ツイッター上で興味深いデータが紹介されていました。
金融資産1億円以上、いわゆる「億り人」について、年収1000万円未満・当初投資金額50万円未満・投資期間23年など、大きな資金規模がなくても「時間を味方につける」という方向性のデータが示されています。 データの出典は、野村総研の調査と思われます。
億り人というと、大抵の人にとってはかなり遠い世界の話のようにイメージしがちと思いますが、ここで示されたようなそこまで飛び抜けているわけでもない像でも時間を掛ければ到達できていると思えば、意外に身近に思えるかもしれません。
上記ツイートでは、平均投資額16万円/月、平均投資歴23年となっていますが、仮にもっと時間を掛けてよければ更に身近に感じられると思います。 例えば、22歳で大学を卒業して就職、60歳の定年退職まで38年・456箇月あります。この間、毎月月初に56,333円ずつ積み立てると、年率6%の利回りを達成できたとすれば、456箇月目の末には実に9483万円に達する計算になります(過去に紹介したExcel の計算表にて積立成果を計算してみてください)。 年率6%というのは、十分に分散された株式の長期的期待リターンとしてはまず穏当な範囲内と思われる数値です(JPモルガンの2017年時点の長期予測では、先進国株式5.50%、世界株式5.75%)。特段、高リターンを求めて無理な取引をせずとも、インデックスファンドをバイアンドホールドしておれば十分に達成可能性があります。 また、月額56,333円というのは、言うまでもなく、個人型DC(iDeco)23,000円とつみたてNISAの月割額33,333円の合計に相当する数値。税制優遇口座の利用だけで足りるということ、また収入に対する比率でみても、手取り年収270万円に対し25%、手取り年収338万円に対し20%、手取り年収450万円に対し15%程度ですから、極端に高いハードルではありません(本多静六氏が収入の1/4の天引きを提唱していることを思い起こしましょう)
もっとも、DCにも受給時の課税がありますし、つみたてNISAは購入後20年目までしか非課税にならない上に制度自体がいつまであるかはわからない、などといった事情もありますから、税コストを別途見込む必要があります。収入増加分を追加投資や貯蓄などに充てるなどして手当することになるでしょう。
幸いにして、現在は記事でも紹介している通り、0.1%台や0.2%台の信託報酬で全世界の株式に分散投資することが可能になっていますから、「年率6%」というプランの実行可能性も極めて高くなっています。(ほんの数年前は、信託報酬も0.5%とか0.7%とか、もっと前には1%かかったりしていたと思いますが、そんなに高コストな商品しかないと当然大いに不利になります)
積立型の税制優遇口座の拡充、信託報酬の大幅低下などもあり、今や時間さえ味方に付ければ、収入や資産が普通程度でも、さしたる無理な投資もせず億り人に到達が容易になっています。 億という数字に本来さしたる意味があるわけでもありませんが、今や特別な資質が無くても、早めに行動を起こせば「億」のような分かり易い成功体験を実現しやすくなっていることは、是非知っておいてよいと思います。
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