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Author:安房
2008年10月、リーマンショックのさなかからインデックスファンド中心の資産運用開始。 以来7年、現在の運用資産残高1000万余(預金等含まず)。 投資関係中心に語ります
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マネックスやセゾンやバンガードはどこへ向かおうとしているのか |
マネックス証券とセゾンとバンガードが合弁会社を作るんだそうです。 「マネックス・セゾン・バンガード投資顧問」登場 - ラップ口座に切り込む (吊られた男の投資ブログ) マネックス・セゾン・バンガード投資顧問は良質のラップ口座を提供できるか (アーツ&インベストメントスタディーズ)
セゾンとバンガードの組み合わせとなるとセゾン投信による「セゾン・バンガードグローバルバランスファンド」が真っ先に思い浮かぶところですが、そうではなく今回登場しているセゾンは親会社のクレディセゾンの方のようです。
展開するサービスはラップ口座なんだそうです。 当然、ラップの中身はバンガードのETFまたはミューチュアルファンド(非上場の投信)になるのでしょう。
セゾン投信にしてみれば、たまったものではない話かもしれません。 同じく「セゾン」及び「バンガード」という名を冠し、行うサービスが片やETFを組み入れた低コストバランスファンド、片やラップ口座。 名前が似ていて商品の性格がかなり異なり、一般客の誤認・混同を呼びかねない状況です。 うまい具合に住み分けが形成されつつ、純粋に新規開拓がされるようならいいでしょうが、単に同じ客層を食い合うだけになるようだと、セゾン投信としてみれば「親会社と仕入れ元が何てことをしてくれるの…」とでも言いたくなるようなことになるでしょう。
ただ、問題なのが「運用管理費用」です。こちらはファンドを保有し続けている限りかかるコストです。長期で投資したとき、この負担が大きいか小さい小さいかで収益の差が大きく開いてしまいます。そのため、できるだけ率の低いファンドを選ぶ必要があります。 (中略) そして、運用管理費用が高ければ、それだけよいリターンが期待できるのかと言われれば、答えは「ノー」です。高い運用管理費用は、〝単なる払い損〟になりますから、なるべく低率なファンドを選ぶべきです。 中野晴啓「預金バカ」(2014年8月1日kindle版発行)第4章(kindle位置番号1717付近)>
著書にてこのように述べているとおり、セゾン投信の社長自らがコストの低さの重要性を強調しています。 同じバンガードのファンドという媒体を用い、同じような運用をしていながら仮にコストだけが上がるようだと、このようなセゾン投信の社長の理念に反することになり、親会社としてまた重要なサプライヤーとしての矜持を問われることにもなりかねません。 ラップ口座という形式を取ると、投資先ファンドの信託報酬・諸経費のほか、ラップ自体のサービス料金もかかってくるので一般的には高コストになりやすく、非常に気がかりなところです。
果たしてこの新サービスが存在価値のあるものになるかどうか、コストの点から考えてみると、いくつか分岐点となりうるポイントがありそうです。
まず、ラップ手数料部分が0.88%(消費税別)という水準。 この手数料率では、エイト証券の「8Now!」というサービスが展開されています。 米国ETFの組み合わせで運用を作るラップという、極めてよく似たサービスとなります。 エイト証券の方はバンガードに限らず、iシェアーズであろうがウィスダムツリーであろうがシュワブであろうが持ってこれますので、運用の幅という意味では格段に広くなるであろうことは明らかといっていいでしょう。 となると、これより高コストになってしまうようでは運用サービスとしての存在価値を肯定する理由を探すのがかなり困難になります。
次に、ラップ手数料部分が0.6%(消費税別)という水準。 これは、マネックス証券本体にてバンガードのファンド(外国籍投資信託)を購入する際の口座管理手数料です。 マネックス証券では、米国株の枠でETFを買う以外に、投資信託として「トータルストックマーケットインデックス(米国株全体)」「スモールキャップインデックス(米国小型株)」「ウェルズリーインカム(米国株式+債券バランス)」の3本が買えます。 マネックスに入る収益という観点からすると、手数料がこの水準を上回るか下回るかによって営業に何らかのバイアスがかかってもおかしくはなさそうです。 逆に、投資家としては0.6%を上回るラップ手数料がかかるようなら、米国資産をメイン投資対象にするとなると合理性がなくなりそうだということを認識しておいたほうがよさそうです。
