その控除後の金額につき法第九十五条第三項 の規定を適用する。この場合において、二以上の年につき控除限度超過額があるときは、まず最も古い年の控除限度超過額から当該控除を行い、なお控除しきれない金額があるときは順次新しい年の控除限度超過額から当該控除を行う。


読んでも何のことやら理解するのに骨が折れると思いますが、簡単に纏めて見ます。

まず、外国で税金を徴収され外国税額控除を適用した年に行った税務処理は、以下のようだったはずです。
(1)外国で納付した税金を集計する(NISAで保有していたものをはじめ、日本で非課税の所得に対する分を除く)
(2)以下の算式で、外国税額控除の限度額を計算する。
外国税額控除限度額=A×B÷C
ただし、A=全世界での所得を基にした税額、B=国外源泉所得、C=全世界所得(人的控除(基礎控除、扶養控除、社会保険料控除etc)を差し引く前)
(3)上記(1)と(2)を比較して、小さい方を税額控除の金額とする。


ここで、還付が生じたということは、とりもなおさず(1)で集計した金額が減額されたという子tです。
そうなると、一見、過去の年度の確定申告をやりなおし税額控除を再計算・追納するということになりそうですが、そうではありません。
還付金を受け取った年(法文でいう「減額に係る年」)にも、上記と同じ作業をするはずですが、その中で調整することになります。従って、去年徴収された外国税額が今年になって還付されるとしたら、今年の確定申告に影響することになります。

具体的には、還付金を受け取った年の確定申告をする際、(1)の金額を、還付金の分だけ減額する。これが、申告書を作成する際にやるべき事となります。
結果として、(1)の金額が(2)を下回ることになったり、下回る幅が拡大することになるかもしれません。
そうした場合、仮に還付金の額の調整を失念すると税金の過少納付(過大還付)に繋がりますから、あとで追徴処分を受けることになります。
海外で還付金を受け取っておきながら国内でも「払った海外税金だけ控除の根拠にして、還付分は調整しない」というのでは還付の二重取りになりますから、このような処理をしなければならないのは当然でしょう。

(2)で算出される税額が十分小さく、(1)の金額をきちんと減額したとしても、その年の税額が変わらない場合もあるでしょう。
それでも、(1)の減額処理を怠ってはいけません。
なぜなら、(1)>(2)となった場合、その差額(控除限度超過額)を一定年度繰り越す(将来(1)<(2)になった年が出たときに相殺する)ことになるためです。
還付があった年にきちんと調整しておかないと、将来の申告でこの控除限度超過額が適正でないことになり、誤った申告をしてしまうことに繋がります。

徴収時に外国税額控除をしていなかった場合は還付時の調整は多分生じない


法文の第2項にあるように、「減額控除対象外国所得税額」((1)から減額すべき額)とは、徴収された年において「控除対象外国所得税の額とされた部分の金額」となっています。
となると、仮に、徴収された年の申告で外国税額控除の申告をしていなかった部分について還付が発生したら、どうなるでしょうか?
おそらくですが、そもそも「法第九十五条第一項 から第三項 までの規定の適用を受け」ていないわけですし、「控除対象外国所得税の額と」していないわけですから、結局、(1)を減額するという手続きは生じないことになるように思います。
仮にそうだとすると、還付を受けた年については「還付の二重取り」ができてしまうのか。日本での申告で外国税額控除が減らなくてめでたしめでたしなのか。
実はそうともいえず、別のところで不利益を受けることになるのではないかと思います。(「別の不利益」は後述します)

還付金の方が新規の外国源泉徴収より大きかったら、繰越控除限度超過額を消す


仮に還付金を受け取った年に外国での源泉徴収が少なかったとしたら(海外の株式・ETFをあらかた売ってしまったなど)、(1)の金額がマイナスになってしまいます。
そうした場合には、そのマイナス幅を過年度に生じた控除対象超過額と相殺することになります。これが第3項の処理です。
過去に払いすぎていた税金が戻ってきたとみなすことになるわけで、確かに尤もな処理です(控除限度超過額の発生時から今までのトータルで見れば、特段損するわけではありません)
勿論、さらに次年度に繰り越す金額が変化するわけですから、この場合であっても申告書上適切に調整を施さなければなりません。

なお、「徴収時に外国税額控除をしていなかった場合」は、それに関する還付額をここで控除限度超過額と相殺する事もできないと思います。第2項の「減額控除対象外国所得税額」に該当しないと考えるためです。

徴収額との相殺にも繰越控除超過額との相殺にも充てられなかった分は雑所得扱い


さて、還付額が大きく、新規の徴収額と相殺しても余り、控除限度超過額と相殺してもなお余る場合もあるでしょう。
また、「徴収時に外国税額控除をしていなかった場合」も、「余り」に該当することになります。

