iFreeシリーズのうち、国内株式の2ファンドが信託報酬を引き下げることを発表しています。 運⽤管理費⽤(信託報酬率)の引き下げについて
詳細を確認します。
名称 | ベンチマーク | 信託報酬(改定後) | 従来(予定判明済み)の最安ファンド |
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iFree日経225インデックス | 日経225 | 0.17172% | ニッセイ<購入・換金手数料なし>、emaxis slim(0.17172%) ※最安値同点 |
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iFree TOPIXインデックス | TOPIX | 0.17172% | ニッセイ<購入・換金手数料なし>、emaxis slim(0.17172%) ※最安値同点 |
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いずれも12月13日からの改定となります。
最近、NEXTやActiveなどといった奇を衒ったシリーズのニュースが目立つ一方でインデックスファンドの方では影が薄くなる一方といった感があったiFreeですが、ここへ来て国内株限定ながら最安値を付けてきました。 最安値といっても並んだに過ぎず、更新したわけではありませんから、インパクトは限定的なようにも見えます。しかし、そうとばかりも言えないかもしれません。 iFree日経225 販売会社 iFree TOPIX 販売会社 販売会社一覧を見てみますと、販売会社の数がemaxis slimやニッセイ<購入・換金手数料なし>とは段違いの多さを誇っています。 しかも、ネット証券・ネット銀行だけではなく、通常の地銀や地場証券なども多数含まれています。iFreeシリーズは三菱UFJつみたてんとうシリーズと並びつみたてNISAでの採用例が多いシリーズですから、地銀・地場証券でつみたてNISAを開設した人は当該ファンドを保有している可能性がそこそこ高いと考えられ、そういう人たちにも遍く業界最低コスト水準での運用環境が行き渡ることになります。 地銀・地場証券ではiFreeのような超低コスト投信はつみたてNISA限定販売という扱いになっている事例も見受けられますが(ネットバンキングなどに限定して特定口座でも販売する例もあります)、それを差し引いても、店頭型の販売会社で業界最低コストの商品が買えるようになるインパクトは無視できません。つみたてNISAの設定は店頭で行える例が多いはずですから(全社・全ファンドがそうとは限りません)、まさに「店頭でiFreeを買う」ことができる状況であることに留意。 特に、iFree日経225は年初では5億円程度の純資産に過ぎなかったのが11月には30億円を超えるところまで伸びていますから、つみたてNISAからの流入の影響が相当あると推察されます。それだけ低コスト化の恩恵も広がるということです。 「つみたてNISAでしか買えない」という販売会社の問題はさておき、少なくとも運用会社の領域に属する限りにおいては、極めて「投資家本位」度が高い取り組みといえます。
また、これだけの広範囲な販売会社を抱えていながら、信託報酬引き下げを協議して合意に達したわけで、その労力も並大抵ではなかったと思われます。
信託報酬の削減分(税抜きで0.011%)を運用会社が全て被るのであれば、販売会社で反対する理由はありませんから交渉も難しくないでしょうが、引き下げ前の時点で0.07%しかなかった運用会社が0.011%引き下げを被って販売会社の0.08%が手付かずなのか、と考えると…。 なお、emaxis slim、ニッセイ<購入・換金手数料なし>は、いずれも運用会社と販売会社が0.0695%ずつという配分ですから、これに倣うのであれば販売会社の方が大きな引き下げを甘受することになります。 このようなことが実際に可能だったことを考えると、三菱UFJ国際投信の「膨大な運用会社と信託報酬引き下げ交渉するのは困難だからemaxisはそのままで、ネット専業だけを対象に低コストなemaxis slimを新規設立」という戦略が果たして正当化できるのか、という疑問が改めて問われることにもなりかねないことは指摘しておきたいと思います。
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