そして、ラップ手数料と投資先ファンドの経費を合わせて0.5~0.75%程度(消費税別)という水準。 バンガードのETFの信託報酬は大体下が0.05%程度、上が0.2%程度(新興国債券になると0.3%超えがある)ですが、仮に0.15%くらいとするとラップ手数料部分が0.35~0.6%程度でしょうか。 この辺にあるのが、一般のバランスファンドの実質コスト水準です。 セゾン投信のほうのセゾンバンガードのコストが0.69%前後であり、そのほか一般のバランスファンドは低コストインデックスファンドの実質コスト完全比較 (2015年11月更新)(インデックス投資日記@川崎)にまとめられているとおり、8資産均等で0.58%、4資産均等で0.34%+α、インデックスバランス(9資産)で0.73%などとなっています(2015年11月28日現在)。 TOPIXや先進国・新興国指数(業種やサイズなどで切っていないもの)などといったおなじみの指数をベンチマークとするなら、この水準より低廉になってくれないと厳しいというものです。 ただ、いうまでもなくバンガードにはサイズ別指数や業種別指数、地域を限定した指数など特徴を持ったベンチマークのETFも多くあります。そういうものが多く含まれたポートフォリオ案が提示されるなら、コスト面で多少高くなってもそれだけで利用価値がないということにはならないでしょう。 そして、今度のサービスが存在価値を真に出せるパターンも実のところそこくらいではないかな、という気が個人的にはしています。
確かに、冒頭でリンクした記事にて指摘されているように、アセットアロケーションを組む能力のない人が買うのに、変な高コストファンドよりはましとはいえるでしょう。
自分でリスク許容度などを考えてアセットアロケーションを考え、自分でポートフォリオを構築できるような人にはラップ口座は必要ないでしょう。しかし、世の中はそうではない人のほうが多く、そんな人が流行りのテーマ型ファンドなどをよくわからずに買ってしまう…という自体になるくらいならラップ口座の方がマシとも言えます。 (吊られた男の投資ブログ)
投資ブログを書いたり読んだりしている人からすれば信じられないことでしょうが、世の中の多くの人は自分で金融商品のコストを調べたり、最適なアセットアロケーションについて考えたりすることはできません。そもそも考えたいとも思っていないものです。それどころかネット証券での取引やネットバンキングすら面倒だと感じる人は少なくありません。
そんな人が投資をするとなると、よくわからないまま複雑な毎月分配型ファンドなどを金融機関に薦められ、これまたよくわからないままに高額の手数料を支払って商品を購入するケースが多いというのが現実です。それに比べれば、きちんとしたコンサルティング機能があり、本当に最適な資産配分や商品選択を行ってくれるなら、ラップ口座という仕組みは手数料を支払っても十分に存在価値があります。 (アーツ・アンド・インベストメントスタディーズ)
しかしそうはいっても、ただ「コスト面でもリターン面でも少しまし」というだけの、中身が「先進国株式全体」「新興国株式全体」「先進国ソブリン債」などといったありふれた運用であるなら、なにもコンサルティング機能やら資産配分サービスやら大層なものを付けてラップ手数料を取られなくても、それこそバランスファンドを1本買っておけばそれで少なくとも大外れはない程度には問題解決してしまいます。 マネックスのような販売会社はサイトの目立つところにバランスファンドの特集ページでも作って誘導すればいいでしょうし、クレディセゾンやバンガードはセゾン投信に「マネックスや銀行・証券会社でも販売せよ」と指令すれば収益を確保しつつまともな運用を提供するという目的を達成できます。(セゾン投信側も販売会社を広げること自体は否定していないそうです(吊られた男の投資ブログ)し、いい加減な高コストファンドへの誘導を止めるという趣旨であれば了解してもらえる余地は大いにあるのではないでしょうか) トータルコストがバランスファンドを明確に下回るというのならともかく、仮にそこまで至らないのであれば、サイズ別やセクター別・地域別などといった特徴的な商品を積極活用して、個別にポートフォリオを構築できるラップの機能を生かして従来型のバランスファンドと明確に一線を画したポートフォリオを出すのでなければ、わざわざ新会社まで立ち上げて顧客にコストを要求することを正当化する理由は付かないでしょう。
十分低廉なコストで面白いポートフォリオに投資できるような画期的な商品になるのか、それとも単に能力の低い人に「多少まし」な程度のありふれたバランス運用を提供して手数料を稼ぐだけなのか、それによって評価は大きく変わってきます。 期待と不安がかなり交錯しつつ、サービスの提供開始が待たれます。
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独立系
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[ 2015/12/05(土) 04:28 ]
[ 最終更新:2016/05/16(月) 02:42 ]
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