iFreeシリーズから、3本のファンド新設が届け出られています。
詳細を確認します。
iFreeレバレッジ S&P500
申込手数料:最大2.16% 信託報酬:0.972% 設定日:8月31日 販売会社:SBI証券 S&P500指数の日次値動き(ドルベース)の2倍程度の値動きとなることを目指すブル型のファンドです。 米国株のブルという商品はありそうで意外となく、投信で野村ブル・ベアセレクト7(米国株スーパーブル7)(信託報酬1.134%)、ETNでNEXT NOTES NYダウ・ダブル・ブル・ドルヘッジ ETN(信託報酬0.80%)がある程度でした(いずれも対象はダウ)。 米国株全体の値動きを示すS&P500に対応するブル商品としては初となり、またiFreeシリーズにおけるブルベア商品としても初となります。 シリーズ初のブルベアが外国株というのは意外ですが、競争者のないところを取ることで独自性をアピールするという事でしょうか。 ただ、言うまでもなく、ブルベアファンドという類型自体が徐々に減価していく仕組みを持っています。そういう意味で、iFree Activeを名乗るテーマ型ファンド群にも増して、長期投資に不向きなファンドが現れたという事になります。iFreeのブランドの意味合いがかなり分かりにくくなってきそうな気がします。
ただし、「一方的に値上がりが続く」という見通しを持つ限りにおいては、ブルファンドを持ちっぱなしにすることが合理的になりえます。 そういう発想をする人が多く現れて買ってくれることを狙っているのでしょうか? そういう人が大量発生するようだと、えてして相場もそろそろ終わりが近いことが多いものですが…。
iFreeNEXT NASDAQ100インデックス
申込手数料:販売会社が決定(現段階で無し) 信託報酬:0.486% 設定日:8月31日 販売会社:SBI証券 ナスダック上場銘柄のうち100社を対象とするナスダック100指数を投資対象とする投資信託です。iFree NEXTシリーズとして登場してきました。 ナスダック100の構成銘柄はハイテク銘柄の比率が高く、「iFreeNEXT FANG+インデックス」の代替品として使えそうなインデックスです。 ※ナスダック100に連動する米国ETF、QQQについて 【QQQ】NASDAQ上場企業に投資する超優良・大型ETF (神経内科医ちゅり男のブログ) 実際、FANG+インデックスのファンドが出た時も、「こんな分散の効いていないファンドを出すくらいだったらQQQの方が…」という声もあったのですが、今回まさに投信版QQQが登場したことになります(これによって、登場早々のFANG+ファンドの存在意義も謎になりますが…)。 投信になったことで、金額指定の積立購入も可能になるなど、使い勝手が向上します。ボラティリティが高めであるようなので、積立を継続していくとその効果がかなり強力になってきそうです。
ただし、NASDAQ100は金融庁の指定インデックスではないため、つみたてNISAのインデックス投信枠での購入は不可能です。 設定から5年経過し、純資産額と資金流入の要件を満たした上でアクティブ投信枠での加入を狙うしかありません。
iFree iFree年金バランス
申込手数料:販売会社が決定(現段階で無し) 信託報酬:0.17172% 設定日:8月31日 販売会社:SBI証券 GPIFの運用ポートフォリオに合わせた資産配分を謳う投信です。 現段階では、「国内株:先進国株:国内債券:先進国債券=25:25:35:15」という基本ポートフォリオが示されているので、これに合わせてマザーファンドの組み合わせがなされます。 「GPIFと同じ資産配分」というのは、初心者向けポートフォリオ案としてよく提唱されていました。それがついにバランスファンドとして実現です。 公的年金の運用成果を自己資金で追体験できるというのは、投資教育の観点から見ても極めて重要な意義がありそうです。勿論、資産形成としても有用なものになる可能性は十分あると言ってよいでしょう。 これをこの信託報酬、emaxis slimの8資産均等やニッセイ<購入・換金手数料なし>の4資産・6資産・8資産均等といった、バランスファンド最安値商品と同等で購入できるのは驚きです。
ただ、これほど資産運用に好適そう&低コストな商品であれば当然つみたてNISAでも是非購入して20年持つことを勧めたいところなのですが… 実は本ファンド、国内債券は「ネオ・ジャパン債券マザーファンド」というマザーファンドを使っており、どうやらその部分はアクティブファンドのようです。 これがNOMURA-BPIなどをベンチマークとしていれば、普通のバランスファンド同様つみたてNISA の候補として当然に使えるのですが…
今回追加されたいずれのファンドも、かなり癖はありますが、戦術の拡大幅はかなり大きなものがあります。 特に、年金バランスに関しては、資産の増減の仕方を直接自分の口座の中で見れるというメリットがあり、勉強のきっかけにもなるかもしれませんから、社会的意義も極めて大きなものになるかもしれません。 今度から、年金不安を理由に投資デビューしようかとでも思ってる人がいたら、「年金バランス」でもよいかな、とも思うくらいです。
ただ、このiFree年金バランスファンドにはちょっと気になる点もありまして…(以下次号)
|