米国Firstradeが、いつの間にか株式・ETFの売買手数料を無料としています。 Firstrade Moves To Free Online Trading – Stocks, ETFs, Options, Mutual Funds
8月23日頃から変更となったようです。 従来は通常の銘柄で片道2.95ドル、特定のETFに関しては無料&短期売買にペナルティという料金体系でしたが、ここからさらに値下げして一挙に完全無料化という思い切った行動に出ました。 JPモルガンが売買手数料無料のサービス導入を発表の報が出た直後ですから、これに対抗する動きとみてよいでしょう。 ちょうど、日本の投信運用業界におけるemaxis slimとニッセイ<購入・換金手数料なし>の争いと同様のことを、証券会社間で行っている格好です。
もとより、コストを抑えるのは投資パフォーマンスを向上させるための基本中の基本です。 また特に売買手数料は、買値と売値の差から本来得られるべき利益をいわれなく(さしたる便益があるわけでもなく)圧迫するものであり、極めて納得感の低いコストです(しかも、日々差し引かれるので意識しにくい信託報酬と違い、外出しで取られるため行動経済的にも反発されやすい)。 売買手数料無料というサービスが定着するようになると、当然、そういったサービスに顧客はすべて集まってくる方向になるものと思われます。
なお、売買手数料を無料にして証券会社が利益をどう確保するのかという点も気にならないでもありませんが、信用金利などは当然取るんでしょうし、貸株金利のスプレッド(市場から受け取る金利と、貸株サービス利用者に支払う貸株料との差額)など、意外に利益原はありそうです。
日本国内でも、最近は一部ネット証券が一日定額コースなどで一定限度まで取引手数料無料にしたり、立会外取引(ダークプール)を利用して手数料を無料にしたりする動きが出てきています。 もしかしたら、日本でもその動きがさらに進んで、手数料無料の範囲が広がっていき、無料がスタンダードになってくることがあるかもしれません。
なお、今回の改定により、以前取り上げた「短期売買でペナルティを課す」という仕組みもどさくさ紛れに無くなってしまいました。 この制度には短期売買を抑止し長期保有を推進するという投資教育効果があると思っていたので、効果のほどを長期間にわたって観察する価値はあると思っていたので、あっという間に消えてしまうことはやや残念です。 とはいっても、長期投資を促す云々という話は販売会社である金融機関にはあまり関心を持つところではなく、「無料」というインパクトの方が重要である、という事かもしれません。 やはりその辺は、政府が「保有期間の長短に応じた税率設定」といった政策で支えていくべきところなのかもしれません。
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