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海舟の中で資産設計を ver2.0
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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質問コーナー「ドルMMFの利回り差は」 …リスクの取り方がファンドごとに違うので跳ね返ってきます
米国市場の株式やETFに投資していると、買付資金の余りや配当金など、ドル現金が手元に残ることがあります。
そうした場合、外貨建MMF(ドル)が便利です。
MMFとは、非常に大雑把に纏めると、「流動性が高く、安全性が高い短期の債券系の資産に投資する投資信託」です。基本的に株式や不動産には投資しないというように目論見書で定めています(新株予約権付社債からの転換など、例外的に株式を持つことは許されている場合があります)。
「安全性が高い」「短期」とは具体的にどういう基準かはファンドによって具体的に投資方針や投資制限として目論見書等に記載されていますが、これらの特性により、元本割れのリスクを相当程度排除した上で、いつでも購入や売却が可能という預金に近い特性の商品になっています。
通常の投資信託だと売却注文から現金化まで3営業日以上かかるのが普通ですが、MMFだと概ね翌営業日に現金化されるようになっています。組み込まれている資産が安全性・流動性の高いものに限られていることにより可能となっている特性でしょう。


さて、そんなMMFでは現在の利回りはこのようになっています。


基本的に、投資先の債券等の実績利回りをそのまま享受することになるので、銀行におけるコストを事実上差し引かれてしまう外貨預金よりは概ね有利な数字になりますが、こうしてみると同じドルでもファンドによって結構異なる利回りになっていることがわかります。
これについて、
各社の金利の差って何なんでしょうか?(*´Д`*)
という質問をツイッターで頂いています。



インデックスファンドじゃないからリスクの取り方が結構違う


忘れてはいけないのは、MMFはインデックスファンドではないということです。
ポートフォリオやパフォーマンスを何らかのベンチマークに追随させる必要があるという性質のものではありません。
追加設定や現金化に即座に対応できる程度の流動性や安全性が確保されていれば足りるのであって、その範囲内で各社各ファンドごとに運用方針や具体的なポートフォリオを決めています。従って、その範囲内でさえあれば、結構自由にリスクを取ることもできますし、逆に安全性重視でリスクも利回りも低い方向に行くこともできます。

資産種類による違い


MMFに組み入れられる資産としては、債券のほか、CP(コマーシャルペーパー)、CD(譲渡性預金)、現金預金などが代表的です。

一口に債券といっても、国債や地方債と民間企業の社債とでは、概ね前者の方がリスクが低く、それに伴ってリターンも低めなことが一般的でしょう。
また固定利付債か変動利付債か割引債かによって、金利変動に伴う評価額の変動は変わります(金利上昇局面では、変動利付債(市中金利に連動して変動する設計の場合)の方が金利収入が増える分だけ損失が出にくい。個人向け国債の固定5年と変動10年の比較を思い出しましょう)。

CDというのは、市場で自由に譲渡できる預金です。預金ですから満期に払い戻される金額は決まっており、それが実勢金利を考慮した価格で売買されます(基本的には、債券と同様に金利が上がれば安値、下がれば高値になるはずです)。
CPというのは、民間企業の発行する、短期(1~3か月程度が多いようです)の期限を定めた約束手形です(ほぼ社債と同様に捉えてよいはずです)。概ね運転資金の調達として発行されることが多いようですが、短期金融市場に向けて発行するものですから、当然十分な優良企業でないと発行できず、従って安全性は高いといえます(企業としては、CPのための開示資料整備の手間、金利の比較など色々な要素を考慮して、CPで調達するか銀行借入やその他の方法で調達するかを決めるはずですが、より詳細な事情は筆者の手に余ります)。
CDもCPも市場で頻繁に流通し、中央銀行のオペ対象にもなるくらい流動性・安全性の備わった資産です。あえて比較すれば、銀行が債務者であるCDの方が、CPとの比較でやや信用リスクが低いでしょうか?(CPも優良企業発行かつ極めて短期ですからその差は小さいでしょうし、金融危機時などには銀行の方が危なくなるかもしれませんが)

もとより、定期預金などを保有している場合は価格変動リスクがなく、信用リスクも(金融危機時を除き)極めて低いでしょう。

このように色々ある資産の種類のうち、どれの比重が重めになっているかによってポートフォリオのリスクやリターンが変わってきます。
一般的には、現金預金や国債・地方債が重めのMMFであればリスクやリターンが低め、民間企業の社債が重めだとリスクやリターンが高めになるのではないかと思います。

格付け、信用状態による違い


投資先資産個々の発行体の信用格付によっても当然リスクやリターンは変わります。
一般的には、高格付の発行体であれば低リターン、低格付の発行体であれば高リターンになります。

