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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。 以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。 投資関係中心に語ります
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東京海上「つみたて円奏会」はつみたてNISA向けバランスファンド…なのだが本当に向いてるのかこれ |
東京海上アセットマネジメントが、円資産のみで構成されたインデックスバランスファンドを設定します。 東京海上・円資産インデックスバランスファンド
本ファンドは、以下のインデックス連動のマザーファンドに投資されます。 ・国内債券 (NOMURA-BPI) ・国内株式 (TOPIX) ・国内リート (東証リート指数) なお、資産配分比率は、「債券を70%に固定した上で、全体のリスクが年率3%になるように株式とリートを均等配分。残りは短期金融資産」というリスク固定型の決め方になります。 信託報酬は0.4104%となっています。
愛称としてつみたて円奏会という名称が設定されています。 アクティブのマザーファンドで構成される円奏会という既存ファンドがあり、構成や比率決定方法も共通しています。 既存の円奏会はモーニングスターのFund of the yearでの受賞歴がある人気ファンドで、名称を共通にすることでアピールしやすくする狙いがあるのでしょう。
なお、本ファンドは、有価証券届出書に以下のような記載があり、DCまたはつみたてNISAでの購入に限定されています。 つみたてNISAでは売るが現行NISA・特定口座・一般口座では売らないというのを運用会社レベルで宣言するのは初めてと思われます。 DCにせよつみたてNISAにせよ、制度上資金流入に制約がありますから、資産規模による運用上の制約は気になります。
当ファンドの取得申込は、原則として確定拠出年金法に定める加入者等の運用の指図に基づいて受益権の取得申込を行う資産管理機関・連合会等による購入の申込み、および平成30年1月以降開始予定の「つみたてNISA(ニーサ)」をご利用の方による購入の申込みに限るものとします。ただし、ファンドの設定・維持のため委託会社またはその関係会社が自己の資金をもって取得する場合はこの限りではありません。
なお、販売会社には楽天証券の名があります。 「平成29年10月27日より募集・販売の取扱いを開始する予定です。」とありますが、言うまでもなくその時点ではつみたてNISAの制度はまだありません。となると、あるいはidecoのラインナップ追加ということになるんでしょうか。
国内資産のみで構成されたつみたてNISA向けバランスファンドとしては、既に日本株式・Jリートバランスファンドもありました。 ただ、本商品は、債券が圧倒的に大きな比率を占めていること、及び資産配分がリスクに合わせて変動することが大きな特徴です。 正直言ってこのようなファンドがつみたてNISA向けに出てくるとは予想外でしたが、確かに、株式指数を含む指定インデックスのみで構成されたバランスファンドであり、資産配分の比率もリスク水準という「市況の変化に連動して行われる」ものである以上は、インデックスファンド枠でつみたてNISAの要件を満たせるわけです。これは盲点でした。
ただ、形式的に要件を満たしているからといって、本要件がつみたてNISAの趣旨に照らして本当に適している商品なのかというと……かなり疑問です。 「長期・積立・分散投資に資する投資信託に関するワーキング・グループ」報告書でも語られている通り、つみたてNISA制度は、家計ポートフォリオが預貯金に偏っていたことに関する問題意識から、リスク資産への配分を高めることを念頭に置いたものでした。
まず、アセットクラスによる分散効果の実現の観点からは、エクイティとデットの双方を組み合わせた金融資産のポートフォリオが望ましいと考えられる。既に預貯金等の元本確定型の資産を多く保有している家計においては、これらと組み合わせて金融資産全体として適切なポートフォリオを組むニーズがあること等を考慮すれば、株式のみを投資先とする投資信託についても、積立 NISA の対象に含めることには合理性が認められる。 同様に、販売会社においても、積立 NISA 向けの商品ラインナップに関し、当該商品をラインナップに組み入れた理由や、どのような顧客に適しているか等についての説明・公表を行うことが望ましい。具体的には、個々の顧客によって、保有する金融資産の状況や顧客自身にとっての積立 NISA の位置付けが異なることを踏まえ、預金しか保有していない顧客に対しては、株式主体の投資信託の保有を通じてアセットクラスの分散が可能になることを説明するなど、顧客の金融資産全体のポートフォリオを最適化する観点から、的確な説明を行うことが求められる。 また、株式を必須にする実質的な理由としては、株式こそが経済成長を(企業収益を通じて)取り込める性質を持っており、長期的資産形成には打ってつけだからという点が大きいと思われます。 地域分散を重要視するのも、たとえ日本経済が不振であっても世界のどこかで起こっている成長の成果を資産形成に取り込めるためです。
