大和住銀投信投資顧問のひとくふうシリーズから、ターゲットデート型のファンドが登場します。
詳細を確認します。 ひとくふうターゲット・デート・ファンド2030/2040/2050/2060
・投資対象:ひとくふう日本株式マザーファンド、ひとくふう先進国株式マザーファンド、キャリーエンハンスト・グローバル債券マザーファンド
・投資比率:残存期間及びリスク水準に応じて、クオンツ手法にて調整
・信託報酬:0.378%
・設定日:2019年1月15日
投資対象とされているマザーファンドは、それぞれひとくふう日本株式ファンド、ひとくふう先進国株式ファンド、ひとくふう世界国債ファンド(為替ヘッジあり)の投資対象です。 いずれも、「価格変動リスクを抑える」ことを目標と謳っているアクティブファンドです。
低コストアクティブファンドから成るターゲットデートファンドというのもなかなか面白いコンセプトですが、ターゲットデートファンドは基本的に長期間持ち切るのが前提となるだけに、運用成績が宜しくないアクティブだと目も当てられません。
ひとくふうシリーズについては、最近だと日本株式ファンドについての検証記事を2018年5月に書いていますが、今現在どうなっているか、先進国株式・世界国債を含めて改めて見てみます。
 
   
株式ファンドは、総じてインデックスファンドよりも相場軟調期に比較的強いところを見せているようです。 日本株式ファンドは前回検証した時点でも既にある程度分かっていた通りですが、今年秋以降の世界的な下落局面では設定来成績・1年リターン共にインデックスファンドよりやや上に位置を占めている状況となっており、比較的下がりにくい傾向を見せています。 先進国株式は足元の相場では残念ながらインデックスファンドに勝つには至っていませんが、やはり春の急落局面ではそれまで負けていた設定来成績において追いつくなど健闘していたようです。 また債券ファンドでは意外にインデックスファンドより勝ち続けています(日本含むヘッジ付き世界債券としてあまり候補がない中で登場させたemaxis債券2資産均等バランスというファンドが、比較相手として適切かどうかは分かりませんが…)。
仮に、下落相場で通常のインデックスファンドほど下げないという傾向が恒常的に続くのであれば、長期的に保有を続けるターゲットデートファンドにおいて、必ず遭遇する急落局面での損失膨らみによる心折れての投げ売りという事象を抑制できる分、商品として面白いかもしれません。 ただし、そのためには、「上昇相場でそれほど強くない」という傾向からくる、リターンの高さに目を奪われた他商品への乗り換えをしないという意志の強さも求められます。その意味で、保有者も試されているファンドであるのも確かです。
なお、本ファンドは各マザーファンド内部でリスク抑制を試みていつつ、マザーファンド全体への投資比率もリスク水準着目により決定、更に市場のリスクが高まった局面では、株式への実質的な投資比率を引き下げるなどリスクを抑制することを基本とします。 という仕組まである(ターゲットデートに向けて単純にリスクが減っていくばかりではない)という、なかなか複雑なスキームです。 いったいファンド全体としてどれくらいのリスクを取っているのか、どれくらいの比率で投資しているのかがかなり把握しづらくなることは否めないのが難点でしょうか。
ひとくふうシリーズは、いずれのファンドも純資産残高があまり伸びておらず、いささか不遇な状況ですが、下落時の強さという機能から、ターゲットデート型で受け入れられることができるかどうか、注目されます。
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