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2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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米国株投資。法人税減税可決により、気にしないでよいと思うが一瞬だけ決算が極端に「悪化」するかも
昨年は、インデックス投資の環境が大幅改善した年であると同時に、米国株投資のプレゼンスが大いに高まった年でもありました。
ブログ界でも、米国株ブロガーと総称される、米国個別株あるいは米国株関係インデックスへの投資を戦略の中心に据える人たちの勢いが増しているといわれています。
また、インデックス投資としても、iFree S&P500インデックス楽天VTI楽天VYMなど優秀な米国株インデックスファンドが登場しており、米国株投資がますます身近な存在になってきているのは明らかです。

折しも、米国議会では上下両院で法人税率の大幅引き下げが可決されています。
税率が下がるということは、言うまでもなく、同じだけの税前利益を稼ぎ出したとしても会社の手元に残る分が増える(税引き後の純利益が押し上げられる)わけですから、結果として基本的にはポジティブな影響になるはずです。
従って、米国株投資を行っている向きには、極めて喜ばしいニュースと受け止められていることかと思います。

基本的には、その通りの認識で問題ないものと思いますが、ただ、一瞬だけ話が変わることがあるかもしれません。
次の決算発表(12月以降締めの最初の四半期/年度)において、税金費用が増える→純利益が押し下げられる→EPS(一株純利益)が悪化するといった事態になる可能性があります。
その為、決算発表後、一瞬だけ株価がネガティブに反応してしまう可能性があります。

税率が下がったのに税金費用が増えるとは、いかにも直感に反する話です。
なぜそのようなことが起こるのでしょうか。
からくりは、税効果会計という、企業会計上の技術にあります。



税効果会計というのは、会計と税務との基準の食い違いから来る差異を調整するものです。

会計の世界と税務の世界とでは資産・負債の評価方法、損益の計上時期など、一致しないところが多数あります。
そして、その中には、「一時的に食い違うだけで、将来的には一致する」というケースがあります。
そのようなケースの場合、将来差異が解消していく過程で「会計上は費用が発生しないが、税務上は損金が追加計上される」というプロセスを経て、税務上の所得が減少するということが起こります。(ものによっては、裏返しになる(会計上の利益がないが、税務上の益金が追加計上される)場合もあります)
固定資産の減価償却や減損、各種引当金などに関連して発生するのが典型的です。
なぜこのようなことが起こるのかというと、「発生主義」を基本とする会計と「公正・公平な課税」を旨とする税務との理念の違いによるものと考えられます。
会計の世界では、いやしくも原因事実が発生したとみなされたら応分の損益を認識しなければなりません。資産を1年供用したら供用した分だけ費用を計上しなければならず、陳腐化してキャッシュフロー獲得能力が極端に減退したら損失を計上しなければならず、従業員が1年勤務したら退職給付費用を認識しなければなりません。
勿論、「何年使えるうちの1年を使ったのか」「将来生み出されるキャッシュフローはいくらなのか」「退職金はいつ、いくら払うことになるのか」など不確定要素がありますが、そこはどうにかして合理的に見積もることになります。

これに対し、税務の世界では、おいそれと見積もりで損益を計上されては困ります。
そんなことを認めてしまっては、極端な話、鉛筆を舐めながら都合よく見積もりを弄り回して利益を調整し、極力税金の発生を避けるような人が現れかねません。
そのような道を封じるために、減価償却年数は資産の種類ごとに画一的に設定し、減損による損失は認めず(減価償却費や除却損によって帳尻を合わせる)、引当金段階では認めずに実際に現金が出ていく(退職金の支給など)段階で損金算入させる、などといった具合に「誰が見ても疑いの余地がない」ことを重視する設計になっています。