こうした観点からすると、本ファンドはどうでしょうか。 資産クラスでは株式とリートが最大で合計3割しかなく、債券と短期金融資産が殆どという構成は、「金融資産全体のポートフォリオを最適化」という趣旨、経済成長を取り込むという機能に照らして適切なのかどうか。 しかも、この3割の配分さえ、リスクを年率3%に調整するために増減されてしまいます。 調整というのをどうやるのかは明記されていませんが、普通に考えると、「一定期間の値動き実績を元に算定する」という方法以外にはないでしょう。となると、既に値動きが大きくあるいは小さくなってしまった実績が出てから、後追いで配分を変更することになります。(それとも、VIX指数とかを使って計算できるような方法があるんでしょうか?) 仮に後追いで配分比率を変更するということになると、「株価が大きく下落してから株を売り、株価が回復してから株を買う」という、やってはいけない投資の見本のような現象になることが懸念されます。実際に、マネックス資産設計ファンドではそのような現象が観測されているようです。 マネックス資産設計ファンド・・・年1度の資産配分比率の変更は余計 (ノーロード投資信託徹底ガイド)
ところで、リスクとは「振れ幅」ですから、株価が急騰した場合にもリスク値は上昇するはずで、「急騰の頂点で株を売る」というナイストレードになる可能性も理屈の上からは無くもないはずですが、そうした成功例をこの手のファンドが演じてくれた実例はあるんでしょうか? この懸念が的中し、株安時に株とリートを売って短期金融資産という安全資産に逃げるようでは、(相場に捉われず)「続けること、続けること、続けること」という積立投資の基本にも反します。そもそも、下落時にも等額で結果的に多くの資産を買えることこそ、インデックス投資の真髄なのに、下落時に株を手放して短期金融資産になってしまうようではなんにもなりません。(参考:「倒錯、」「M的な」つみたて投資の世界へようこそ (カン・チュンドのインデックス投資のゴマはこう開け!))
また、リスクを一定水準に抑えるというのは運用戦略の一つとして確かに尤もですが、それは資産全体(少なくとも、ある程度大きな部分)で行われて初めて実質的な意味があります。資産のごくごく一部、高々年間40万円を投資できるに過ぎないつみたてNISA内だけでリスクを3%に抑えてみたところで、外に控えているもっとずっと大きな資産をどうしろというのでしょうか? 東京海上としては、「外部の口座ではアクティブ版の円奏会を買ってくれ」とでもいうことかもしれず、そうすれば全体的には確かに資産全体を通してリスク抑制になって筋が通るようにも見えます。ただ、そのようにしてつみたてNISAの内部でも外部でも債券と株式を持つようなら、つみたてNISAに株式を集中して、外部で債券を買って、全体でリスク量を調整した方が株式での値上がり益に対する税制優遇を大きく享受でき、はるかに合理的です。
更に、海外資産が全く含まれておらず、日本という個別国のリスクを全力で負っている点も気に掛かります。 日本の経済成長が仮に長期的に低迷したりすると日本の株式の下落・低迷は免れませんし、債券も少なくとも当面の間は(何しろマイナス金利ですから)上昇余地は少なくそれなりの規模の下落は危惧されるところです。 普通の個別インデックスファンドや配分固定型のバランスファンドだったら、別途海外資産を買おうね、で済むのですが、本ファンドはリスク一定型のファンドです。本ファンドを買いつつ他で海外資産を買ってリスクを変えてしまっては何をやっているのか分かりません。
以上考察したところからすると、本ファンドは、形式的にはつみたてNISAの要件を満たしているように見えても、実際にはまるで適切な使いようのないファンドだと思います。 このような商品がつみたてNISA適合商品として売り出され、「お墨付き」の商品の外観を備えるようだと、せっかくの長期資産形成に却って阻害要因として働いてしまいかねません。 東京海上アセットマネジメントには、果たして本当にこの商品が金融庁の意図に適っていると考えられるのか、本当に投資家の資産形成に資するといえるのか、もう一度考え直してほしいと思います。
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東京海上
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[ 2017/09/23(土) 23:18 ]
[ 最終更新:2018/03/26(月) 03:58 ]
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