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海舟の中で資産設計を ver2.0
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
投資関係中心に語ります

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「世界一ラクなお金の増やし方」。投資家として、経済人としてある種の到達点を示すか
NightWalker's Investment Blogの管理人、Nightwalker氏による著書世界一ラクなお金の増やし方 #インデックス投資はじめましたが出版されました。

筆者は2000年から投資家を始め、徐々にインデックス投資にシフトしつつ、一方で50代で会社員をリタイアされています。
本書は、その長い経験と人生ステージによる見識が盛り込まれたものとなっています。

本書の特色をいくつか纏めてみます。



投資理論の要諦を押さえつつ、理屈よりも自然体


投資信託の仕組み、インデックスファンドとは何か、非課税制度の解説、ポートフォリオの組み方…などといった内容については、当然一通り記述があります(というか、言うまでもなく、それがメインです)。
しかしながら、必ずしも、全部理詰めで精緻に押すばかりではありません。
例えば、リスク資産の割合・リスクの取り方などにしても、「積立投資はリスクを少しづつ取れるのがメリットだから、少しづつ決めればよい」「これでは遅いと思ったらピッチを上げてもよい」「自分のリスク許容度を知るのに10年くらいかかった」など、かなり自然体な緩さが随所にあります。
あるいは、
・インデックス投資の優位性は、「そもそも長期保有(あるいは類似運用への乗り換え)できるのがインデックスファンド以外は難しい」という指摘 ←償還してしまう場合や運用方針が変わってしまう場合・コスト感が変わる場合もあり、またアクティブだと似たような運用方針・手腕のファンドを見つけにくいこともあるため
・長期投資に出遅れはない(過去20年でも3~4回はあった買い場に、積立なら必ず買えた)
など、長らく投資を続けてきたことによる自然な体感に基づいて説かれています。
根底が体感ベースであろうだけに、ある意味で受け入れやすくなっているのではないかと思います。
この辺りは、理屈で精緻に押す傾向のあるお金は寝かせて増やしなさいとは異なったアプローチかも知れません(必ずしもどちらが良いという話でもありません)。
「投資信託を保有し続けるのは案外難しい」という話、某インカムファンドへの恨み節が行間に見えたのは私だけでしょうか…w

また、「買い場とは、過ぎ去りし青春のようなもの」など、表現も秀逸です。


投資をあくまで経済活動の一つに過ぎないものとして相対化


投資信託積立の優位性として、個別株トレーディングのような「銘柄選別の手間」「値動きによるストレス」「タイミングを計る手間」などがないことを挙げ、サラリーマン生活を妨げず両立可能なことを挙げています。
また、投資中に何回か訪れたクラッシュ場面での対処につき、「積立をやめずに続けた」「無リスク資産を積んでおいた」のほか、「働いた」(収入を得た)というのを必ず入れています。
投資活動を財テクとしての絶対的存在ではなく、あくまで就労による収入稼得と並行・相互補完し合う経済活動の一つ、それ以上でも以下でもない存在として相対化しています。

当たり前といえば当たり前ではあるのですが、実際に両立させてきて現にリタイアを可能にするところまで持ってこれた実績を伴っているだけに、重みがありそうです。
と同時に、「どうしても投資の方で高リターンを叩き出さなければ」という気負いは無用だということも教えられるのではないでしょうか。

リタイア意思決定も出口戦略もあくまで自然体


繰り返しますが筆者は既にリタイアしています。
そのリタイアの意思決定は、普通に考えるとさぞ大きな決心だったと思いたくなるところですが、本書によると、「早期退職の勧奨を受けた」「介護の問題の兆候が見え始めてきた」「計算してみたら行けそうだった」という、ただそれだけの「のんきに急展開」(筆者による)でした。
具体的にどう「計算したら行けそうだった」のかは本書の記載に譲りますが、就労する・しないを金銭問題として客観的に把握する感覚、またその計算を可能にする知識(年金制度など)などによって、不慮のタイミングであっても意思決定が自然にできるだけの行動の自由が確保されることが示されています。

また、出口戦略についても、定率取り崩しを理論上の基本としつつ、実際には「使いたいときに(ほどほどに)使う」「一生カウチポテト仮説」など、厳密に縛らない・実践可能な単純さを重視しています。
こうしたあたりは、今まさに実践中であるがゆえの感覚に裏打ちされたものであり、何年・何十年後にそこまで到達する読者側としては大いに参考になるところです。

もとより、緩い一方ではなく、「全く勉強しないはあり得ない」「金融リテラシーこそが出口戦略の根幹」「そのワザを身につけたあなた自身が出口戦略の要」と、見ようによっては冷厳な指摘も突き付けています。もとより、自分自身の生活スタイルや収支見通しに即して財務をコントロールしていくのはどんな他人にもできないことである以上、自分自身で経験と知識を獲得・活用していく以外にないことはあまりにも当然ですが、このあたりは、まさに自身で長らく投資経験を得てきて今後リタイア生活に臨もうとしている筆者の実感でもあるのでしょう。


全体を通して、本書は、投資・資産形成・リタイアさらには人生設計に関する過大な気負いを削ぎ落し、感性と喧嘩しない程度にまでエッセンス化させた一種の教養書であるともいえます。
人生における一つの到達点に達した筆者であるからこそ描ける自然体の書籍とも言えます。
資産運用を行う個人にとって、ひとつの到達目標であると評してもよさそうです。
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[ 2018/06/04(月) 03:13 ]
[ 最終更新:2018/06/04(月) 03:13 ]

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