東京証券取引所より、iシェアーズETF10本の上場廃止・償還予定を理由とした監理銘柄指定が発表されています。 監理銘柄(確認中)の指定:iシェアーズ 米国ハイイールド債券ETF-JDR(iBoxxドル建てLHYC)ほか9銘柄
発表によると、対象銘柄は以下の通り。
iシェアーズ 米国ハイイールド債券ETF-JDR(iBoxxドル建てLHYC) 受益証券【1361】 iシェアーズ 新興国債券ETF-JDR(自国通貨建) 受益証券【1362】 iシェアーズ 米国債ETF-JDR(米7-10年国債) 受益証券【1363】 iシェアーズ 先進国株ETF-JDR(MSCIコクサイ) 受益証券【1581】 iシェアーズ エマージング株ETF-JDR(MSCIエマージングIMI) 受益証券【1582】 iシェアーズ フロンティア株ETF-JDR(MSCIフロンティア100) 受益証券【1583】 iシェアーズ 米国超大型株ETF-JDR(S&P100) 受益証券【1587】 iシェアーズ 米国小型株ETF-JDR(ラッセル2000) 受益証券【1588】 iシェアーズ 米国高配当株ETF-JDR(モーニングスター配当フォーカス) 受益証券【1589】 iシェアーズ 米国リート・不動産株ETF-JDR(ダウ・ジョーンズ米国不動産) 受益証券【1590】 これらのファンドにつき、いずれも9月28日から監理銘柄に指定。1月22日に上場廃止の上、1月24日に償還となります。
これらのETFは、資産クラスとしては極めて重要性の高い分野や独自色の強いものが見受けられます。 そのため、特定口座やNISAで購入していた人もいるかと思いますが、仮に上場廃止まで持ったままでいると、両講座での特典をかなり失ってしまう恐れがあります。
ETFが上場廃止になったときの税務上の取り扱いについては、すでに過去に論じたことがあります。 「上場廃止」の罠
詳細はこの過去記事に書かれているところを参照していただきたいのですが、思い切りかいつまむとこんな感じです。 (大前提):NISAや特定口座には、「上場株式等」だけが受入可能である。 (小前提):上場廃止銘柄は、廃止になった瞬間に非上場銘柄に転落し、NISAや特定口座に入る資格を失う (結論):従って、上場廃止以降まで保有していたら、一般口座での保有資産と同様に(自分で計算して!)申告しなければならない。
特定口座による損益自動計算や損益自動調整、NISAでの非課税などといった制度メリットを享受するつもりだった人にとって、いきなり一般口座と同様に損益を自分で計算するなどしなければならないとなれば、不本意なこと甚だしいと思います。 これらの銘柄を保有している方がおいでであれば、できる限り早めに持っているものを処分した方がよさそうです。
なお、余談ながら今回のファンド群のように、JDR形式での販売となっていた資産の場合、JDRが上場を廃止するのなら原資産である海外市場でのETFそのものをJDRの代わりに給付するような仕組みにはならないでしょうか。 仮にそれが可能であれば、合併や株式交換などで今までの株が別の株に振り替えられた場合と同様、新たに手に入るETFをNISAや特定口座の対象にすればよいだけという、単純ながら非常にやりやすそうな話になります。
ETFが上場廃止になるのは投資家にとっても大きな不利益になります。そのような可能性のない、取引高の多い商品を慎重に見極めてから投資する必要がありそうです。 ただ、最近は海外ETFへのアクセスも非常に向上しています(楽天・SBI・マネックスとも、「売買代金の0.45%+消費税」「但し最低5ドル最大20ドル」といった要件は共通しており、コストの低下は大きく進捗しています)。 また、日本の公募投資信託においても、手数料は極めて低くなっており、もはやETFが低コストとは言い切れない状態です。 これらを考えると、日本上場のETFは実はニーズの谷間に位置する、かなり微妙な立ち位置になっているということかもしれません。
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