固定資産の減価償却を例にとってみます。
例えば、丁度5年前に固定資産を取得価額1000で取得・供用したとします。
取得した段階で、「この資産は経済的耐用年数は5年、残存価額はゼロだろう」と見積もって、定額法で減価償却してきたとします。(毎年200だけ償却)
当期(第n期)末の段階では、耐用年数を満了してしまいましたから、会計上の簿価はゼロです(厳密には備忘価額が残りますが)。
仮にまだ当該資産が使えるとしても、今後は簿価ゼロ(備忘価額)として帳簿に残ることになります。
厳密には、「5年よりもっと長く使えそうだぞ」と判明した時点で、償却年数を変更して最後まで簿価が残るように調整していくべきですが、ここではそれは無視します。

ところが、税務上は必ずしも5年で減価償却できるとは限りません。税務上は法令の定める期間で減価償却を行う必要があり、例えば「10年・定額法で償却しなさい」と定められていればそれに従わなければなりません。(毎年100だけ償却)
この場合、当期(第n期末)の段階では、簿価は500残っていることになります。

ここで当該固定資産の評価額につき500の差異が出てしまいました。
しかし、減価償却というのは「何年かけて費用に落としていくか」という期間配分の技術であり、最終的には必ず資産の簿価はゼロになるので、会計と税務の差異は必ず解消します。
従って、これから先の5年間にわたって、「会計上は費用が発生しないが税務上は追加で損金が計上される」という金額が合計500だけあることになります。
すなわち、将来の課税所得が合計で500だけ減ることになります。

将来の課税所得が減るということは、その減少幅に税率を掛けた分だけ将来の税額が減るということに他なりません。
つまり、上記の設例でいえば、税率を35%とすると、第n期決算の時点において、将来の税額を175(=500×35%)だけ減らせるポジションを持っているということになります。
(税金という)将来キャッシュアウトを減らせるポジションというのは、会計ではそれ自体「資産」として位置づけられます。
従って、この会社は第n期末において繰延税金資産として175の資産が計上されることになります。

第n+1期末になりました。
件の資産はまだ廃棄せず稼働しているとしますと、会計上は簿価ゼロ(備忘価額)・税務上は簿価400となります。
税率が変わっていなければ、繰延税金資産は140(=400×35%)になるはずです。
ところが、ここで税制改正があり、「今期までは税率35%だけど、来期(第n+2期)からは21%に下げるよ」ということになったとします。
こうなると、将来の税額減少も小さくなります。具体的には、84(=400×21%)しか税額が減りません。
将来キャッシュアウトが84しか減らないのなら、資産として計上できるのも84だけです。
従って、繰延税金資産について56の評価減(=140-84)が生じることになります。これを繰延税金資産の取崩しと言います。
取崩しは、税金費用(科目名でいうと「税金等調整額」)を相手勘定として行うことになります。
従って、第n+1期決算においては、税率が低下するはずなのに、税金費用が56余計に嵩むことになります。

今回起こると予想されるのはまさにこれです。
「将来何年にもわたる税額減少幅の縮小」を一挙に税金費用増として認識しなければならなくなるため、結果的に税金費用が大きく膨らみ、当期純利益を大きく押し下げるのです。
ただし、これは税率改正が判明した時の決算で1回限り生じる現象であって、その次の決算からは(税率の再改正がない限り)税金費用が異常値を示すことはありません。
その為、EPSなどの指標への影響も1回限りです。
ですから、本来的には今回の決算における指標の変化をあまり深刻にとらえる必要はないのですが、あるいは決算発表直後に瞬間的に株価が大きく反応してしまうケースはあるかもしれません。
短期売買をする向きにはチャンスかもしれませんし、ファンダメンタル分析をする向きには、今回はパラメータとして税引き前利益を使うなど改正の影響を排除する工夫をするのがよいでしょう。見た目の指標の変化に惑わされないことが大事そうです。


会計の都合によって、税率低下で一瞬税金費用が大幅増加するという不条理感溢れる事態が発生するかもしれないという話を紹介しました。
株式投資に真面目に取り組む場合、会計知識がないといくらかの混乱や戸惑いを強いられる場面があるかもしれないということです。
このことに限らず、知識を学んでおいて損はないものだと思います。
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[ 2018/01/05(金) 08:50 ]
[ 最終更新:2018/01/05(金) 08:50 ]

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