そうした場合はどうなるでしょうか。
なんと、雑所得として課税所得にされてしまいます。根拠は所得税法第44条の3後段です。
(減額された外国所得税額の総収入金額不算入等)
第四十四条の三  居住者が第九十五条第一項から第三項まで(外国税額控除)の規定の適用を受けた年の翌年以後七年内の各年においてこれらの規定による控除をされるべき金額の計算の基礎となつた同条第一項に規定する外国所得税の額が減額された場合には、その減額された金額のうちその減額されることとなつた日の属する年分における同条の規定による外国税額控除の適用に係る部分に相当する金額として政令で定める金額は、その者の当該年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額、一時所得の金額又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。この場合において、その減額された金額から当該政令で定める金額を控除した金額は、その者の当該年分の雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。

ここでいう「政令で定める金額」とは、所得税法施行令第93条の2です。
(減額された外国所得税額のうち総収入金額に算入しないもの)
第九十三条の二  法第四十四条の三 (減額された外国所得税額の総収入金額不算入等)に規定する政令で定める金額は、同条 に規定する外国所得税の額が減額された金額のうちその減額されることとなつた日の属する年において第二百二十六条第一項 (外国所得税が減額された場合の特例)の規定による同項 に規定する納付控除対象外国所得税額からの控除又は同条第三項 の規定による同項 に規定する控除限度超過額からの控除に充てられることとなる部分の金額に相当する金額とする。

要するに、施行令226条によって今年の徴収額と相殺したり、過年度の控除限度超過額と相殺したりしてなお余った金額は全て雑所得に入れる、ということです。

なにも所得扱いせず将来発生する控除限度超過額との相殺枠として残しておいてくれればよかろうに…と思わなくもありませんが、将来発生するかどうか分からない外国税額のために枠を残すような不安定なことはしたくないということでしょうか。(仮に枠を残すと、「控除限度余裕枠」とどちらを先に消費するかなど、問題もあるかもしれません)

「徴収時に外国税額控除をしていなかった場合」は、ここで課税扱いという不利益を受けることになります。きちんと申告すべきものは申告しておかないと、後で痛い目を見ることになるようです。

なお、ここで雑所得になる場合、それは国外源泉所得として(2)の算式のBに算入してよいのではないかと思います。
所得税法施行令第225条の14・第1号にいう
国外において行う業務又は国外にある資産に関し受ける保険金、補償金又は損害賠償金(これらに類するものを含む。)に係る所得
に該当すると考えるためです(あるいは、単純に「実質的には源泉徴収のベースである利子・配当にあたる」と考えてもよいでしょう)

NISAで還付が生じた場合。たぶん何もしなくていいはず…


外国税額控除への影響はない


さて、今回の私のBNDのようにNISA口座で保有していた資産について外国源泉税の還付があった場合はどうでしょうか。
この場合、まず外国税額控除の計算には、課税口座の場合と違い、まったく影響がありません。還付があった年の外国で納付した税額(1)を減額する必要もなく、過年度の控除限度超過額と相殺してやる必要もありません。
施行令第226条2項にいう、「法第九十五条第一項 から第三項 までの規定の適用を受けた年において控除対象外国所得税の額とされた部分の金額」に該当していないためです。
徴収されたときにそもそも外国税額控除制度の埒外におかれていたわけですから、還付のときにも外国税額控除の調整に絡ませないのは当たり前のことです。

雑所得算入は……ちょっと気持ち悪いけど、しなくていいんじゃないか


問題は、この還付金を所得税法第44条の3により雑所得に算入する必要があるのではないか、ということですが…
同条文は、「居住者が第九十五条第一項から第三項まで(外国税額控除)の規定の適用を受けた年の…」と、徴収時に外国税額控除の対象となっていたことが前提となっています。そうすると、NISAでの配当についてはこれに当てはまりませんから、そもそもこの条文の埒外という風に解釈することができそうです。

もっとも、この条文の埒外であるからといって、それだけで所得に算入する必要がないとは直ちに言い切れません。
いやしくも何らかの財産上の利益が生じた(今回は外国での還付金を受けた)以上、正面から雑所得だと明言する規定なんかなくても当然に所得として認識すべきだ…という見解もありえそうです。
所得だと明言する規定、所得にしなくてよいと明言する規定、どちらもなさそうなので実に気持ち悪いところです。

ただ、そもそも、最初の段階で外国での過剰徴収がなければ、NISA内での配当所得として当然国内の税は非課税の状態で入金されているべきものです。
その中の一部が、もっぱら外国政府の都合で一時預かりにされた後、遅れて入金されたというだけのことです。
つまり、本来であれば一個の所得として非課税で入金されていたものが、たまたま二回に分けて入金された途端に、別の雑所得扱いで課税対象になるというのは、いかにも不合理であり不条理です。
こう考えると、本来が非課税配当所得である以上はその一部であるはずの還付金もまた非課税配当所得であるとして、雑所得には算入する必要がないという解釈を個人的には取りたいところです。
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外国税額控除 | トラックバック:0 | コメント:0
[ 2017/08/24(木) 07:30 ]
[ 最終更新:2017/08/24(木) 07:30 ]

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