MMFの場合は、安全性と流動性を重視する商品性質上、投資方針として「格付機関から短期債務につき最高の格付けを得ている(またはそれに準ずる)発行体」に投資先を限定している場合が殆どですから、そこまで大きな差になることは少ないと思われます。

ただ、格付機関にもよるでしょうが、短期格付だと長期格付(よくAaaとかAa2とか目にする馴染みのあるものはこっち)ほど細かく分かれてはいないようです。
ムーディーズの格付の説明資料によると、短期格付での最高は「P-1」という記号で表されますが、これは長期格付でいうと「Aaa」から「A3」までに及ぶ範囲に相当するそうです。
もちろん安全性が高い事には変わりありませんが、同じ短期格付P-1の発行体への投資でも、長期格付AaaやAa1相当に寄っているポートフォリオの場合とA2やA3相当に寄っているポートフォリオの場合とでは、多少なりともリスクにもリターンにも影響が及んでくるかもしれません。

残存期間による違い


投資先の残存期間によっても差が出ます。
一般的には、「加重平均残存期間が60日以内」程度に定められており、個別の資産についても1年内外が限度になっている場合が多いようです。
従って、あまり極端な差になることもないはずですが、期間が長いとそれだけ信用リスクの影響が大きくなりますし(例えば、「明日返してもらえる」のであれば相手が金持ちでも貧乏でもあまり関係ない〔債券価格に差が出ない〕が、半年や1年となると信用状態が気になる〔債券価格に差が出る〕)、金利変動による影響も大きくなります。

実際のポートフォリオ比較


実際に、SBI証券で取り扱いのあるドルMMFのうち、取り扱いが始まったばかりのブラックロックを除いた3本、ニッコウノムラゴールドマンの各ファンドの8月31日現在の月次レポートからポートフォリオを比較してみます。
ファンドニッコウノムラゴールドマン
利回り0.912%0.5~0.6%程度0.782%
加重平均残存期間50日不明30日
格付すべてP-1またはAa不明すべてP-1
※3分の2がS&Pの「A-1+」、3分の1が「A-1」
資産構成現金預金ほか6.7%15.8%21.9%
CD30.0%28.6%15.9%
CP59.4%49.9%19.3%
債券4.0%5.7%36.0%
レポ取引6.9%

一見してみますと、現金預金の比率が結構違うのが見て取れます。ニッコウは現金預金が6.7%と、かなりフルインベストメントに近いのに対し、ノムラとゴールドマンは15.8%・21.9%と大きくなっています。現金比率がここまで高くては、ノムラやゴールドマンの利回りが低めになるのも仕方ありません。
ただ、ノムラとゴールドマンでは現金比率の高いゴールドマンの方が利回りが高くなっています。ノムラの残存期間や格付分布が分からないので困りますが、ゴールドマンはCDやCPより債券が重いですから、そのあたりでリスクが大きめになっているのでしょうか。ゴールドマンは181-365日で13.9%、366日以上さえ1.8%持っている(残存1年を超える資産の保有はMMFとしてはかなり異例だと思います)ので、この辺のリスクテイクが利回りに貢献してきているかもしれません。

MMFもそれぞれ特性を持ったリスク資産には違いない。たまには内容のチェックも


さて、安全性・流動性が高いと認識されているMMFですが、このように格ファンドごとに内部で色々と独自のリスクを取っています。
もとより分散の効果もありますし、危ない資産はかなりの確率で弾かれるような投資基準(格付の制限、残存期間の制限等)になっていますから、あまり顕在化することはないとはいえ、リスクを取っているという事は時には損失を出すこともあるということは忘れてはいけません。分散効果などで吸収しきれなければ元本割れもあり得ます。
過去には、リーマングループの証券に投資した一部の米ドルMMFや、エンロンの円建社債を組み入れていた一部の円MMFが元本割れしたことが知られています。
異常な金融危機あるいは異常な不祥事(会計不正)の影響であり、ここまでのことがあってようやく元本割れとも言えますが、とにかくリスクは厳然として存在しています。
そのリスクの度合いは、各ファンドごとに異なっています。組み入れ資産はファンドごとに異なるのですから。
となれば、MMFといえども、やはり時には運用レポートなどに目を通し、「他のMMFと比べてやたら期間が長くなっていないか?」「リスクの高そうな発行体が組入上位に並んでいないか?」など、リスクの有無や度合いをチェックすることはやはり重要でしょう。
リターンの高さは、そのリスクの反映です。もとより、利回りが高いMMFが即危険という風に短絡することはできませんが(大抵の場合は、高リターンを享受して喜んでよい場合が多いでしょう)、きちんとどれくらいリスクテイクをしているかを確認することも、投資家として忘れてはいけません。
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[ 2017/10/10(火) 03:43 ]
[ 最終更新:2017/10/10(火) 03:43 ]

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