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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。 以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。 投資関係中心に語ります
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インデックスファンドの拡大と金融機関収益。実は収益としてもう立派な柱になっているのでは? |
日本経済新聞にて、投資信託の資金流入額ランキングを10年前と比較する記事が出ています。 投資信託の資金流入ランキング、10年前とは様変わり
記事によると、2022年の1~6月では流入額トップ10のうち4本が低コストインデックスファンド。これに対し、2012年の同期間ではインデックスファンドは1本もランクインしておらず、通貨選択型を含む毎月分配型が9本を占めるという構成でした。 10年間での投資環境や投資家の意識の変化などの大きさを改めて感じさせられる話でしたが、この記事の締め括りの記述をめぐって辛辣な意見が見られています。
記事の最後は、こう締めくくられています。
”アクティブ型は運用会社のメインの商品。信託報酬が一定以上あるアクティブファンドの残高が増えないと運用会社や販売金融機関の収益は上がらない。”
なんとも、売り手サイドの悔しさがにじみ出ている一文w
こういう容赦ない意見を目にするとどうしても「いいぞもっとやれそんなに石直球を投じなくても……」と思うものですが、それはさておき、こういう低コストインデックスファンドの伸びによる「運用会社や販売金融機関の収益」はどんなものでしょうか。
今年の流入額全体2位にして、低コストインデックスファンドの代表格ともいうべきeMAXIS Slim米国株式(S&P500)。 このファンドは目下のところ純資産が13000億円余り、そして信託報酬は運用会社の取り分が0.033%(受益者還元適用後)、販売会社の取り分が0.034%ということですから、それぞれ約4.4億円ずつの年間売上になる計算です。 同様に低コストインデックスファンドの代表格であるeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)(純資産約6000億円、信託報酬の取り分が0.041%と0.042%)では約2.5億円ずつの年間売上高となります。
この年間4.4億円とか2.5億円といった水準は、1本のファンドからの収益としてはそこそこ高いとみてよさそうです。 例えば、運用会社の取り分が0.8%というファンドがあるとすると、投資家の負担は販売会社の取り分が同程度あるとすると合計1.6%。結構な高コストファンドです。 そのようなファンドで、運用会社が年間4.4億円の収益を挙げようとすると純資産が550億円必要です。年間2.5億円でも純資産312.5億円です。 7月28日夜現在、モーニングスターで「ETF・DC専用・SMA専用を除く」として検索すると4589本のファンドが引っ掛かりますが、その中で「純資産500億円以上」だと254本、上位5.5%に過ぎません。「純資産312.5億円以上」でも392本、上位8.5%です。 信託報酬1.6%という高コストを課してさえこのような最上位レベルの規模を持つファンドでなければ稼ぎ出せない収益を、今日の低コストインデックスファンドはもたらしているのです。
しかも、この収益は安定性においても高コストファンドのそれと比べて格段に優れていると考えられます。高コストな(大抵はアクティブ)ファンドでも流行を掴んだり営業努力を掛けたりで何千億円といった規模の純資産に達するのも珍しくはありませんが、流行テーマの移ろいや営業姿勢の変化などでいつしか忘れ去られていつの間にやら往時の数分の一・数十分の一に縮小してしまっている…ということも往々にしてあるものです。 勿論、忘れ去られないように優秀な運用成果をキープし続ける、不断の営業努力を継続する、などで投資家を繋ぎとめることが出来ればそれでよいわけですし、1本のファンドが凋落しても入れ替わりに別のファンドを同程度の規模まで伸ばすというサイクルを続けられればそれでも収益を維持することはできますが、いずれにしても運用会社や販売会社の労力も経費も相当な重さになりそうです。 それに比べて、インデックスファンドではその性質上、アクティブファンドほどには忘れ去られての凋落という事態は想定し難いところです。 凋落しないどころか、冒頭の日経の記事でも背景にあるのが積み立て投資の普及だろう。積み立て投資では低コストであることが重視される。18年からスタートした「つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)」も追い風になった。運用会社の信託報酬の引き下げ競争が進み、それがさらにネット証券を通じて個人投資家の資金を呼び込む好循環が起きている。 と分析されており、こういう循環による流入の伸びであるならば今後も安定的に継続していくことが想定できそうです。流入が継続するという事は運用会社・販売会社の収益もまた伸びていくという事です。 そしてまた、こういう要因による伸び方であれば、それを維持するための運用会社・販売会社の労力や経費の負担も、アクティブファンドの規模の維持をするのに比べれば格段に低いもので足りるであろうことは容易に推察できます。
こうしてみると、低コストインデックスファンドは日経の記事が危惧するように金融機関側の収益を伸ばせないどころか、むしろ相当に優秀な収益の柱の一つとなりおおせていると見なしてよいのではないでしょうか。 もとより、収益源となりえているのはあくまで国内屈指の規模の純資産を集めることができているからこそです。それに至らない中小規模のインデックスファンドでは(それどころか、特大とまでいかない「普通の大規模」であってさえ)、、やはり信託報酬率に限度がある分たしかに収益力としては厳しく、お荷物にもなりかねないのも事実でしょう。その意味で運用会社にとってインデックスファンドを柱にしようというのが油断や妥協の許されない厳しい道になるというのは間違いありません。
nightwalkerさんが書かれている事に私も頷いています。
三菱UFJ国際投信の代田さんが数年前に「日本のバンガードを目指す」とおっしゃっていた意味を噛みしめちゃいます。運用会社が生き残るための戦略は、日本でも同じと。一方、他社、目先の利益にとらわれ踏み込まなかった、踏み込みが甘かった会社の末路やいかに。 代田さんが言っていたのは、「低コストでも規模を大きく確保することで、掛け算で収益額を確保できる。それを目指す」という戦略だったはずです。そして、「インデックスファンドではカテゴリごとに2番手か3番手くらいまでに純資産が集中するようになっていくはず。その中に入れるように低コスト化など強力な商品にしていかなくてはいけない」とも言っていました。 相当に覚悟と実行力がないと進めない道であることは確かです。 それでも言えるのは、三菱UFJ国際投信をはじめ、SBIアセットマネジメントや楽天投信など純資産残高や資金流入のランキングで最上位を占める低コストインデックスファンドを擁する運用会社は、「日本のバンガード化」を成功(投資家への影響力のみならず運用会社の経営の面でも)させつつある、ということです。 覚悟を決めてバンガードを目指すことを選ぶ会社の更なる登場は、今後あるのでしょうか。
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投資信託
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[ 2022/07/29(金) 07:00 ]
[ 最終更新:2022/07/29(金) 07:00 ]
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