例年、参加型のコンテンツが含まれる本イベントですが、今回は何といっても金融庁長官に直接質問をぶつけるという途轍もない祭りがありました。 これまでも開会挨拶では副大臣や政務官が出てきていましたし、過去のFund of the Yearに長官が祝辞を寄せてきたというサプライズもあったりはしたとはいえ、個人投資家向けイベントのプログラム本体(挨拶ではなく実質的な部分)に長官が直々に姿を現すとはそれ自体画期的です。 また、その内容も、質問への応答というだけに留まらず、金融機関の営業姿勢に関する意見やNISA制度の行く末に関する意気込みなど、かなり踏み込んだ域に達していたのは注目されます。 「金融機関の営業姿勢が自社利益に偏りすぎている」とか「NISAは拡大したいしそのためには実績が積み上がることが重要」とか、内容自体が同じであっても、単なる投資家や評論家や実務家などといったレベルの人が言うのと行政責任者たる長官が不特定多数の人の集まるイベントで公言するのとではインパクトが違います。 少なくとも現時点では、金融庁は相当に個人投資家目線を強く持っていることが窺えます。 但し、「NISAの拡大に実績が重要」とは、もちろん、裏を返せば「(資産形成が重要とは思うものの)大して実績が積み上がらないようではわざわざ支援することはできかねる」ということであって、我々投資家側に資産形成の重要性を認識する・税制優遇の有利な制度を見つけ出して利用するといったリテラシーと実行力を備える責任を求めるものであることに注意が必要です。