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2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。投資関係中心に語ります
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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。
以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。
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恐るべきファンドオブファンズ
(2014年11月4日20時39分赤字部分加筆)

投資信託の分配金に騙されるな!~利回りの嘘を暴くというサイトがあります。

なかなか刺激的なサイト名ですが、中身としては投資信託の特に分配金周りの基礎知識の解説とか、読者からの投資信託に関する質問に対するアドバイス等が行われており、投資信託初心者がまず最初のほうに見ておいて損はないサイトだと思います。

そのコンテンツの中で、個別の投資信託商品について分配金の水準が適正か否かを分析・解説している箇所があります。
ごくごく端折って言えば、投資対象となる有価証券(株式・債券・REIT)の利回りの水準と分配金の水準とを比較して、前者が後者を上回っていればとりあえず過剰分配じゃなさそう(安心してよさそう)だとしているようです。

そのコンテンツに最近、ある外国債券ファンドが追加されました。このファンドについて、当該サイトの管理人様は首を捻っておいでです。
なんでも、「投資先の債券そのものは利回りが6%くらいしかないのに、分配金が10%超の水準になる。つまり不健全な分配なはずだ」「それなのに、運用報告書の分配金計算過程を見ると、分配金は全て当期の配当等収益で賄えていることになっており健全そのものに見える」「どういうことなの…」ということのようです。

ちょっと考えてみます。



ファンド名で検索すると、問題のファンド(甲ファンドとする)は、直接的には外国籍投資信託(乙ファンドとする)に投資し、乙ファンドが債券に投資するという構造のファンドオブファンズ(FoF)のようです。
こうした場合、配当等収益とは何になるんでしょうか。投資信託協会の定款・諸規則から、規則を見てみます。


投資信託に関する会計規則に関する細則より)

投資先の投資信託(乙ファンドに相当)から分配金を受け取ったら、それは甲ファンドの会計上は配当等収益に書きなさい、と言っているようです。ごく当たり前のことを言っているように見えます。
……ただ、この条文からすると、乙ファンドが出した配当金の源泉が何であるかは問題にならないようです。乙ファンドがインカムゲインの中で配当を出していようが、多少身を削ってキャピタルゲインから出していようが、もっと身を削って特別分配金になっていようが、甲ファンドとしては配当等収益に入れて構わないということになりそうです。

言うまでもなく、乙ファンドが分配をしていたら乙ファンドの基準価額が下がりますから、甲ファンドでの有価証券売買等損益(ここには期末での評価損益も入る)を下押しする方向に作用することになります。特別分配などになっていようものなら、乙ファンドからの分配金を受け取ったタイミングで計上される配当等収益と有価証券売買等損益を合算するとマイナスの数値になってしまいそうです。

ところが、その場合でも(というか、その場合にこそ)、配当等収益の数値が実体以上に膨らんで見えるため、「甲ファンドは安定的なインカムゲインが多く、その範囲内から分配している」という印象が与えられてしまうようになりそうです。
実際、問題となっている甲ファンドの請求目論見書の中にある損益計算書を見てみますと、2013年3-9月期の配当等収益のプラスをほぼ打ち消すマイナスの有価証券売買等損益が計上されているようです。


逆パターンもあります。
ノムラ THE USAというファンドは、アメリカ株に投資する投信ですが、やはりケイマン籍に投資信託に投資するFoFの形態です。
このファンドの運用報告書を見てみますと、配当等収益はAコース・Bコース共に極僅かな受取利息(恐らく預金・コールローン由来でしょう)しか計上されておらず、収益のほとんどは有価証券売買等損益です。
米国株がまったく配当金を出さないわけはなく、このような損益構造になる理由はケイマン籍ファンドが分配金を出さなかったため、「ノムラ THE USA」としては有価証券評価益が膨らむ形になる一方、配当等収益は無いということになったということでしょう。(実際、運用報告書後半にあるケイマン籍ファンドの計算書類によると、ケイマン籍ファンドでは受け取り配当金を計上している一方、分配金は出していないようです。


