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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。 以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。 投資関係中心に語ります
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せっかくの確定拠出年金の新規優良プラン。国民年金基金連合会がその競争の意義を減殺・妨害しないようにしてほしい |
SBI証券の確定拠出年金「セレクトプラン」の新登場により、運用資産ラインナップとしては個人型確定拠出年金の中でSBI証券が最優秀の座を取ったとの意見も多くみられています。
ただ、実のところ、それだからと言って皆が皆こぞってSBIのセレクトプランに乗り換えるかというとそうとも限らないようです。 セレクトプランへの乗り換えを躊躇する理由として指摘される点は大きく2つあります。
第一に、乗り換えに際しての所要時間及びその間の機会ロスの問題。 乗り換えには、一旦現在確定拠出年金で保有している資産を売却する手続きを経て、それから資金を移動するという流れになるため、2~3か月程度の時間がかかります。 たかだかこの程度の作業に月単位の時間を掛けるのも恐ろしく不合理な話ですが、複数の機関(新旧の運営管理機関、信託銀行、国民年金基金連合会など)が介在して資格審査やら指図やら執行やらの作業を行うことが背景にあるようです。 その期間の間、資産は運用のされないまま現金で寝かされることになり、特に既に資産が相当規模に達している人にとっては無視できない機会損失になります。さらに、その期間中に新たに掛金引落日となるべき日が到来した場合、果たして引き落としがされるのかどうかも判然とせず、もし引き落としがされないとなれば所得控除や退職所得控除での加入期間計算で不利に作用する恐れがあり、ゆゆしき事態となります。
第二に、SBI証券の問題として、受給時の選択肢が他の機関と比べていささか狭いとされる点が改めてクローズアップされています。
ご案内の通り、確定拠出年金においては、受給時には一時金受給における退職所得控除・年金受給における公的年金控除を超えた部分については課税がなされます。 そのため、可能な限り税負担を抑えるためには、「一部を一時金受給・一部を年金受給」とする併給と呼ばれる方法を取ることで、両方の控除枠を利用し尽くすことが最適解となる場合があります。 ところが、SBI証券ではこのような方法が取れず、年金か一時金かどちらかに決め打ちする必要がある結果、課税において不利を被る可能性があると考えられています。 もとより、受給が近づいてきたら他の運営管理機関に移管する手もありますが、そうすると第一の問題点である移管のロスの問題に戻ってしまいます。
もとより、全ての人に併給が必要とも限らず、また併給さえできれば課税の問題が解決するとも限りません。
併給する場合の典型的なパターンは、60歳から65歳までの公的年金のない期間に確定拠出年金を受給し、当該期間の公的年金控除枠を生かすというものですが、この期間の公的年金控除枠は70万円×5年でたかだか350万円。公的年金を繰り下げることで70歳まで無年金期間を伸ばしたところで10年分の700万円止まり(65歳以降の公的年金控除枠は年間120万円ありますが、確定拠出年金の年金受給額をそれに合わせて途中で増額はできないはずです)。加入期間がある程度長い人には、ここからはみ出す金額も相当巨大になる可能性があります。 はみ出した金額を一時金で、というのが狙いではありますが、退職一時金などがあったりすると退職所得控除の枠も足りるとは限りません。結局、どこかしらで課税を甘受せざるを得ない可能性もあります。併給といえども、絶対に課税を避けられる魔法の杖ではありません。
ちなみに、どこかしらで課税されることが避けられないのであれば、できる限り一時金受給の方に寄せてしまうほうが有利なのではないかと考えています。 一時金受給であれば退職所得として分離課税になる上課税標準も2分の1になります。また、退職所得は公的医療・介護保険の標準にも含まれません。その上で、受給した一時金を再運用することにした場合は、「この時点から新たに発生した運用益だけ」がその後の課税対象になります(課税標準の「仕切り直し」というべき現象が起こる)。 年金受給にしてしまうと、公的年金控除を超えた部分は「拠出金元本部分から」課税対象となってしまううえ、公的医療・介護保険の標準にも含まれてしまうため、負担が重くなる方向に行きそうな気がします。 もっとも、本当に一時金に寄せた方が有利なのか否かは本来きちんと検証してみないといけませんが(少なくとも、一時金に寄せると税金の先払いが生じること、確定拠出年金内での運用益非課税のメリットを捨てることになる事などはデメリットです)、退職一時金の額・公的年金の額・自治体ごとの公的医療・介護保険の料率等々、考慮すべき変数も多岐にわたる事から、なかなか一般論としての検証は困難です。
思うに、これらの問題は、国民年金基金連合会において積極的に是正すべき責任がある話と言える気がします。 確定拠出年金のプランは、言うまでもなく2016年の法改正の頃から世間の高まりを背景に、手数料の低下・ラインナップの改善などが一気に進み、運営管理機関の間での競争が加速しました(プランの良しあしが明るみに出て淘汰が進む様を、「日光消毒」と譬える向きもありました)。 SBI証券のセレクトプランにしてからが、emaxis slimなどの低コストファンドを組み入れたのはユーザーからの要望が多かったことによるものだと明かされており、ユーザーの利益に適うプラン展開をするという意味では「日光消毒」の端的な事例です。
このように運営管理機関相互間では競争とプラン改善が進むにもかかわらず、国民年金基金連合会での作業が必ずしも迅速・効率的でないために、その弊害を懸念したユーザーが優れたプランへの移行を躊躇し、結果としてサービスの改善が遅れたり劣ったりしているプランが生き残りやすくなってしまう。さながら、日光消毒しようとしているところへ自ら遮光幕を張っているようなものです。 プラン移行によるロスや弊害の懸念なく、思い立った時にシームレスに移行できる環境こそ、より競争を実効性有らしめ、優良なプランの提供を促すことになるはずで、それこそが制度の運営者たる連合会の責務というものです。
それを可能にする技術的基盤もあるでしょう。 例えば、SBIグループの立ち上げた証券コンソーシアムでは、本人確認情報の共有の仕組みや分散台帳(ブロックチェーン)技術を応用した情報のやり取りの研究が進んでいます。特にブロックチェーンなど、迅速・確実に情報の伝達・共有ができる技術に加入者の資格情報や資産状況・取引指図情報などを乗せてやったり、各種手続きの自動化システムと連携させてやったりすれば、加入や移管に関する審査や手続きに何か月もかかるなどという事態もなくなるでしょう。 プラン移行がスムーズにできるようになれば、併給などの柔軟性が必要な人も受給開始タイミングで気軽に移管すればよくなるだけですから、加入期間中は運用商品の良いところを選ぶということに躊躇する必要もなくなります。
運営管理機関はよりよいプランの提供のために加入者の要望にも応え努力を重ねています。 その成果をユーザーが享受することが実質的に容易になるよう、制度の中心にいる国民年金基金連合会が自らそれを妨げることのないように円滑化のための努力を怠らないことは強く求められるべきことだと思います。
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DC(確定拠出年金)
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[ 2018/10/07(日) 04:13 ]
[ 最終更新:2018/10/07(日) 04:13 ]
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