6月に入り、住民税の普通徴収の納税通知が各自治体から発送されています。 国税の確定申告において給与分以外普通徴収を選択した私のところにも、6月初めに通知書が来ました(特別徴収の通知は5月下旬に会社から受け取っており、第2陣ということになります)。 特別徴収と普通徴収を合わせた合計税額は事前に試算したところとほぼ一致(誤差1000円未満)しており、ひとまず納得の数値です。
ただし、寄附金税額控除(ふるさと納税)が僅かに限度額オーバーしていたらしいことは痛恨の極みでしたが…(泣)
今回の住民税は、- 寄附金税額控除がある (まあ、ありふれてるよね…)
- 外国税額控除がある (マニアックなネタきた! が、まあ、インデックス投資家による海外ETF人気や米国株ブームもあるし少しはメジャー?)
- 配当所得で国税と異なる課税方式を選択(国税では総合課税選択)している (始まったばかりのネタ! どのくらい利用されてたんだろうか?)
- しかも、地方税での選択が一部は申告不要、一部は申告分離課税という不統一なものである (!?)
という、若干ひねくれた申告内容であったのですが、どうやら全て無事に処理されているようで、一安心しました(当然のことではあるのですが)。
なんで申告不要と申告分離課税とが併存してしまったかというと、Firstradeでの保有株式に対する配当があったためです。 国税に関し申告不要制度を定める租税特別措置法8条の5・1項1号及び2号は、対象を内国法人から支払いを受ける配当に限っており(国内の支払の取扱者経由で支払いを受ける場合は、「内国法人から支払いを受ける」ものとみなす。同法9条の2・5項2号)、外国の口座で直接受け取る配当は申告不要制度の対象外です。 これは考えてみれば当然のことで、外国の会社に日本政府のための源泉徴収をさせることは不可能ですから、申告不要を認めてしまうと日本の政府が全く税を取れなくなってしまいます。従って、どうしても確定申告させて課税しないといけません。 この事情は住民税も変わりませんから、住民税申告においても外国口座で受領した配当は申告不要の対象外(なんらかの申告が必要)になると考えられます。
一方で、当該外国株式の配当が租特法8条の4・1項にいう「上場株式等の配当等」に該当する限り、申告分離課税の適用を否定する理由はありません(地方税法附則33条の2)。外国の取引所に上場している株式も「上場株式等の配当等」に該当します(租特法37条の11・2項1号、租特法施行令25条の9・2項2号)。 従って、「外国の証券会社の口座で得た外国株式の配当」は、住民税については申告分離課税を適用して5%の課税で済ませることが可能かつ合理的と考えられます。あえて総合課税にすることも望めば可能ですが、税率が10%になる上に外国株式では配当控除もありませんから、得ではないと考えてよさそうです。
国内の証券会社を経由して受領した配当金は申告不要制度を適用しますが、これは要するに源泉徴収された5%の地方税をそのまま認めるということですから、税負担という面では同じことです。
普通徴収で納付すべき税額は3900円となっており、あと100円だけ税額が多ければ4分割で納付できたという、資金繰りの面では若干悔しい結果ですが(私の住む市では、4分割した際に出る1000円未満の端数は第1期の納税額に加算される→4000円以上の税額がないと全部第1期に寄せられてしまう!)、致し方ありません(^^; せいぜいクレジットカードチャージのnanacoで納付してポイントを享受することにします。
ところで、住民税の納税額につき、納税通知書の内容が怪しいものになっている事例もちらほらあるようです。
税額がおかしい場合、とりあえず、一度は自分の申告内容に誤りや漏れがないかどうかは確認しておくことも必要ではあります。 ありがちなのは、寄附金税額控除のワンストップ特例を適用するつもりで、実は適用できていないというパターン。 ワンストップ特例は、所得税の確定申告をしない人に限って利用可能な制度で、何らかの事情で確定申告をしてしまうと無効になってしまいます。ありそうなパターンでは、
- 自営業者だったり不動産所得や副業の所得がある人など、元から確定申告の必要な所得類型の人
- 年末調整の後になって扶養家族が増減した人
- 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の初年度分の適用の為に確定申告した人
- 医療費控除などを適用する為に確定申告した人
などなど、いかなる事情であれ確定申告をしてしまうと、ワンストップ特例は適用されず、確定申告書に改めて寄附金を書いておかないと住民税にも(別途住民税申告をしていない限り)反映されないので、税額が思っていたより高い、ということになります。 また、確定申告をしていなくても、ワンストップ特例の上限である5か所を超えて寄付してしまった場合も、特例が適用されなくなります。 こうした誤りがあったことに気づいたら、国税につき更正の請求(既に申告書を提出している場合)または還付申告(申告書を提出していない場合)の手続きをする必要が出てきます。
そうした誤りが見当たらない場合、市区町村の課税誤りという可能性が出てきます。 国税からの申告書データの提供、あるいは住民税申告書の提出といった形で所得に関する資料は納税者由来のものが市区町村に行くものの、税額そのものは国税と異なって市区町村長が決定により定めるものですから、税務職員のミスで誤った税額になってしまうリスクは確かにあります。(国税は税額そのものを申告するため、基本的にはそういうことはない) 本来、法令の執行権限を握る立場の市町村側がそんなミスをするようでは困るのですが、そういう事案がある以上は仕方ありません。自力でおおよその税額を見積もって、大きな誤りがなさそうかどうかを確認する程度のことは自衛のためにも必須かもしれません。
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