大和証券は、つみたてNISAラインナップに東証上場のETFを加えました。 「つみたて NISA」の商品ラインアップへの ETF 追加について
金融庁の対象商品一覧にも、12月1日付で当該ETFが追加されています。
大和証券は、第4回のつみたてNISAMeetUPでETFをつみたてNISAの対象商品にする旨宣言していましたが、遂にというか漸くというか実現に至りました。他の販売会社ではまだ対応しているところはなく、パイオニアとなっています。
今回、ラインナップに加わったのは以下の3本です。 ダイワ上場投信−トピックス【1305】 信託報酬0.1188%+組入証券の品貸料の54% ダイワ上場投信−日経225【1320】 信託報酬0.1728%+組入証券の品貸料の54% ダイワ上場投信−JPX日経400【1599】 信託報酬0.1944%+組入証券の品貸料の54% 品貸料というのは、ETF内部で組み入れられている株式を貸株市場に出して得られる賃貸料です。 この部分は、実際にどれだけ貸し出しができるか、また料率に影響する需給などの要因がどうなるかなど、実際の経過を見なければどういう水準になるか不明と思われます。 ただし、固定料率の部分と合わせた合計はいずれも0.27%以内と定められていますから、それ以上に品貸料が得られた場合には、超過分は全額が受益者に帰属することになります。(その結果、ETFが値上がりしたり、分配金が増額しやすくなったりする)
いうまでもなく、監査報酬や保管費用などの「実質コスト」はこの他に掛かります。
上記3ファンドは、いずれも1売買単位当たり1万円台後半~2万円台前半という価格ですが、つみたてNISAでは国内上場ETFの場合は取引単位1000円以下と定められており、より小単位での買付が可能になります。
とはいえ、コスト的には実はそこまで優位とは言えないかもしれません。 大和証券では、iFreeシリーズもつみたてNISAのラインナップに加わっています。 iFreeであれば、TOPIX・日経225は信託報酬0.1836%、JPX400は信託報酬0.2106%と、殆ど遜色のない水準になっています。 また、ETFではつみたてNISAでも1.35%(税抜き1.25%)までは売買手数料を取ることが認められていますから、販売会社の料金体系によっては、かなりコスト的に不利になるかもしれません。
更に、ETFでは分配金が必ず出てしまうという問題もあります。 分配金の扱いがどうなるのかは販売会社次第ですが(るいとうの仕組み流用であれば自動再投資になりそうですが、再投資と現金受取を自由に選択可能であったり、強制的に現金受取だったりするかもしれません)、、仮に再投資されるとなると年額40万円の枠を消費してしまいますから、実際に投入できる新規資金はそれだけ少なくなります(保有数量が増大するにつれてその影響が大きくなる)。
なお、現金受取の場合、配当金の受領方法として「株式数比例配分方式」に設定していないと分配金が配当課税されてしまいますから、注意が必要です。
なお、ETFの場合、「指値売買ができること」が通常のインデックスファンドにない特徴の一つですが、つみたてNISAでの取引の場合は(少なくとも買付は)指定日の寄り付きなり引けなりでの成行取引になるでしょうから(一般的なるいとうはそうだし、また時価を見つつ売買を決めるのでは積立の名に値するか怪しい)、このような「指値取引可能」のメリットはメリットとしてあまり機能しない可能性があります。
このように考えると、ETFが買えるといっても、今回のラインナップでは意外にメリットの大きさはそれほどでもないかもしれません。 東証上場でも仮にiシェアーズ TOPIX ETF【1475】(信託報酬0.0648%)、あるいはSPDR® S&P 500® ETF(経費率0.0945%)あたりが入ると、様々なデメリットを考えてもなお低コストのメリットが立ってくるんでしょうが……。
難を書き連ねてきたような格好になってしまいましたが、それでもETFがつみたてNISAに登場したことそのものは良いことだとは思います。 他社が追随してきてより取扱銘柄の範囲も広がるかもしれませんし、ここでるいとう形式の積立システムの運用実績が重ねられることで通常口座にも積立の仕組みが今まで以上に広がるかもしれません。 もしそのようなことになり、投資手法の幅が広がるようであれば、そのこと自体投資家にとって大きなメリットになります。 その意味で、つみたてNISAでのETF導入の行く末がどうなるかは注目されてよいかもしれません。
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