……考察してきて、ちょっと恐ろしくなってきました。

まず、こうなってくるとFoF形式のファンドだと、計算書類を見て分配金の健全性を判断するスキームが機能不全になる場合がありそうです。
FoFにしておけば、乙ファンドの位置にいるファンドの運用が全く駄目であっても、特別分配金を出させてしまえば甲ファンドの位置にいるファンドとしては有価証券売買等損益が凹むのと引き換えに配当等収益が膨らみます。言い換えれば、当期の分配可能額を水増しさせることができることになります。

「投資信託財産の評価及び計理等に関する規則」より。配当等収益は全額分配原資になるのに対し、有価証券売買等損益は損失になっても欠損金として繰り越せば足り、当期の分配原資から差し引く必要がない)
FoFで甲ファンドの位置にいるファンドと乙ファンドの位置にいるファンドとは、(全くの他人のファンドに投資する場合も当然ありますが)同じグループ会社の運用するファンドである場合も多いですから、そういう場合には乙ファンドの位置にいるファンドに分配金を増減させることで、自在に甲ファンドの位置にいるファンドが損益科目を付け替えることができます。その結果、実態が同じであっても分配金原資が増えたり減ったりすることになります。

また、科目が付け替わることで見た目の印象も変わります。今回考察した甲ファンド、ノムラ THE USA、どちらも分配金を出していますが、実態を見ると明らかにノムラ THE USAの方が健全そうです。しかし「ノムラ THE USAはほとんどが有価証券売買等損益からの分配金で、甲ファンドはほとんどが配当等収益からの分配金」となってしまうと、印象はどうでしょうか。

こうして考えると、なかなか適正な分析・投資判断が難しくなりそうだと言わざるを得ません。


さらに、極端に考えると仮に乙ファンドの位置にいるファンドが特別分配をいつまでも続けたらどうなるでしょう。いずれ純資産がゼロになりかねませんが、その瞬間まで配当等収益が上がり続けます。最終的に乙ファンドの位置にいるファンドが無くなりそうになってしまっても、甲ファンドは有価証券売買等損益の欠損が積みあがりつつ、でも「安定収益」からの分配ができる、という摩訶不思議な事態になります。
自分たちの町が滅亡することを直前まで知らなかった、ソドムとゴモラとかノアの箱舟とかの話を彷彿とさせます。



尚、蛇足ですが、「特別分配金であろうと配当等収益に全額計上される」という規則はけしからん、ということは主張しません。
特別分配金が出るというのは、資本剰余金を原資とした株式配当金を受け取ったというのと類似した状況ですが、資本剰余金の配当の場合、「配当の対象となる有価証券が売買目的有価証券である場合は、配当受領額を受取配当金(売買目的有価証券運用損益)として計上する。」と定められています。( 「その他資本剰余金の処分による配当を受けた株主の会計処理」企業会計基準適用指針より)
その理由としては、「配当の対象となる有価証券が売買目的有価証券であり、期末に時価評価され評価差額が損益計算書に計上されている場合には、配当に伴う価値の低下が期末時価に反映されているため、配当の原資にかかわらず収益計上することが適切であり、受取配当金(売買目的有価証券運用損益)として処理することとした。」とされています。
このような関係は、FoFの場合にも全く同様に当てはまるので、会計基準としては整合性があることになります。

ただ、運用会社のやりようによって、なにやらおかしな話になる場合がある、というだけのことです。
企業会計の場合は、評価損も受取配当益も合算した上でそのトータルが当期利益となり配当原資となりますが、投資信託では配当等収益と売買益とをそれぞれ別個の原資として扱っています。会計基準に問題があるとしたら、むしろこちらの差でしょう。
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[ 2014/11/03(月) 18:58 ]
[ 最終更新:2016/03/17(木) 01:18 ]

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